【マンガでわかる!お金超入門】今さら聞けない!つみたてNISAのメリットと注意点を解説!
東京ウォーカー(全国版)
「お金のことをもっと勉強しなきゃ」「お金の使い方を見直したい」と思いながら、何から手をつければよいかわからない――。そんな“お金超初心者”に、ファイナンシャルプランナーの坂本綾子さんが “お金の基本のキ”を教える連載がスタート。アベナオミさんのマンガとともに、これからの時代に知っておきたい「お金の知識」をわかりやすく楽しくガイドします!今回は第28回です。
税金を優遇して国民に投資をさせようとする理由とは?
国民が投資をしやすいように国が誘導していると言ったら驚きますか? この連載では第24回から投資について説明してきました。投資の基本は株式、だけど、どの株式を選ぶかで結果が大きく違ってくるから難易度が高い、この難しさを解消できるのが株式を袋詰めにした投資信託でしたよね。そして、株式や投資信託を買えるのが、今回のテーマであるNISA口座です。しかもNISA口座で買った場合、株式や投資信託の利益にかかる税金が非課税になります。
預金や投資などでお金が増えると、増えた分は収入とみなされ20.315%の税金(所得税+住民税+復興特別所得税)がかかります。税金を引かれるので、増えた分のお金の手取りは約8割に減ります。NISAならこの税金がかからないのです。それならNISA口座で株式や投資信託を買ってみようかと思いますよね?なぜ税金を優遇してまで国民に投資をしてもらいたいのでしょうか?
若くても、老後の年金や生活に不安を感じる人はいるでしょう。年を重ねるにつれ、その不安はじわじわと大きくなるのではないでしょうか。老後の生活を成り立たせる収入としてはまず公的年金があります。加えて、前回紹介した私的年金をもらえる人もいるでしょう。それこそ株式や投資信託を持っていて、その配当金や分配金が入ってくる、アパートを持っていて家賃収入がある人もいるかもしれません。自分が働くのではなく、このように私的年金や株式、不動産などの資本から得られる収入のことを資本所得と言います。
国際的に比較したとき、日本は老後に資本所得からの収入が少なく、働いて得る労働所得の割合が高いと言われています。生涯現役で働く、これも素晴らしいことですが、ある程度の資本所得があれば、老後の安心材料になります。
公的年金だけで老後の生活費をまかなえない場合に備える方法として、国では私的年金の1つである確定拠出年金(第27回で紹介)や、今回のNISAを普及させようと税金を優遇しているのです。
一般NISAとつみたてNISA、どちらを選ぶべきか?
では、NISAはどんな仕組みなのでしょうか?20歳以上で日本に住民票があるなら誰でも使えるのがNISA口座です(未成年者のためのジュニアNISAは2023年末に廃止のため取り上げません。また成年年齢の引き下げにより2023年以降は18歳以上で利用できます)。
一般NISA とつみたてNISAの2種類あり、どちらかを選んで使います。2つの違いは次の通りです。
今のところNISAは期間限定の制度で、口座を開設できる期限があります。いずれも、銀行、証券会社など幅広い金融機関がサービスを提供しています。ただし、NISA口座を使ってどんな投資をしたいかに合わせて、金融機関と、どちらのNISAにするかを選ぶ必要があります。
NISA口座で株式を買いたいなら、証券会社で一般NISA口座を開きます。株式市場に上場された株式を買うことができます。
投資信託を買いたいなら、証券会社、銀行など幅広い金融機関を選択できます。一般NISAを選べば、一括でも積立でも投資信託を買うことができます。ただし、どんな投資信託が品揃えされているかは金融機関により異なります。
投資信託については、第26回で紹介しました。投資信託は種類が多いので、どれを選んだらいいか迷ってしまう人もいるでしょう。そんな場合は、つみたてNISAを選ぶことをお勧めします。つみたてNISAで買える投資信託は、一定の条件を満たし(手数料や運用方針など)、長期の積立投資に向いていることが理由です。現在、約180本の投資信託が対象商品として届出られています。つみたてNISA口座のサービスを提供する金融機関により、対象商品をほぼ網羅しているところ、絞り込んで提供しているところがあります。対象商品の中のどの投資信託を使えるかを確認して金融機関を選びましょう。
つみたてNISAなら投資信託のリスク低減
