「人の幸せが自分の幸せ」は難しい…。食材の一番おいしい部分は誰のもの?「心曇る日は ご自愛ごはんを」【作者インタビュー】
東京ウォーカー(全国版)
つらくても「食べる」、「食」を通じて心の病から少しずつ自分を取り戻していく、そんな経験を描いたコミックエッセイ「心曇る日は ご自愛ごはんを」。連載第8回目は、食材の一番おいしい部分、じょうずに盛り付けられたほうのごはんは誰が食べるのか…?という悩ましいエピソード。毎日家族にごはんを作る人は、思わず共感してしまうのではないだろうか。
会社員として忙しくも充実した日々を送っていたある日、ふとした仕事のミスをきっかけに体調を崩してしまった作者のうめやまちはる(
@umeyama_chi
)さん。病気がもとで退職したあと、結婚。専業主婦をしながら回復に専念するも、なかなかよくならないことに不安を感じていた。病気の症状とわかっていても「あたりまえにできていたことができない」せいで、どんどん自信を失っていく。そんなとき、そっと寄り添ってくれたのは毎日の「食卓」だった。生きるために食べる。食べるために料理をする。そのささやかな繰り返しに、少しずつ心がほどけていく。
うめやまさんが自身の経験をもとに綴った本作は、第11回新コミックエッセイプチ大賞を受賞。「食」を通して取り戻していく日常の中に、大切な何かをきっと見つけることができるはず。
毎回おいしい部分をゆずっていたら、なんだか心がザラついてきて…
いつも寄り添ってくれる旦那さんに感謝を伝えたくて、じょうずに盛り付けられたほうのごはんや、一番おいしい部分をあげることにしたうめやまさん。しかし、毎回おいしいほうをゆずっていると「自分も食べたかったのに…」という思いが残り、料理に対するモチベーションが下がってしまった。
実家に帰った際、母に相談すると、「それは本心じゃないからでしょ」との答えが。感謝の気持ちに嘘はないけれど、「私の料理で私にも喜んでほしい」という本音を自覚する。
「私を喜ばせる日」があっていい
自分を押し殺して人の幸せばかりを優先していたら、やがて心のバランスが崩れてしまう。まずは自分を満たしてあげることで、人への思いやりの気持ちが自然に生まれてくるのかもしれない。第8話「主婦とシェフ」のエピソードについて、作者のうめやまさんに聞いた。
――「私を喜ばせる日」という考え方が、とてもすてきだなと思いました。鮭のおいしいところを食べることのほかに、うめやまさんにとって「自分を喜ばせる」方法はどんなことがありますか?
その日その時の気分で食べたいものを作って食べるのが一番の喜びだなぁと思います。最近だとスーパーでおいしそうなブリのあらを見かけて、これだ!と思い、ブリ大根を作りました。おいしかったです。
――この作品に登場するレシピで、もっともおすすめなメニューはなんですか?
2話のてきとう味噌汁は本当に簡単・おいしいので、ぜひ一度作ってみてほしいです。
――読者からの反応、コメントでうれしかったものや、記憶に残っているものがあればぜひ教えてください。
同じような病気の方から「共感しました」「救われました」と言ってもらえたのが、うれしかったです。
料理が得意な人も、そうでない人も、ふと作ってみたくなる、食べてみたくなるような心に沁みるレシピが登場する「心曇る日は ご自愛ごはんを」。今後も連載形式でお届けしていく。
取材協力:うめやまちはる(@umeyama_chi)
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