【人生が一度めちゃめちゃになったアルコール依存症OLの話】「仕事というより懲役」元アルコール依存症OLがマンガを通して語る、“負の感情”に満ちた職場体験

東京ウォーカー(全国版)

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にほんブログ村「コミックエッセイ」ランキングでたびたびTOP10に入るなど人気を博している、元アルコール依存症のアラサーOL・かどなしまるさん(「 お酒がないと××できません 」/ @marukadonashi )。新卒で入った会社で人間関係に悩まされ、毎日の仕事がつらくてたまらなくなり、「ダメだ」とわかってはいながらも、お酒を飲んでから出勤するようになってしまったという。そのリアルな体験記を、新たにマンガで描き下ろしてもらう連載企画がウォーカープラスでスタート。第1話の掲載に合わせて、改めて当時のことを振り返ってもらった。
※アルコール依存症は完治しない病と言われています。著者の個人的な見解で、一番ひどい状態にあった過去と区別するためにタイトルで「元アルコール依存症」と謳っていますが、著者自身も自分の依存症が完治したとは思っていません。

かどなしまる(@marukadonashi)


――アルコール依存症になったのと、特に症状が重かったのはいつ頃ですか?

「新卒で小さなメーカーに入り、事務職として勤めはじめて半年くらいで依存症になりました。そこから辞めるまでの1年半ほどと、その後のフリーター期が特に症状が重かったです。せっかくの“華の20代”(笑)だったのに、寝ているとき以外は酔っぱらっているか、飲み過ぎて具合が悪くなっているかだったので、記憶が膜を張ったように薄ぼんやりしています…」

1/5かどなしまる(@marukadonashi)


――新卒で就職活動をしたとき、そのお仕事、その会社を選んだのはなぜでしたか。

「何もかも人並み以下のスキルだったのに、特に武器も持とうとしないまま就活を迎え、『と、とりあえずどこかしらに就職しよう!』なんていう心意気で面接を受けていたので、どこも1次選考の段階で落っこちていました。門戸が広いのは事務職か営業職だったので、業種問わずどちらかで探していて、当時の勤め先を見つけました。小さくまとまったイメージの会社が何となく自分のスケールにも合っている気がしたのと、唯一内定をもらえたので入社しました」

――当時働いていた会社の雰囲気を教えてください。

「派遣の短期バイトの説明会に集められたときのようなよそよそしさが常に漂っているというか…『自分の本当の居場所はここじゃない』という意識だけが共通していて、みんな何もかもが他人事のようでしたね。3カ月に1人は必ず辞めるし、誰かがいきなり来なくなることもザラにありました」

「身内経営ゆえの幹部同士の独特な距離感や、あらゆることの線引きの曖昧さ、課長の暴言・パワハラなどが、陰鬱な雰囲気をつくってました。でも、その場にのまれて暗くなってしまっていた私自身も、その一因だったんだと思います。今思えば、あの雰囲気は個々の“負の感情”を混ぜ合わせた共同創作物でした…」

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――課長、お局さん、ギャル先輩といったマンガで描かれる登場人物たちは実在していたのでしょうか。

「おおむね実在していますが、私がこれまでに出会った人々を組み合わせたりもしています。例えば、お局さんのモデルは2人いて、それを1人として表現しています。課長とギャル先輩はまんまですね。もっとスキャンダラスなエピソードのある人もいたのですが…それは自分の胸の内に秘めておこうと思います」

――入社したての頃、特につらかったことは何ですか。

「課長とお局さんの『冷たい目』でしょうか。ポンコツの私は仕事ができず、ミスが多くて怒られてばかりいました。もちろん私のせいではあったのですが、話しかけて書類を渡しても、冷たい一瞥だけよこされたりと、返事をしてもらえなくなったのはつらかったです。『やっぱり私って、人に無視されるような劣等な人間なんだよな』と卑屈になり、そんな態度が周りをさらに苛立たせてしまっていたと思います。誰に話しかけるのにも怖くて心臓がバクバクするというのは、神経がすり減ってつらかったです」

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――「通勤中、駅のトイレでスト缶2本を一気飲み」というエピソードに驚きました。

「家にお酒があるとあるだけ飲んでしまうのと、当時一緒に暮らしていた妹に飲酒を咎められがちだったので、外でお酒を調達してその足で飲むことにしていたんです。最寄りのコンビニでスト缶を2本買って、駅のトイレで“便所酒”をしていました。朝のお手洗いは混むし、もたもた飲んで他の人を待たせるのは忍びないので、3分以内に出るようにイッキしていました。酔えないと途中下車してコンビニでお酒を買って、またトイレでこそこそやるという、いま思えばひどい飲み方でした…」

※一気飲みは死に繋がる可能性のある非常に危険な行為ですのでお止めください。

――「仕事というより懲役」という言葉には、社会人の1人として共感するところがありました。

「それまで、社会で生きていくための処世術を身に着けることもなく、のんきに生きてきた自分への後ろめたさから、『懲役』という言葉がしっくりきたんですよね。『あのとき自分と向き合わずに逃げたツケだ!』と思い当たる節ばかりだったので…。何のとりえもない、甘えきった自分は、自由もなく社会へ服役するのが当然だという諦めもありました」

「毎日仕事に行きたくないと思い、1日の大半を削り取られて、その対価であるお給与を使う間も『仕事嫌だ』が頭から離れない。休みの日もずっと仕事の納期が心配で、連休に帰省することも叶わない。社会人ってこんなにも窮屈なのか…と絶望していました。心から安らいだり、心弾んだりする瞬間は、働いている限りは未来永劫ないのだと、悲観的にしかなれなかったです」

「自分のせいという認識はあるけど、会社のせいにもしたい、そんな自分の人格が透けて見えるのが、『仕事というより懲役』という表現だったのかなと思います」

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――最後に、いまのお仕事と、お酒との付き合い方を教えてください。

「毎朝、土日までのカウントダウンをするのが本当に憂鬱だったので、いまの仕事はシフト制です。また、外部とのやり取りは電話が主というのには閉塞感があったので、来客が多めの仕事についています」

「月収は手取り平均14万と平均以下ですが、何より職場の人間関係が良いんです。毎朝家を出るのが怖くない日が来るなんて…想像もつきませんでした。ときには不満を抱いたり、失敗したりすることもあるので、修行は続いていますが、それでも良いんだ、今度は自分のどこを修正しよう?と向き合うのも悪くないです」

「お酒との付き合い方は難しいですね。ヘンな関係です。『お酒好きなんだ~!』と晴れやかに言えることはありません。ブログで『仕事帰りの一杯最高~!』と書いていても、『あれ、私お酒最高とか言って良いんだっけ…』とわからなくなります。自分で決めていいことなのに、過去の後ろめたさがいまだに付きまとっていることは否めないですね」

5/5かどなしまる(@marukadonashi)


取材協力:かどなしまる(「 お酒がないと××できません 」/ @marukadonashi )

※飲酒の際は、食物をとりながら、自身にとって適切な量をゆっくりとお楽しみください。自分で飲酒の量やタイミングをコントロールできず、お悩みの場合は、専門の医療機関を受診してください。
※20歳未満の飲酒は法律で禁じられています。

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