コーヒーで旅する日本/四国編|高松に神戸からの新風。「LIMA COFFEE ROASTERS TAKAMATSU」が街に広げる、新たなコーヒーカルチャー

東京ウォーカー(全国版)

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土地柄に合わせたオリジナルメニューを提案

12時までのモーニングプレートは、ドリンクの価格+550円。オープンサンドとサラダ、ソーセージにドリンクが付いてボリュームたっぷり。オープンサンドはハムエッグ、ハニーチーズの2種から選べる

とはいえ、神戸のスタイルをそのまま持ち込んだわけではない。「地域が変われば求められるものも変わるから、高松店は独自にやらせてもらっている。目指すベースは同じですが、見た目もメニューも、いい意味で全く違います」という須田さん。コーヒーのメニューも、看板のLimaブレンドこそ共通しているが、ほかのブレンドの配合、シングルオリジンの品ぞろえも独自のものだ。神戸はサイフォンを主体とした中深煎りがベースだが、高松では浅煎りのレンジも幅広く、シングルオリジンは全16種~18種を時季替わりで入れ替え。ペーパードリップで多彩な豆の個性を提案する。

今年から登場の新メニュー・ホットドッグは、リマドッグ650円、チリチーズ750円の2種


また、軽食メニューもオリジナルで考案。今年リニューアルしたモーニングプレートは、出勤前の地元の人々や海外からの旅行者にも好評。さらに、素材を吟味したホットドッグも新たに登場し、テイクアウトでの人気が高い。「高松のお客さんはフードを好む人も多いので、スペシャルティの豆を並べつつ、軽食とのペアリングも特徴の一つになってます。繁華街のど真ん中にあってランチの店は充実しているので、食後のコーヒータイムに立ち寄ってもらえる場所として定着してきました」と須田さん。近年は豆の販売や卸の量も増えて、「今は焙煎が追い付かないほど」と、ロースターとしても確かな手ごたえを感じている。

かわいいサイズ感のドーナツも、コーヒーのお供に好評


さらに、須田さんが店長になってからは、メニューに豆のスペックやカッピングコメントを添えるなど、スペシャルティコーヒー専門店ならではの提案に注力。この志向の変化は、須田さんがメルボルンのカフェカルチャーを経験してきたことも大きい。「現地では、お客さんは日々さまざまなコーヒーに触れる機会があって、そこから自分なりのオーダーを作っていきます。日本ではラテのイメージが強いですが、シングルオリジンのおもしろさをもっと伝えるべく、バリエーションを拡げたい。その中で、まず風味の個性を楽しんでもらいたいですし、ここに来たら、それを求めたくなるような提案ができれば」と須田さん。地元出身ではないからこそ、外からの新鮮な視点を持ち込める強みを生かして、独自のカラーを打ち出しつつある。

「これからバリスタとして、より存在感を高めていきたい」と須田さん


専門店としてコーヒーのクオリティーを追求

焙煎機はより浅煎りに適したディードリッヒ製を使用

「最新のスペシャルティコーヒーを伝え、おいしく飲める場所でありたい」。そのためにも、自らがバリスタとしての存在感を高めたいという須田さん。競技会への参加や焙煎のトレーニング、全国のロースターが集まるイベントでコーヒーを淹れるなど、研鑽を積んでいる。コーヒーを通していろんなカルチャーに触れるのが、Lima Coffeeのコンセプトとしてあるが、それでも、「自分はコーヒーが好きで、コーヒー専門店として大事なのはコーヒーのクオリティー。しっかりとした技術を伴った一杯を提案するためにも、バリスタとして技術を磨いて、コーヒーを淹れるプロとしてお客さんを呼べるようになりたい」と意気込む。

コーヒーのメニューには、豆のデータやカッピング時のコメントも詳細に表記


「LIMA COFFEE ROASTERS TAKAMATSU」の開店以降、高松ではここ3、4年で、新たなコーヒーショップのオープンが相次いでいる。「ありがたいことに、“Limaができてから、スペシャルティコーヒーを出す店が増えた”といったことを、同業者に言われることが増えましたね」と須田さん。その点では、神戸からの新風というのは、大きなインパクトをもたらしたと言える。とはいえ、コロナ禍を挟んでの店作りの取り組みは、まだまだこれからだ。「ラテや抽出の教室やパブリックカッピングもできればと思うし、街のコンパクトさを利用して、新たにできたコーヒーショップを巻き込んで、連携してコーヒーの飲み比べなんかもできればいいなと思う。そのためにも、自分もバリスタとしてもっとパワーアップしたい」。変わり始めた高松のコーヒーシーン、これからさらにおもしろくなりそうだ。

近年は豆の販売も増え、ビーンズショップとしても定着


須田さんレコメンドのコーヒーショップは「仏生山珈琲 回」

次回、紹介するのは、同じ高松市にある「仏生山珈琲 回」。「2021年にオープンしたばかりの姉妹店ですが、50年近く続いた喫茶店を引き継いだ店は、店構えも内装も、照明のトーンまでも、こことは全く違う世界観。コーヒーもブレンドを中心にして、ハンドドリップで1杯立て。昔ながらの喫茶店メニューも幅広くそろっています。温泉地として有名な仏生山は、再開発が進み、人が集まっているエリアでもあり、新たなコミュニティの場になりつつあります」(須田さん)

【LIMA COFFEE ROASTERS TAKAMATSU のコーヒーデータ】
●焙煎機/ディードリッヒ2.5キロ(半熱風式)
●抽出/ハンドドリップ(ハリオ)、サイフォン、エスプレッソマシン(ラマルゾッコ)
●焙煎度合い/浅~中深煎り
●テイクアウト/ あり(450円~)
●豆の販売/ブレンド2種、シングルオリジン8種、100グラム650円~

取材・文/田中慶一
撮影/直江泰治

※新型コロナウイルス感染対策の実施については個人・事業者の判断が基本となります。
※記事内の価格は特に記載がない場合は税込み表示です。商品・サービスによって軽減税率の対象となり、表示価格と異なる場合があります。

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