神戸どうぶつ王国のスナネコの赤ちゃん、ついにお披露目!人工哺育の舞台裏に密着

関西ウォーカー

X(旧Twitter)で
シェア
Facebookで
シェア

「神戸どうぶつ王国」に誕生したスナネコの赤ちゃんが、9月25日(金)から公開される。くりくりの丸い目にふわふわの毛並み。赤ちゃん時期だからこそのかわいさを目に焼き付けよう!

「砂漠の天使」と呼ぶにふさわしい、キュートな赤ちゃん。今は茶色い縞模様があるが、成長と共に縞模様が薄くなる可能性が高いそう


スナネコって一体どんな生きもの? 

砂と猫で「スナネコ」。馴染みがありそうな名前だが、国内では2020年3月まで飼育例がなかったので、対面したことがある人は少ないはず。体長40~60㎝、体重2~3㎏と、野生ネコのなかでも最も小さい品種の一つで、生息地であるアフリカなどの岩砂漠に溶け込む毛の色と、熱い砂から足裏を守るため肉球が毛におおわれているのが特徴だ。

あどけない顔だちや大きな耳など愛らしい姿から「砂漠の天使」と呼ばれているものの、牙が鋭く気性が荒いためペットには向いていないそう。

キュートな「砂漠の天使」が誕生!

「神戸どうぶつ王国」では、姉妹園「那須どうぶつ王国」と共に2020年3月から日本初となるスナネコの飼育を開始。8月下旬には、公開後すぐに人気者になったムスタ(オス)とバリー(メス)の間に元気なオスの赤ちゃんが誕生した。スナネコの繁殖は国内で3例目、同園では初めてのこと。しかし、本来は赤ちゃんから離れないはずの母親が頻繁に巣箱から出て育児をしないため、人工哺育に切り替えることに。

おっとりとした性格のムスタ(父親)と活発な性格のバリー(母親)


スタッフがタッグを組んで母親代わりに

同園では前例がないスナネコの人工哺育。大きなプレッシャーを感じながらも、獣医師や多くスタッフと力を合わせて小さな命をはぐくんできた飼育担当の馬場さんに、赤ちゃんの最近の様子や人工哺育の裏話を聞いた。

くりくりの目がかわいい!赤ちゃんの時期は肉球が毛でおおわれていないので、ぷっくりとした肉球が見られるかも


「赤ちゃんは、現在(9月15日取材時)体長19㎝、体重262g。すくすくと順調に成長して、生後14日目には両目が開きました。初めは夜中も含めて4時間おきに1日6回授乳していたのですが、今は夜中の授乳は終了して1日5回になりました。最近では、ミルクを飲ませるために保育器の近くに行くと、ミャーミャー鳴きながら近づいてきてくれるんですよ。人工哺育だからこそ見られるかわいい姿です」

生後14日目に開眼。「目が開くというのは、成長過程のなかで大きな節目なので、無事に両眼が開いた時はホッとしました」と馬場さん

生まれた時は体長15㎝、体重59.6gと手のひらサイズ

生まれた直後の姿。生後14日目までは目が閉じたままだった


現在、1回に飲むミルクの量は13ml。大さじ1杯が15mlなので、その少なさに驚くが、「母親のおっぱいから飲む量を基準にしている」とのこと。いつかは自然に近い環境で暮らせるように、母親スナネコが本来とる行動を参考にしながら育てているそう。

生後7日目の授乳の様子。開眼前だが、自分の力でミルクを飲んでいる


工夫を凝らした人工哺育の舞台裏

今回生まれた赤ちゃんは1匹のみで兄弟はいない。しかも、母親から離れて人間の手で育てられているため、ほかのスナネコと接する機会がないまま成長することになる。

「スナネコは群れを作らないので、人工哺育が終了してもムスタ(父親)やバリー(母親)と一緒に暮らすことはできません。そのため、目が開く前から保育器の中に鏡を設置して自分の姿が見られるようにしています。成獣になった時、ほかの個体と自然に触れ合える子に育ってほしいと思っているんです」

