藤ヶ谷太輔「楽しかった思い出がひとつもない」アイドルと俳優の両立ゆえの悩みに前田敦子も共感

舞台から4年、それぞれの芝居で変わったこと

――お二人とも舞台からの続投ということで、当時から変化したなと思う部分はありますか？

【藤ヶ谷太輔】この前「あさイチ」に出させていただいて、舞台のゲネプロの時の様子がちらっと流れたんですけど、二人ともあからさまにお芝居が違ったんですよ。もちろん舞台と映像とでお芝居の仕方は異なるものですけど、なんていうのかな、映像のほうがより相手が必要になるというか。舞台みたいな新鮮さもなきゃいけないし、映像では瞬発力もなきゃいけない。お互いのパワーが大事なんですよね。お芝居の中のスタミナが上がったというか。舞台、三浦組を経験した者同士の、多くは語らなくてもわかる思いの強さみたいなものが、自分も含めて変わったかなと思いました。

【前田敦子】そうですね、三浦さんの舞台を経験してまたご一緒したことで構え方はだいぶ変わったんじゃないかなと思いました。これは映像が先だったらちょっと難しかったかもしれない。舞台を経たことで、信頼関係が出来上がっていたと思います。舞台は毎日終わりを迎えないといけないし、ほとんどしゃべる機会がなかったんです。撮影で1日を一緒にする中で、やっときちんとしゃべれるようになったので時の流れをいい形で感じました。

【藤ヶ谷太輔】本当にそうだよね。舞台の時は、僕が前田さん演じる里美の家を出るシーンまでやったあとはもう前田さんのその日の稽古は終わりで、次の方がいらっしゃって。その間は10分くらいしかなくて、前田さんとコミュニケーションを取るというよりは、そこまでのシーンでのダメ出しとかを自分でバーっと書いて、という。

【前田敦子】たしかに。入れ替わりでしたね。集中型で、自分のシーン以外は来なくていいというスタンスだったので、私は自分の時以外はほとんど行かなかったですね。

【藤ヶ谷太輔】でも映画の時は実際に苫小牧に行って、三浦さんのご両親ともお会いしていろいろお話できて。作品に登場するお父さん、お母さんとまったく一緒ということではないんですけど、どこかちょっと近い匂いを感じました。そういうのを、舞台も経験した僕と前田さんとあっきー(中尾明慶)と3人で一緒に触れることができたのがうれしかったですね。

自分が誰かに頼る時、一番最初に浮かぶのは「家族」

――最後に、裕一がいろいろな人の家を転々とすることにちなんで、もし何らかの事情でご自身が誰かの家に泊まらなければならないとなった時、一番最初に頼る人は誰かお伺いしたいです。

【藤ヶ谷太輔】僕は家族の仲がすごくいいので、家族ですね。弟か両親か。

【前田敦子】私も家族ですね。

【藤ヶ谷太輔】僕の場合、仕事の先輩、例えば同業者の先輩に連絡するほうが、「あ～」って複雑な気持ちになりますね。それこそ裕一が家族に連絡する時みたいな。

【前田敦子】そうですね、先輩とかは気を使っちゃうので、連絡をするとしたら最後になっちゃいますね。

――では、反対に裕一のような人に泊めて欲しいと頼られたらどうしますか？

【藤ヶ谷太輔】実際に泊めてみないとどうなるかわからないですからね。泊める前は中尾くんと同じように「いいよ～」という感じになるんじゃないですかね。で、しばらくして「あ、こいつダメだな」と気付く(笑)。出て行ってくれと声を荒らげることはせず、たぶん僕は冷静に淡々と説明すると思います。

【前田敦子】私はお人好しなので、絶対に「出て行って」と言えない。なので、まず連絡をとらないようにしちゃうかもしれないですね。自分の性格上、どうなるかが目に見えているので。

【藤ヶ谷太輔】1回家に入れちゃうと追い出すことができない？

【前田敦子】そうなんですよ。自分も友人に何も言えなくて苦しくなるだろうし、相手もどんどんダメになっていくだろうし、お互いにとってよくない(笑)。

取材・文＝あまのさき