「お母さんから一生離れちゃダメよ」と言われ続けていたのに、突然「いつまで独身でいるつもり?」と聞かれて絶句…【作者に聞く】
母親から逃れるために恋人をつくっても、根本的な解決には至らない?
過干渉な母親から逃れるきっかけとして、恋人をつくる人は多いように思います。でも彼氏ができたとしても、これで解放されたとは言いきれないのではないでしょうか。若菜は母親の話し相手になることで、母親の役に立つ「いい娘」でいたいと思うように育てられました。若菜自身もその役割を引き受けることに、満足していました。なので、この状態のまま母親から離れたとしても、彼氏のことを無意識に「母親の代わり」として接してしまい、解決には至らないように思います。
また、幼いときから母親の顔色をうかがってきた若菜は、自分よりも彼氏の気持ちを優先してしまい、嫌われたくないからなんでも言うことを聞いてしまうタイプだと思います。彼氏も「この子なら思い通りにできそうだ」などと思って、近づいてくる人間ばかりのような…。若菜は無意識でそれに気づいていたから、「これ以上はだめだ」と体が叫んでいたのでしょう。




加恋の施術を通じて、母の呪縛から逃れるために恋人を作ろうと焦っていたことに気づいた若菜。これからは自分の決めた生き方に自信を持つと誓い、「加恋さんも自分の人生を生きてくださいね!」と笑顔で店を去る。だが、この言葉を聞いた加恋に笑顔はない。数々の客を癒やしてきた彼女が、自身の抱える闇と向き合う日は来るのだろうか。今後も楽しみにしてほしい。
取材・文=石川知京