銭湯のサウナに行ってきた!JR鶯谷駅徒歩3分、根岸小学校近くの下町情緒あふれる「ひだまりの泉 萩の湯」
東京ウォーカー(全国版)
サウナが楽しめる施設はいろいろある。その中でも、比較的身近な存在が銭湯だ。すべての銭湯にサウナがあるわけではないが、サウナのある銭湯が生活圏にあるかもしれないし、そうなればサウナが気軽な存在になるかもしれない。とはいえ、銭湯にも行ったことがない人は、まずはその暖簾をくぐるのにドキドキ。ということで今回は銭湯もサウナも初心者という人におすすめの「ひだまりの泉 萩の湯」(東京・鶯谷)を紹介したい。
スーパー銭湯のような地域に根差した “お風呂屋さん”
「ひだまりの泉 萩の湯」(以下、萩の湯)をおすすめする理由は、 “都内最大級公衆浴場”とうたわれているように、広々としていて充実の設備があり、入りやすい雰囲気。都内の銭湯の多くは古くは明治から主に昭和初期につくられたところが多く、古い建物を修繕しながら今に続いている場合と、建て直して新しい形で営業しているケースがある。現在の萩の湯の建物は2017年にできた4代目。ビルの1階はコインランドリー、2階がフロント、3階、4階が浴室となっている。
エレベーターか階段で2階に上がるとフロントがある。入浴料はタッチパネル式の券売機で入浴券とサウナ券を購入してフロントに渡す。銭湯は都道府県ごとに入浴料の上限価格が決まっていて、東京都の場合大人は520円。一方、サウナ料金は施設ごとに設定するので一律ではない。萩の湯のサウナは平日なら300円、土日祝は400円、特定日(年末年始など)は600円という変動制。最初ならサウナ料金が安く、比較的混雑しない平日を選ぶのもいい。サウナ券を出すときには下足ロッカーキーを預けてサウナ札を受け取る。
ここではタオルもレンタル可能(バスタオル、小タオル、ナイロンのセットが100円)、リンスインシャンプー、ボディソープは無料備え付けがあり、ドライヤーも無料で使えるので、手ぶら入浴が可能だ。こうしたサービスも銭湯ごとに違うので利用する前に確認しておこう。靴箱やロッカーを使うのに100円かかる(リターン式)場合や、ドライヤーに20~30円かかるところも多いので、銭湯には小銭を持って行くといい。小銭がなければフロント(番台)で両替してもらおう。
エレベーターで4階の女湯に向う。3階は男湯。店内は清潔で気持ちがいい。浴室に入るとなかなかの広さに驚く。広々とした浴槽がいくつかある。メインとなる白湯の浴槽、その横には軟水風呂(替わり湯)、白湯の向かいには炭酸泉、サウナの横に水風呂。奥には露天風呂もある。これだけあれば風呂だけでもかなり楽しめる。イメージしがちな昔ながらの銭湯とは一線を画すのではないだろうか。
まずは髪と体を洗う。風呂に入るにしてもサウナに入るにしてもこれは基本。ロッカーキーとサウナ札はなくさないように身につけて行動するのが鉄則。髪と体をきれいにしたら湯に入って軽く体を温める。冬場は体が冷えているので少し温めてからサウナに入るほうが汗をかきやすい。萩の湯のサウナは男女で異なるが、女性用は塩サウナと高温サウナの2種ある。
女性浴室では塩サウナと高温サウナの2種楽しめる
塩サウナは70℃前後でゆったり6名が利用できる。塩サウナはサウナ室の設定温度が低めなので、サウナに慣れていない人でも入りやすい。まずはここで体を温める。専用のマットが置かれているのでシャワーで洗って使用。塩と泥パックが置かれているので、バケツから塩を取って体に塗る。
塩を素手で取るのはNG。専用のおたまを使う。いきなり塩をゴシゴシ肌に塗る人がいるが、肌が傷つくので体にのせるイメージで。汗をかいて塩が溶けてきたら軽く肌になじませる。退室する際は、座面とマットをシャワーで流し、マットは壁に立てかけておく。また、顔用の泥パックも置いているので同時に顔パックもできる。塩と泥はシャワーできちんと流してから湯や水風呂に入ろう。どれぐらい温まったかにもよるが、塩サウナ後にすぐ水風呂はまだ厳しいかもしれないので、そこは無理せず。ぬるめのシャワーを浴びるか、露天エリアの石のベンチに座って冷ますぐらいでもいい。
次はいよいよ本丸へ。サウナ室前にあるサウナマットを持ってサウナ室へ。高温サウナは約88℃設定で定員は30名ほどと、かなり広い。銭湯サウナではなかなかない広さ。混雑して入れないということはあまりなく、座る位置を選ぶこともできる。サウナに入るときは体を拭いて、間違ってもビシャビシャのまま入らない。サウナ札はサウナ料金を払った証明になるのでサウナ室に入るときは持って入るのを忘れずに。不定期にスタッフがチェックしにくるので見えるようにしておこう。
このサウナ室は入って左に3段、右に1段あり、上の段ほど熱く感じるので慣れない人は下段へ。足を置く位置は高くしたほうがいいので、空いていればあぐらや体育座りがおすすめ。混んでいるときはスペースを取る座り方はNG。左側の1段目、2段目は座面が広いが上の段に座った人が足を下ろすスペースでもあるので、背中が後ろの段に付かないように座るのがマナーだ。
サウナ室にいる時間は気にしなくていい。時計を見るより、自分の感覚を優先しよう。サウナ室にテレビがあるのでテレビを見ていると意外と時間が経ってしまうが、自分の体と向き合うことが大切。苦しいとか、きついと感じたら無理をせずに退室すること。水風呂も自分のペースでトライしよう。サウナ好きはやたら「水風呂が気持ちいい」と言ってくるが、ここでも大切なのは自分の感覚。入れそうなら入る、無理ならやめる、でいい。水風呂が無理ならぬるめの湯を浴びるか、露天エリアのベンチに座って体を冷まそう。
