母親に「あんたなんか産むんじゃなかった」と言われた男。漫画やドラマでよくあるシーンを、あえて描いた真意とは?【作者に聞く】

誰にも理解されない気持ちを抱えた母親もいるのでは

加恋の施術中、自身の幼少期を思い出すイーロン。母親の彼氏がやって来る日は500円を渡され、外で時間をつぶしていたあのころ。彼氏といるときの母親は、別人のように幸せそうに見えたという。だが、彼氏からの連絡が途絶えると母親は荒れ出し、イーロンに「あんたなんて産むんじゃなかった」と吐き捨てる。

この母親とイーロンの描写に込めた思いを、教えてくれた。

「男にだらしない母親が若い男を家に連れ込み、子どもを邪魔物扱いしたあげく『あんたなんて産むんじゃなかった』と言い放つシーンは、いろんな漫画やドラマで繰り返されてきたので、見飽きた人もいるかと思います。でも、フィクションの世界だけでなく本当に子どもにこんなことを言ってしまう、または思ってしまう親は実在するので、あえてこのようなよくあるシーンを描きました」


よくあるシーンを描くことで伝えたかったのは、「ひどい母親も存在する」ということではないそう。

「彼女自身、母親になりたくてなったわけではないという、誰にも理解されない悲しみを抱えています。産む選択をしたのは自分自身ではありますが、周りの友人と同じように本当はもっと遊びたかったし、彼氏と恋愛も楽しむ時間も欲しかったのではないでしょうか。また、覚悟ができていない状態で『母親』という役割がのしかかり、周囲から『母親なんだから』『母親のくせに』という目で見られることも、彼女を苛立たせているような気がします」

また一般的な価値観も、彼女を追い詰める原因の一つになっていると言う。

「世間一般的な『子どもを愛さない母親なんていないはず』という価値観も、彼女にとっては押し付けのように感じて苦しいのだと思います。この母親だって、イーロンのことを愛していないわけではありません。でも、いいか悪いかは別として、子どもよりも自分の欲求を優先してしまう女性もきっと存在しています。それを『悪い母親』と決めつけるのではなく、理解しようとすることが大切ではないでしょうか」

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