細かすぎるガンダムのアレンジイラスト。「実現可能では…?」と妄想が止まらない!
関西ウォーカー
ロボットアニメの金字塔として、長きにわたり愛され続ける「機動戦士ガンダム」シリーズ。モビルスーツと呼ばれる機動兵器は作品を象徴するものだが、そのモビルスーツを独自アレンジしたイラストにTwitterで注目が集まっている。
大好きなモビルスーツを妄想アレンジ!ジオング、ガンタンク、ギャン etc.
投稿者の「とさしん。(@tosashin1028)」さん(以下、とさしんさん)が、ガンダムのイラストを描き始めたのは2年ほど前。体調を悪くして退職し、数年引きこもっていた際、中学から高校の間に描きためていたオリジナルのロボットを、暇つぶしにデジタルでリメイクして投稿していたという。
「フォロワー数も400人程度で頭打ちになったので、試しに大好きなモビルスーツ『ジオング』をアレンジしたものを投稿したら、いきなり2000いいねをいただきまして…。これはオリメカ(オリジナルのメカ)を見てくれる客寄せパンダになるのでは…と思ったのが正直なところですね。でも、描き続けるうちに自分が楽しくなってハマってしまい、現在に至っています」
とさしんさんのガンダムイラストの魅力は、独自の設定(妄想)に応じて形をアレンジし、もともとは見えていない機体の内部を見せたり(腕の表面をはがして中身を機械的に見せるなど)、新たな装備を取り付けたりと、ファンにはたまらない細部まで凝ったアレンジが施されていること。なかでも反響が大きかったのがガンタンク。戦車として砲座を回転させ、車高を低くしたことで、重厚感がありかっこいいデザインに!
イラスト内の説明文は公式設定に、とさしんさん独自の設定を加えたもの。同じく型式も、とさしんさんの妄想の世界「とさしん宇宙世紀」での型式で、公式設定とは少し異なっている。
とさしんさんは小さい頃から特撮ヒーローやアニメのロボットを描くのが好きで、ガンダムをはじめ、ザクやドムも雑誌などに載っていたものを模写するほどだったという。当時、地元ではガンダムのTV放映がされていなかったが、ロボット見たさに親にねだって劇場版を観に行き、衝撃を受けたのだそう。
「アニメの中で『戦争』をしていること、ザクやグフは悪者ロボットではなくモビルスーツという『兵器』であり、使い捨て的な道具だということ。主人公アムロからして、最後にはガンダムを簡単に捨てちゃうし。もうイチコロでした。『機動戦士ガンダム』は戦争の中での人間模様を描き、そのストーリーの道具のひとつがモビルスーツ。見ただけでガンダム物語が透けて広がって見えるようなモビルスーツを表現できる限り描いてみたい…と、素人ながらに思っています」
プラモデルで使われる塗装技法をイラストでも再現
「最近は制作していませんが、子供の頃はガンプラに夢中だったので、模型のウェザリングを二次元で再現するのが楽しいです」と語る、とさしんさん。宇宙、陸、水中、砂漠、寒冷地など機体を使う環境によって“汚し”や“コーティング”を変えているというのが、彼のイラストの素晴らしいところだ。
20mもの巨大な構造物であることを頭に入れた上で、弾痕を入れ、サビの種類を考え、油汚れは関節部分、砂や泥汚れは1番最後に足元あたりだけに入れる…。プラモデルでよく使われる塗装技法をイラストで再現することで、よりリアリティのある仕上がりになっているのだ。
ガンダムファンをより引きつけるのは「一年戦争のモビルスーツは全般的にモノコック構造(機体の装甲そのものが骨格となる構造)、またはセミモノコック構造のはずなので、表面の分割ラインはあまり付けずに、最小限のメンテナンスハッチをデザインしたいと考えています」といった細部のこだわりだ。さらに、とさしんさん独自の設定では、試作実験機であるシャア専用ザクとジオングについては、分解整備調整がしやすいフレーム構造にしてあるという。
発想のヒントは?と聞くと、「どのモビルスーツを描くか決めた後は、いつもその場の思いつき、行き当たりばったりの積み重ねでイラストが出来上がっていきます」と、意外にもシンプルな答えが。小さい頃から模写やガンプラに夢中だったこともあり、自然とアイデアの引き出しが多くなっているのだろう。
フォロワーからは「このイラストのメカでガンダムのリメイクアニメが観たい!」「バンダイさんはやく模型化してくれー!」など、うれしい言葉をもらうことも多いそう。実際に、とさしんさんの描いたイラストをプラモデルで再現しようとする人もいるほどだ。
ガンダム以外にも「銀河漂流バイファム」やガンダムシリーズと同じ富野由悠季監督が手がけた「聖戦士ダンバイン」のイラストも。もちろん、小さい頃から描くのが大好きだったオリジナルロボットのイラストを投稿することもあるという。
「素人の独りよがりなイラストをたくさんの方が見てくれて、コメントもたくさんいただけて、本当にありがとうの気持ちでいっぱいです」と喜ぶ、とさしんさん。
「反響が想定の範囲を遥かに超えて、未だに狼狽しております。お言葉だけでなく、さらには立体化にチャレンジしてくれる猛者まで。スランプだと感じた時も励みになりますし、次作への力になっております。たまに気まぐれでガンダム以外のものも描きますが、見捨てず末永くよろしくお願いいたします!」
アレンジや設定ももちろん面白いが、とにかく絵のクオリティが高いとさしんさんのイラスト。実寸で立体化できるのでは?と妄想が膨らむほど、メカニックな造形が細かく描かれていて、色の塗り方一つにしてもとさしんさんのガンダム愛が感じられる。どんな妄想を見せてくれるのか、どこまでハイクオリティなイラストを作り出してくれるのか、今後の作品にますます期待が高まる!
取材・文=江口琴音(glass)
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