とはいえ、やっぱりせっかくなら水風呂も入ってみたい!という人向けに注意点を。まず絶対やらなくてはならないのが、サウナ室から出て汗をしっかり流すこと。水風呂の水をかける人もいるが、いきなり冷たい水をかけるのは初心者には不向き。シャワーかかけ湯できちんと汗を流すことをおすすめする。入るときは足元から徐々に上に向って水をかけて、ゆっくり。ただ、足先だけ入って止まってしまうと、一番温まりにくい足先がどんどん冷えて耐えられなくなるので、できればゆっくりでも動きを止めないように腰ぐらいまで入るようにしよう。1回目のサウナ後に入れなければ、2回目のサウナ後に再度トライ。そうやって少しずつ慣らしていく。
水風呂に入れても入れなくても、サウナ→水風呂→外気浴(休憩)の流れに沿って休憩をおすすめしたい。この休憩タイムをしっかり取ることで体がニュートラルに戻り、次のサウナがまた気持ちよくなるからだ。サウナ→水風呂→外気浴を1セットとし、だいたい3セットぐらい繰り返すことが多いが、これもまた自分の体調や気分に合わせてでOK。あとは湯に浸かってのんびりしよう。萩の湯には給水機があるのでサウナや入浴時の水分補給ができる。サウナでは水分補給は必須なので必ず合間、合間で水分を摂るように心掛けて。給水機がない銭湯のほうが多いので、その場合は持参するか店内で販売しているドリンクを買っておこう。
広くて多彩な風呂で身も心もリラックス
多彩な湯があるのはうれしいポイント。人気なのが炭酸泉。炭酸が溶け込んだ湯はややぬるめなので、長くゆっくり入っていられる。炭酸泉は5~10分ぐらい入るのがいいとされ、炭酸ガスが血管を拡張することで血流がよくなり体の芯から温まるといわれている。
メインの白湯はかなり広く、ジェットバスや電気風呂もあるので入る場所によっていろいろ体験できる。また、その隣の軟水風呂は替わり湯として日替わりでさまざまな湯が楽しめる。温度は白湯よりもやや高く、しっかり温まりたいときにぴったり。サウナに入らなくても熱い湯と水風呂で温冷交代浴を楽しむのもおすすめだ。
露天風呂はちゃんと目隠しがあるので女性でも外を気にせずゆっくりできる。天井もあり完全に露天ではないが、やはり開放感と自然の風が心地いいので、手足を伸ばしてゆっくり湯を楽しみたい。こちらも不定期ではあるが温泉や替わり湯になる。12月の冬至には柚子湯を実施。風呂で季節を感じられるのも銭湯のいいところだ。
とにかく風呂だけでも満足できるのが萩の湯の魅力。これまで銭湯に来たことがない人にもおすすめしたくなるのはわかってもらえたと思う。サウナも2種あり広々としていて、しっかり熱さはあるが熱すぎず銭湯サウナデビューにはもってこい。手ぶら入浴もできるので、思い立ったらすぐに行けるのもいい。
楽しみはまだまだ!風呂上がりグルメが待っている
風呂上がりの一杯も楽しみのひとつ。昭和の銭湯では牛乳が定番だったが、今は選択肢も多い。萩の湯は地サイダーを含むサイダーの品ぞろえが充実していて、どれにするかもなかなか決められないほどのラインナップ。これだけ種類があると風呂上がりがより楽しくなる。
そして、萩の湯の大きな特徴が館内に食事処があること。フロントのある2階に「食事処こもれび」がありサ飯を食べることができる。通常、銭湯ではロビーで数種類のドリンクやアイスを売っているか自販機を設置しているぐらいだが、こうやってきちんと座ってできたての食事が食べられるのは珍しいし、ありがたい。ちなみに食堂だけの利用もできる。
サウナのあとはどういうわけかおなかが空く。汗をかいているので、水分とともに排出した塩分を補うためか、体がガッツリした食事を欲しているように感じる。ということで生姜焼き定食をチョイス。程よく甘辛いタレがごはんと合う。サウナで程よくおなかも空いていたのであっという間に完食した。これでさらに満足感UP。いい湯、いいサウナ、おいしい食事と、至福の時間が過ごせる。また、夜であれば1階のビルの脇におでん屋台が出る。屋台で一杯というのもオツなもの。とにかく風呂上がりにもいろいろな選択肢があるのが萩の湯の魅力。
銭湯は地域に密着した公衆浴場。地元の常連も多い。それが入りにくさに繋がる場合もあるが、ひとたび中に入ればアットホームな温かい空間だとわかる。わからないことがあったときや困ったときはフロントへ。多数の人で使う施設なので洗面器も椅子も浴槽も、すべてみんなで使うものだということを改めて認識し、大切に使うのはもちろん、次に使う人への思いやりも忘れないようにしたい。
大型の温浴施設と違って「いらっしゃい、こんにちは」「こんばんは」で迎えられ、「おやすみなさい」と言って見送られる銭湯でのあいさつは、温かくほっこりした気持ちにしてくれる。「いいお湯でした。お世話さま」と感謝の気持ちを伝えて銭湯を出る。サウナ施設やスーパー銭湯にはない魅力が詰まった街の銭湯。銭湯サウナデビューを目指して、ぜひ足を運んでみてほしい。
取材・文=岡部礼子
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