中島裕翔「俺、死んだなと思いました」窮地に陥る主人公を演じた最新作と人生の大ピンチを語る
東京ウォーカー(全国版)
これまで自分が見たことない表情をしているなと思った
――川村の人間性が露呈していく過程も本作の見どころのひとつですね。
【中島裕翔】川村はいわゆるハイスペックな男で、仕事ができるし女性にもモテる、結婚式を翌日に控えた幸せの絶頂にいました。そこからマンホールに落とされるわけです。そんな中で、だんだん川村という人間の恐ろしさが見えてくる。恐怖のどん底の中だからこそ、人間としての本性が出てきてしまうんですよね。川村が人生のピークからどん底に落ちていく描き方はとても大事なところだと思ったので、監督ともよく話し合いました。

――監督からはどんなリクエストがあったのでしょうか?
【中島裕翔】「もっといやらしく」とか「ねちっこい表情を作って」とか「DVする時の顔」とか言われたかな(笑)。とにかくネガティブな感情ですよね。試写を見た時も、これまで自分が見たことない表情をしているなと思いました。あまり、表情だけをとらえて演じることはないので、川村という人物像が作り出した表情だったと思います。映像を見ても、自分が映っている気がしませんでした。だから、痛いシーンも結構あるんですが、割と他人ごとで。「すごいなぁ、痛そうだなぁ」って客観的に見ていました(笑)。
――川村の役作りはどのようにして行ったのでしょうか?
【中島裕翔】これまで自分が経験した嫌な感情を思い出す作業でしたから、精神的にはつらい部分が多かったです。ネガティブな感情を保ち続けることが最も大変でした。撮影が佳境に入るにつれ、実生活とのギャップが出てくるので、川村の追い込まれたマイナスの感情を現場で維持できるように、実生活でも気を付けていました。
――精神的にも肉体的にもつらい撮影だったんですね。
【中島裕翔】その分、この狭いマンホールという空間の中でどれだけ自分を変えられるかという新たな挑戦ができました。もともとそういうストーリーなんですが、脚本に描かれている以上の体験ができたと思っています。ただ、相当疲れたのは間違いないです(笑)。

自分がいろいろなスリラー作品を見てきて、サイコパスな役を演じられている役者さんを見ると「かっこいいな、いつか自分もやってみたいな」と思っていたんですが、実際にやってみると本当に疲れる。本作で共演した永山絢斗くんもそう言っていました(笑)。ただ、やってみたかったことが実現できたので、ありがたい経験でした。スタッフさんのご協力もあり、素晴らしい作品に恵まれ、自分自身の役者としての幅を広げることができたと思います。

コンサートのリハーサル中に起こった、九死に一生の体験
――中島さんのこれまでの人生において、川村が体験したような大ピンチはありましたか?
【中島裕翔】さすがにあそこまでのことはないけど、一度コンサートのリハーサル中に、トロッコから客席に落ちちゃったことがあって。ポーンと体が浮いて客席にダイブしたので、その瞬間は「あ、俺、死んだな」と思いました。幸い、今も生きておりますが(笑)。
――では最後に、この映画の見どころをひと言で表すと?
【中島裕翔】クレイジー(笑)。やってる僕も狂っていかなきゃいけないし、スタッフさんたちも尋常じゃない集中力で作りこんでくれました。監督をはじめ、美術さん、照明さん、みんなが団結して、マンホールという限られたシチュエーションの中でどれだけ飽きさせずに観客を盛り上げられるかを追求した結果、僕自身が本当にマンホールの中で翻弄され続けた3週間でした。皆さんもこの作品を通して、川村のアップダウンする感情の起伏を、自分がマンホールに落ちた気持ちになって追体験してもらいたいです。

取材・文=NI+KITA
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