赤ちゃんが自分の姿を見られるよう、目が開く前から保育器の中に鏡を設置


スナネコの母親が赤ちゃんの体をなめるように、湿らせたコットンで優しく体を拭くこともあるそう。

母親スナネコと同様に、赤ちゃんの体を優しく拭くスタッフ


「ペットではないので、ベタベタと触ってかわいがるのではなく、あくまでも母親の代わりとして接するように気をつけています」

温度管理と感染予防を徹底

人工哺育が初めてということもあり、馬場さんの受けたプレッシャーは相当大きなものだったという。

「獣舎に設置したカメラ越しに赤ちゃんが誕生する瞬間を見守りました。無事に生まれてきてくれて『うれしい!』と感動に浸る間もなく、バリーが赤ちゃんから離れてしまって…。そのままにしておくと体温が低くなって衰弱してしまうので、早い段階で人工哺育に切り替えることになったんです。赤ちゃんを担当するだけでも緊張するのに、人工哺育だなんて! ほかの業務に就いている時でも『元気かな?元気かな?』って、今でも気になって仕方がありません」

保育器の温度管理と感染予防には、特に注意を払っているそう。

「生まれて間もないころは体温を自分で保てないので、保育器の中の温度を母親のおなかの中と同じ33度に設定していました。最近は設定を28度に変更し、湯たんぽを設置しています。寒いと感じた時は自分で移動して湯たんぽの近くで眠るようになったんですよ。たまに湯たんぽと壁の間に挟まって眠っていて…その姿が超かわいいんです」

赤ちゃん時期の今だからこそ見られる、あどけない表情や仕草にキュン


保育器を設置している部屋に入る時は腕までしっかり消毒して、防護服のようなエプロンや手袋を着用し、靴底も消毒。免疫力が低い赤ちゃんのため、感染予防策を徹底しているそう。

かわいい赤ちゃんに会いに行こう!

「赤ちゃんはぐんぐん成長して1年~1年半で成獣になります。たった10日ほどの間に目に見えて大きくなるので、“いかにも赤ちゃん”な姿を眺めたい方は、お早めに来園してくださいね」

9月25日(金)以降毎日、「コンタクトアニマルズ」エリアの一角で、11:00~13:00、14:00~16:00に公開。3密を防ぐため、整理券が配布される可能性もある。

赤ちゃんの性格は、今はまだわからないが、どんな子に育つのか楽しみだ


今、赤ちゃんの口には乳歯がチラホラ。

「生後1か月半ごろには、ミルクから離乳食に切り替えます。そして、自分でご飯を食べられるようになる生後半年ごろ、私たちの手を離れる予定です。あと数か月の人工哺育。順調に大きくなるよう、愛情を注いで育てたいと思います」

乳歯がチラリ。哺乳瓶の先を甘噛みすることもある


なお赤ちゃんの名前はまだ決まっておらず、公募方法などは決まり次第「神戸どうぶつ王国」のSNSで発表される。

取材・文=吉田英子

※新型コロナウイルス(COVID-19)感染症拡大防止にご配慮のうえおでかけください。マスク着用、3密(密閉、密集、密接)回避、ソーシャルディスタンスの確保、咳エチケットの遵守を心がけましょう。

この記事で紹介しているスポット

この記事の画像一覧(全12枚)

キーワード

テーマWalker

テーマ別特集をチェック

季節特集

季節を感じる人気のスポットやイベントを紹介

いちご狩り特集

いちご狩り特集

全国約500件のいちご狩りが楽しめるスポットを紹介。「予約なしOK」「今週末行ける」など検索機能も充実

お花見ガイド2024

お花見ガイド2024

全国1300カ所のお花見スポットの人気ランキングから桜祭りや夜桜ライトアップイベントまで、お花見に役立つ情報が満載!

CHECK!今が見頃の花見スポットはこちら

ページ上部へ戻る