蒔田彩珠、恋愛や性、家族の価値観が変化した“近未来フィクション”『消滅世界』に出演「“私だけかな”と不安になることは多い」
東京ウォーカー(全国版)
7歳で子役デビューし、映画『万引き家族』『朝が来る』『三度目の殺人』など数々の話題作に出演してきた蒔田彩珠さん。彼女が次に挑むのは、芥川賞作家・村田沙耶香さんの同名小説を原作とした映画『消滅世界』だ。恋愛や結婚、家族のあり方が変わっていく過渡期の近未来を舞台に、現実と自身の感情の間で揺れ動く主人公・雨音を演じる蒔田さんは、この物語とどう向き合ったのか。役作りや印象的なシーン、この作品を通じて考えたことなどを語ってもらった。
演じた雨音は「現実と物語の狭間にいるような存在」
――現代の「当たり前」が覆されるような世界観が印象的でした。この作品で描かれる世界をどのように捉えましたか?
【蒔田彩珠】最初にお話をいただいたとき、原作小説をいただいたんです。読んでみて、まず「現実離れしているな」と思いました。でも完全にフィクションとも言い切れない、不思議な未来の話のようにも感じて。映像化するとどうなるんだろうという不安はありましたけど、それ以上に楽しみな気持ちが大きかったですね。
――出演の決め手を教えてください。
【蒔田彩珠】川村誠監督と初めてお会いしたときに、「どう撮りたいか」「なぜこの作品をやりたいか」を具体的に話してくださったんです。そのときはまだ出演が決まっていなかったのですが、監督の熱量に惹かれて「ぜひご一緒したい」と思いました。原作や脚本を読んだだけでは映像が想像できなかったのですが、監督の話を聞いて初めて自分の中で映画のイメージが明確になりました。
――今回演じた雨音という人物を、どのように理解していったのでしょう?
【蒔田彩珠】最初は雨音の気持ちをつかむのが難しかったです。撮影に入って、共演者とお芝居を重ねるうちに、彼女の葛藤や孤独をだんだんと理解していきました。雨音の感情は、この映画を観ている人の気持ちにも通ずる部分があって、現実と物語の狭間にいるような存在だなと感じています。
――雨音を演じるうえで、特に意識していたことを教えてください。
【蒔田彩珠】実験都市の楽園(エデン)に行ってからの変化をグラデーションとして見せたいと思っていました。衣装の色も黒から白へと変化していくんですが、雨音自身の心までは染まりきらないと感じていたんです。外見は白くなっていくけど、心のどこかではまだ抗おうとしている。そういったバランスを意識しながら演じました。
監督が委ねてくれたからこそ、作品や役柄について突き詰められた
――クランクインはどんなシーンからでしたか?
【蒔田彩珠】栁俊太郎さん演じる朔の職場にケーキを持って行って、一緒に踊ったり音楽を聴いたりするシーンでした。最初の撮影があのシーンでよかったです。栁さんと「一緒に頑張りましょう」という気持ちを共有できたので、前向きに撮影に臨めました。
――印象に残っているシーンはありますか?
【蒔田彩珠】エデンで灰を撒くシーンです。撮影中も完成した映像を観たときも、不思議で少し怖い気持ちになりました。空間が真っ白で静かで、でもどこか残酷で…。子どもたちの存在も相まって、強く印象に残っています。
――母親の雫(霧島れいか)とのシーンも印象的でした。
【蒔田彩珠】母親と接するシーンは緊張しました。雨音は感情をあまり表に出さない人物です。けれど、作品内で唯一、一般的とされる常識や価値観に疑問を持っている母親といるときだけは、感情的になるので…。
作品の中の世界では、配偶者=恋愛関係ではないけれど、私自身は一人の人を愛したいと思っているので、母親の気持ちもよくわかるんです。振り返ると、戦いのようなやり取りでした。演じながらもヒリヒリしましたね。
――演じていて特に難しかった部分を教えてください。
【蒔田彩珠】現実離れした設定を、観ている人がリアルに感じてもらえるように演じることです。最初は自分の中でうまく落とし込めなくて大変でした。けれど監督はあまり細かく演出せず、「まずは自由にやってみて」と委ねてくださったんです。それが逆に信頼を感じられて、自分の中でこの作品や役柄について突き詰められました。
――雨音という人物に、自分と似ている部分はありましたか?
【蒔田彩珠】あまりないですね(笑)。年齢的には近いけれど、雨音は自分の好きなものに対しても不安になったり、他人と違うかもしれないと悩んだりする人。私はどちらかというと、自分が好きなものは貫くタイプです。
同調圧力や「普通であること」について見つめ直すきっかけに
――完成した作品を観て、どんな発見がありましたか?
【蒔田彩珠】私は撮影中にあまりモニターを見ないので、どう撮られているのか知らなかったんです。見すぎると、こっちの角度から撮ってほしいな、なんて意識しちゃいそうで(笑)。基本的にはおまかせしています。
なので完成したときは、新鮮な気持ちで見られましたね。音楽も映像とすごく合っていて、監督がこの作品を通じて伝えたかったことがより明確に感じられました。
――重みのある役柄でしたが、撮影期間中に役のスイッチをオフにする習慣はありましたか?
【蒔田彩珠】役に入ったままだとしんどいので、家ではリラックスできるように心がけていました。たくさん寝て、無心で趣味の編み物をしましたね。
最近、初めてニットを編み上げたんですよ。首は凝りましたけど(笑)、母に見せたら「すごい!」って。母の影響で編み物を始めたので、褒められたときはうれしかったですね。
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