もう1つ、つみたてNISAのメリットは、名前の通り投資信託を積立でのみ買うことができます。投資信託の価格は、中に入っている株式などの値動きにより変動しています。積立にすることで、その都度、変動する様々な価格で買うことになりリスクを低減できます。また、非課税期間が20年と長い点もメリットです。
一般NISAでも投資信託の積立はできますが、利用できる投資信託は、日本で運用されている数千本の投資信託から各金融機関の判断で選択されていて、非課税期間は5年間と、つみたてNISAよりも短くなります。
株式、投資信託の他にも、REITとETFを利用できるので簡単に説明します。
REITは、投資する対象が株式ではなく不動産です。不動産を袋に詰めることはできませんが、理論上は不動産の袋詰めと思ってください。運用会社が複数の不動産を所有して、その家賃収入などを投資家に分配する仕組みです。オフィスビルや商業施設、リゾート施設、介護施設など、様々な不動産に投資するREITが、東京証券取引所には約60本上場されていて、証券会社で一般NISAの口座を開けば、これを買うことができます。
ETFは、株式などに投資する投資信託を東京証券取引所に上場して、株式のように売り買いできるようにしたものです。証券会社の一般NISAの口座なら、様々なETFを買うことができます。つみたてNISAなら金融庁に届出が行われたETFを積立で買うことができます。
自分の判断でいつでも売れるのもメリットの一つ
このようなNISA、あなたはどう使いますか?表の1年間で投資できる上限額を見たとき、どう感じましたか?NISAの正式名称は「少額投資非課税制度」で、投資を推奨するといってもあくまで少額です。とはいえ、お財布の状況によっては、1年間にこんなに投資できないと思った人もいるでしょう。あくまで上限であり、この範囲で自分の収支に合う金額で行えばいいのです。長期的には利益を得られる可能性が高いとはいえ、リスクがないわけではありません。
国が用意してくれた非課税口座ですが、使うのは自分自身で利益も損失も自分に返ってきます。メリットがあるのは利益が出た場合のみ。大きな利益が出た場合は、非課税で丸ごと利益が自分のものになりメリットが大きくなります。一方、損失が出たときは、自分のお金が目減りします。
そうならないためには、ある程度の利益が出た時点で売るという選択もあります。非課税期間は一般NISAが5年、つみたてNISAが20年で、非課税期間ならいつ売っても利益が非課税になります。自分の判断でいつでも売れるのはNISAのもうひとつのメリット。もしも売らないまま非課税期間を超えたら、その時点の評価額を元本として通常の課税口座に自動的に引き継がれます。
引継ぎ時に値上がりして入れば、引き継がれた後の利益に課税されるので、NISA口座での投資期間の利益は非課税です。一方、値下がりして引き継がれた場合は、それを元本としてそこからの値上がりに課税されます。つまり、元の投資額よりも値下がりして損をしているのに、さらに税金を引かれる場合もあります。NISAのデメリットです。
NISA口座を使うなら、必ず値上がりした時点で売ることを目標にしたいですね。
NISA口座は、2024年から制度変更が予定されています。つみたてNISAは、仕組みはそのままで2042年まで5年間の延長。一般NISAは大きく仕組みが変わります。2階建てとなり、1階部分はつみたてNISAと同じ仕組みで1年間の投資限度額は20万円、2階部分で株式投資ができて1年間の限度額は102万円。投資初心者は必ず1階部分を使う必要があり、その上で2階を使える仕組みになります。
メリット・デメリットを理解した上で、将来の資本所得を増やすこと目的にNISAを活用してみませんか?
【著者 プロフィール】
坂本綾子/ファイナンシャルプランナー坂本綾子事務所代表。 20年を超える取材記者経験を生かして、生活者向けの金融・経済記事の執筆、家計相談、セミナーを行っている。 著書に「年収200万円の私でも心おだやかに毎日暮らせるお金の貯め方を教えてください!」(SBクリエイティブ)など。
【イラストレーター プロフィール】
アベナオミ/宮城県生まれ、宮城県在住。地元情報誌のデザイナーをしながらイラストレーターとしても活動。2016年にフリーランスに。著書に「マンガでわかる!妊娠・出産はじめてBOOK」(KADOKAWA)など。
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