【漫画】ある日突然家に警察が!?騒音さわぎの中での不思議な出会いと交流に心が温まる「となりの隣のおじいさん」【作者に聞く】
「正直に生きていいのかも…」気持ちが楽になったハローワークでの出会い
「自称漫画家がハローワークに行った話」は、ハローワークの職員さんとの会話を描いた物語。のり漫さんは大学卒業後10年ほど医療職についていたが、何かを作る仕事がしたいという思いをずっと抱えていたそう。そして漫画に出合ったものの、当時は趣味でするのか漫画家を目指すのか定まらず、まずは医療職以外に転職したいとハローワークへ。そこで、試しに本当に思っていることを伝えてみようと口をついて出たのが「漫画家になりたい」だった。


会話した言葉の数は少なくても、正直な気持ちを決して否定せずアドバイスをくれる職員さんにのり漫さんの気持ちも変化していったそうだ。
「漫画家になりたいなんて言ったらバカにされる、そんなの恥ずかしいという思い込みを壊してくれました。思いに寄り添ってくだったことで、『許可』を得たような気がしたんです。変ですよね。本当は誰の許しも必要ないはずなのに許されないと勝手に思っているなんて。医療職を選んだのも、世間に見栄えのいいように『よきこと、役に立つことをすべきだ』という思い込みもあった気がします。私、本当は何にも役に立たないこと、無駄なこと、くだらないことが大好きなのに、そういう気持ちも押し殺していたんですよね。『許可』を得て正直に生きていいのかも…と、気持ちが楽になった気がしました」


シンプルなタッチで日常の温かい物語を描くのり漫さんの漫画。忘れたくないことを残したいときや、モヤモヤした感情を紐解きたいとき、のり漫さんはペンを握るのだそう。最後に今後の展望について聞いた。
「ハローワークの職員さんに『漫画家になりましたよー!』と書籍を渡しに行けたら最高だと思いますね(笑)。声をかけてくださっている編集者さんがいるので、あとは私の頑張り次第です…!漫画は描かずにはいられないので描き続けると思います。エッセイ漫画家は現実と格闘してこそだと思うので、団地のご近所さんをはじめ、さまざまな人との関わり、夫と息子と向き合うこと、バイト先のお店での奮闘、そして新たな出会いも、日常の一つひとつを大切にそしてすべてをネタに替えていきたいと思っています。まずは、こちらの記事をハローワークの職員さんに見せに行きたいと思っています!」


これからののり漫さんの漫画も楽しみにしたい。
取材・文=松原明子