全日本への出場をかける戦い!今週末はフィギュアスケート東日本選手権【男子編】

東海ウォーカー

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全国を6地区に分けたブロック大会も全て終了し「第45回東日本選手権大会」が「軽井沢風越アイスアリーナ」(長野県軽井沢市)で2019年10月25日(金)から27日(日)まで開催される。東京ブロック、関東ブロック、東北・北海道ブロックの3地区から勝ち上がった選手達が全日本選手権、全日本ジュニア選手権への出場をかけて戦う大会だ。今回は「東京ブロック大会」で取材したシニア男子、ジュニア男子の選手達を紹介し、併せて東日本選手権の展望もお届けしたい。

國方勇樹(シニア男子、東京ブロック優勝)


國方勇樹、東京ブロックでのショートプログラムの演技


2年前、東日本ジュニアで素晴らしい演技を披露し表彰台に乗った時、この連載でも取り上げたのだが、その後思うような演技のできない時期が続いていた。スケーティングや表現は素晴らしいのだが、ジャンプがなかなか安定しなかったのだ。それが今季は驚くほど順調に来ている。

「大学生になってから歯車がかみ合ってきました。良い練習ができています。日大のスポーツ科学部に入学したんですが、スポーツで競い合っている周りの子たちが刺激になっていて、それがスケートにつながっているのかなと感じます」

そしてもう一つ、彼のスケートを高めてくれた存在があった。

「山隈太一朗君のようなうまい選手が東京、それも東伏見に来てくれて、彼と競い合うことで自分も成長できたと思います」

この東京ブロック、戦前の予想では山隈太一朗が有利だと思われていた。だがその山隈選手に刺激を受けたことで、國方選手が大きく成長した姿を見せたのだ。

「今年は東日本から全日本への枠が少ないので、このままではいけないと頑張っています。また今年の全日本は地元の代々木で開催されるので、出たい気持ちは人一倍強いです」

トリプルアクセルも習得間近な様子。全日本の舞台で輝いてほしい。

山隈太一朗(シニア男子、東京ブロック2位)


山隈太一朗、東京ブロックでのショートプログラムの演技


昨シーズン、全日本選手権で素晴らしいアピールをし、その後のインターハイで優勝した山隈太一朗。その彼が明治大学に進学し、東京の選手としてブロックに臨むこととなったのだ。

昨シーズン、評判を呼んだショートプログラムは、曲こそ同じだが、振付を変え、衣装も変わり、まるで別のプログラムのようだ。

「ショートは、昨年は音楽の感じをそのまま『ここは綺麗だから動きを綺麗に』などとダイレクトに考えていたんですが、今年は佐藤操先生とも相談し、曲調に合わせて物語をつけて、全体で一本の映画のようになることをイメージして作りました。また、やっぱり2年目というのは難しいなと思います。去年はショートで納得の行く演技が沢山できたのですが、だからこそ同じ演技ではいけないと思っていて。違いが出せているかは観てもらわないと分からないので、昨年と違うと言ってもらえるのは嬉しいです」

サマーカップでの取材の際には、「新生活に慣れていなくて春はあまり練習ができなかったんです。夏休みはしっかりやります」と語っていたが、その後どうだったのだろうか。

「夏は本当にスケート漬けの毎日でした。今までの夏で一番、自分を追い込めて、数も沢山滑れたので、凄く充実した夏を過ごせたと思います」

そう語っていた彼だが、フリースケーティングでは國方選手に逆転を許すこととなる。

「辛いですね。はい。悔しいの域を超えてるかなと思います。取りこぼしがなくても勝てたかどうか分からないので。自分は、自分が思っていたよりもレベルの低い選手だったんだなと突き付けられました。辛いです」

昨シーズンはうまく行っていただけに、久しぶりの反省の多いインタビューとなってしまったが、その点について尋ねてみると、

「今までだったらもっとボロボロになっていたんですが、それが今回はジャンプをはめることはできているので、2年前、3年前の悪かった時の感じとは全く別物です。そこは変わっていけていると思います」

東日本に向けて、4回転ジャンプに挑戦するプランもあるようだ。ブロック後の1か月の練習の成果を楽しみに待ちたい。

石塚玲雄(シニア男子、東京ブロック3位)


石塚玲雄、東京ブロックでのショートプログラムの演技


ようやく、この連載で取り上げることができた。スケーティング、表現力ともに素晴らしく、いつか取り上げたいと願っていた選手なのだが、ジャンプが安定せず、なかなか試合で結果を出すことができなかったのだ。今回、ブロックで表彰台に上ることができたのだが、試合後のコメントでは意外にも反省の言葉が多く聞かれた。

「悔しさが残る演技でした。確かに3+3は決まったんですけど、ループ、サルコウでのミスがあり『何やってるんだろうな』という悔しさがありました。もっともっと上げていけると思うので、これから東日本までの1か月の練習が大事だと思います」

昨シーズンは全日本に出場することができたのだが、結果はショート落ち。悔しい思いをしたが、その経験が生きたのだという。

「昨年、全日本を経験して、トップに行く選手は本当にスケートが好きなんだなと感じるところがありました。僕も元から好きだったんですけど、本気度が足りないなと感じました。もっと本気になろうと、自分で気付くところがありました」

