井浦新「俳優としてのビジョンはまったくない」自身が思う“俳優の真価”

東京ウォーカー(全国版)

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――劇中の冒頭の、「自分史上一番古い記憶って、何か覚えてる?」というセリフがこの作品のキーワードになっていると思います。そのセリフにちなんで、井浦さんの俳優としての一番古い記憶を聞かせてください。

【井浦新】デビュー作の『ワンダフルライフ』のオーディションですね。当時は俳優志望ではなかったんですけど、是枝裕和監督が会いたいと言ってくださっていると伺ったんです。そこでとりあえず、何の気なく会いに行ったつもりだったのに、思いっきりオーディション会場で(笑)。


その場では10人くらいの大人が座っていたんですけど、どの人が是枝監督なのか、当時はわからなくて。あとから振り返ると、オーディションの時に話していたのは助監督で、是枝監督は端っこで僕をじっと見つめていたんですよね。そこで何を思ってくださったのか、主演に選んでくれた。それが俳優としては一番古い記憶で、始まりの瞬間でした。『ワンダフルライフ』には僕が演じる主人公が一番古い記憶を語るシーンがあって、この作品と重なる部分があるんですよね。懐かしいなぁ。

――意外な始まりですね。そうして俳優デビューされたあと、数多くの作品に出演されて、今年だけでも5作の映画が公開となる井浦さん。出演作はどのように決めていますか?

【井浦新】僕はどんな作品をやっていきたいとか、俳優としてこうなりたいとか、そういったビジョンはまったくないんです。俳優の真価は、役をとおしてどんな人間にもなれることだと思っています。千本ノックじゃないですけど、自分をイメージしていただいた役だけでなく、「こんな役もできるのか?」と、イメージと真逆だからこそ配役したいという監督やスタッフの思惑に身を委ねて、ご縁をいただいた順に丁寧に取り組んでいます。


いろいろな人間になることで表現も広がると思いますし、それがすごく楽しい。難しいからこそ楽しくなる、この気持ちを味わえることがとても幸せですね。

――井浦さんは、コロナ禍で経営に苦しんでいる映画館やミニシアターを応援する「ミニシアターパーク」での活動もされていて、映画に対する思いや感謝が深いように感じます。

【井浦新】斎藤工さん、渡辺真起子さんと立ち上げた「ミニシアターパーク」は、俳優たちが一体となって映画館に少しでも力添えができないか、という思いで始めました。まだスタートして間もないですが、それぞれ映画や映画館に対する思いを持つ俳優が自主的に集まって、応援動画を作ったりしながら、少しでも力になれればいいなと思っています。


映画は僕を俳優として生んで、現場で育ててくれました。映画によってさまざまな世界を見ることができて、救われたり、心を動かされたりして、今に繋がっていると実感しています。新型コロナウイルスが収束した時に、やって良かったと思えるように、この活動を続けていきたいですね。

――コロナ禍になって、生活や仕事をするうえでさまざまなことに制限がかかりました。収束したら、どんなことをされたいですか?

【井浦新】『かそけきサンカヨウ』で演じた直のように、私生活で家族に寄り添っていたいと思っています。コロナ禍が落ち着いたら、家族みんなで台湾に行きたいですね。一緒にきれいな夕日を見たいです。

撮影=八木英里奈
取材・文=イワイユウ

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