その全日本で影響を受けた選手について尋ねると、意外な名前が挙がった。

「鍵山優真君。彼は楽しみつつ、練習の取り組み方、気合、オーラが違う気がしました。自分も取り入れたい、良くしていきたいと感じました」

ジュニアから推薦出場した後輩のフィギュアへの取り組み方に、感じ入るところがあったそうだ。そして、長年の課題としているジャンプについても力強く目標を掲げてくれた。

「今のフィギュア界についていくために、早くトリプルアクセル、4回転を習得したいです。東日本は気持ちの勝負になると思うので、気持ちだけは誰にも負けないよう頑張ります。今年は全日本が代々木で開催されるので、絶対に通過したいです」

東日本選手権の展望だが、東京ブロック組に加え、東北・北海道ブロックの佐藤洸彬、鈴木潤の演技が楽しみだ。山隈太一朗は本来の調子を取り戻すことができるか期待したい。シニア男子の東日本から全日本への出場枠は、シードの羽生結弦を除いて7枠だ。

堀義正(ジュニア男子、東京ブロック優勝)


堀義正、東京ブロックでのショートプログラムの演技


長く怪我に苦しみ、昨シーズン、ほぼ2年ぶりに復帰した堀義正。その時は大会に出場できるだけで素晴らしいこと、という状況だったが、今季はそろそろ結果を期待したいところだ。東京ブロックは優勝を果たしたものの、まだまだ改善点の多い演技だった。ショートプログラム後のコメントは、

「全体的には悔しい思いしかないです。最初のトリプルアクセルを決められて、加点のもらえるような出来でしたが、全体を通してみたら、その喜びがなくなってしまうような演技でした」

と、1位とは思えない反省の弁ばかりだった。優勝を決めたフリースケーティングも反省点の多い演技となってしまった。

「優勝して嬉しい気持ちもあるんですが、反面、悔しさの方が大きいかな、と思います。トリプルアクセルを決められたんですが、後半になると体力面の問題が出てきます。東日本までの課題にして練習していきたいと思います」

後半になるとスタミナが持たない、とのことだが、彼の場合、まだまだスケーティングが粗削りで、そこで疲れてしまっているのではないかと感じる。

「そうだと思います。自分のビデオを見返して、スケーティングの基礎ができてないな、と感じます。それを改善しようとは思っているんですが、なかなかうまく行かなくて。プログラムになると、どうしてもジャンプに意識が行ってしまって、スケーティングに気を遣えていないところがあります。そこを向上させたいです」

全日本ジュニアでの活躍を目指し、東日本は少しでも上位で通過してほしいものだ。

西山真瑚(ジュニア男子、東京ブロック2位)


西山真瑚、東京ブロックでのフリープログラムの演技


アイスダンスに転向した、と思われた西山真瑚だが、男子シングルの選手として東京ブロックにも出場した。ただし腰の怪我がまだ完全に癒えてはおらず、この試合ではジャンプをシングルに留めた演技となった。それでもPCSで高得点を稼いで2位入賞を果たしたのだ。

「一人だと寂しいかと思いましたが、ダンスとはまた違った感じがあり、楽しんで演技ができました。実は今年の夏の頭に腰を疲労骨折してしまって、夏の間、ジャンプを練習できませんでした。まだジャンプ練習の許可は出てないんですけど、去年、怪我をして試合に出られなかったので、今年こそはシングルとしても出て、お客さんに自分の演技を観てもらいたかったんです」

「ダンスは今年の夏、JGPを含めて4つ出たんですが、着実に経験を積めていると思います。今週MRIを撮って、少しずつ回復の兆しがあるとのことだったので、東日本までにはジャンプの練習を開始できるかな、と思います。全日本ジュニアに出て、皆さんに演技を見せたいなと思っています。今年はアイスダンスが西日本での開催なので、東日本ではシングルに集中できるのですが、全日本ジュニアでは、初めて同じ試合で両方に出ることになるので、不安があります。ですが、とりあえずやるだけやってみようと考えています」

今季はシングル、アイスダンス、両方に全力投球を、と考えているようだ。昨年の東京ブロックでは、抽選のために会場まで来て、そこで骨折が判明し、棄権となった。その頃にはアイスダンスのことは考えていたのだろうか。

「棄権が決まって途方に暮れていました。ああ、今年も何もなくなっちゃったと思ったんですけど、平昌オリンピックが終わった頃からクリケットのコーチからダンスに誘われていたので、東京ブロックを棄権した時に、暇だしアイスダンスのことを考えてみようかなと思って、ブロックが終わってから始めました」

アイスダンスでは徐々に高い評価を得つつある。そちらに専念することになるのだろうか。

「いずれはどちらかに決めなければいけないな、とは思っています。今は具体的には言えないんですが、しばらくは両方やりたい、シングルでやり残したことをやりたい、と考えています」

やり残したことを果たすべく、全日本ジュニアを目標に奮闘するシーズンとなりそうだ。東日本選手権ではジャンプの入った演技を楽しみにしたい。

東日本選手権のジュニア男子は、今や次世代のエースと目される鍵山優真が出場する。また、佐藤駿はシード選手なのだが、おそらく出場するはずだ。今季、JGPに出場した三浦佳生の復調にも期待したい。

中村康一(Image Works)

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