神戸ルミナリエの25年。震災による犠牲者の鎮魂と、まちの復興・再生を願う意義をもう一度

2019年12月5日 17:00更新

関西ウォーカー 編集部

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1995年12月に第1回が開催された神戸ルミナリエは、震災で打ちひしがれていた神戸の人々に感動と勇気、希望を与えた。あれから25年、観覧者の世代交代が進むなか、開催意義をもう一度胸に刻み、光の感動をこの目に焼き付けたい。神戸ルミナリエの25年を特集。<※情報は関西ウォーカー(2019年26号)より>

「共に創ろう、新しい幸せの光を(Luci di felicita)」がテーマだった2018年第24回

「共に創ろう、新しい幸せの光を(Luci di felicita)」がテーマだった2018年第24回

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神戸ルミナリエ第1回のテーマは「夢と光」。254万人以上が感動した

「全国各地でイルミネーションは開催されていますが、まちをこれだけ巻き込んで開催しているものは神戸ルミナリエだけだと思います」と語るのは、神戸ルミナリエ組織委員会事務局の本田雅也さん。鎮魂と復興をテーマに続いている神戸ルミナリエも今年で25年目、近年は震災の記憶を後世に語り継ぐことも重要なテーマとして主旨に加わっているという。「震災を知らない世代が多く観に来るようになった近年だからこそ、このテーマは不可欠です」

【写真を見る】1995年第1回の作品。延べ254万人以上が訪れ、感嘆の声をあげた/神戸ルミナリエ

【写真を見る】1995年第1回の作品。延べ254万人以上が訪れ、感嘆の声をあげた/神戸ルミナリエ(C)Valerio Festi/I&F Inc./Kobe Luminarie O.C.

第1回は約15万個の電球を使い、12人のイタリア人スタッフにより、荘厳な光の芸術作品として設置された。1995年12月といえば、まだ神戸のまちに明かりが少なかったころ。暗闇に輝く光のアーチ、回廊がどれほど多くの人の心に勇気を与え、希望を抱かせたことだろう。当時を回想する人のほとんどがとにかくすごかった、感動したと口にする。

「今や冬の風物詩として定着した神戸ルミナリエ。しかし第1回の主旨はまったく色あせていません。点灯の瞬間には今でも、写真を撮る若い世代の後ろに、光に向かって手を合わせる方々が多くいらっしゃいます。光に込められている思いを大切に受け継ぎ、発信していくのは私たちの使命です」

第1回開催を伝える神戸新聞の記事/神戸ルミナリエ

第1回開催を伝える神戸新聞の記事/神戸ルミナリエ

「神戸、光の都」をテーマにした、2004年第10回の作品/神戸ルミナリエ

「神戸、光の都」をテーマにした、2004年第10回の作品/神戸ルミナリエ

2009年第15回のテーマは「光の抱擁」/神戸ルミナリエ

2009年第15回のテーマは「光の抱擁」/神戸ルミナリエ

25年目の今年は、仲町通の一画に第1回の作品が当時と同じ白熱電球で復元される。「訪れてもらい、会場を歩いてもらうことで、神戸ルミナリエがなぜ続いているのかを感じてもらえたらと思います」

点灯式で歌われる「しあわせ運べるように」。歌い続けられることが、語り継ぐこと

「歌詞に込めた思いがこれからもたくさんの人に伝わってほしい」と語るのは、「しあわせ運べるように」を作詞作曲した臼井 真さん。神戸市内の小学校で音楽教師をしている臼井さんは、震災で自宅1階がぺちゃんこになった。たまたまいつもより早く目覚め、2階に上がっていた臼井さん。命は助かったものの、その後は避難所となった勤務先の小学校で対応に追われる日々。約2週間後、テレビで見た三宮の映像に衝撃を受けると同時にふるさと神戸への愛情も強く感じた。それから10分後に完成したのが「しあわせ運べるように」。神戸ルミナリエの第2回から、点灯式で歌われ続けている。

点灯式で神戸市の小学生が「しあわせ運べるように」を歌う/神戸ルミナリエ

点灯式で神戸市の小学生が「しあわせ運べるように」を歌う/神戸ルミナリエ

「“亡くなった方々のぶんも 毎日を 大切に 生きてゆこう”という歌詞があります。それがこの歌に込めた私の思いです。この歌をどこかで聴いた時、命の大切さを思ってほしい。そして生きている時間を大切にしてほしい」と臼井さん。「震災で傷付いた私の心に浮かんだ唯一の希望がこの歌だったと、震災から10年ほどたって気付きました。歌は決して色あせません。この歌が歌われ続ける限り、あの時私が感じたふるさとへのいとおしさ、命の尊さも受け継がれていくのだと信じています」

25回目となる神戸ルミナリエの点灯式でも、130人あまりの臼井さんの教え子がこの歌を合唱する。点灯式にぜひ出かけ、子供たちが歌う「しあわせ運べるように」を聴いてほしい。歌声には鎮魂、そして未来への希望が満ちている。

震災時に避難所でこの歌を歌っていた当時9歳の子供たちが2014年に再会し、合唱した/神戸ルミナリエ

震災時に避難所でこの歌を歌っていた当時9歳の子供たちが2014年に再会し、合唱した/神戸ルミナリエ

儀礼隊による「消灯式」。鎮魂と、神戸の発展を誰もが願う

「阪神・淡路大震災の犠牲者の御霊に対し、敬礼!」。この発声のあと、会場のすべての明かりが消える。それが神戸ルミナリエの消灯式。会場の警備員を中心に編成される儀礼隊が整然と並び、「しあわせ運べるように」の合唱のあと、発声に続き全員が敬礼する。日本管財株式会社の武田紘一さんは、2012年、2013年に儀礼隊として隊列に参加、2017年は2列目に並んだ。

白服の3人を先頭に、うしろまで警備員が並ぶ儀礼隊。周囲には被災された方も多く集まり、特別な雰囲気に/神戸ルミナリエ

白服の3人を先頭に、うしろまで警備員が並ぶ儀礼隊。周囲には被災された方も多く集まり、特別な雰囲気に/神戸ルミナリエ

「敬礼の瞬間は不思議な気持ちです。犠牲者の方々が近くへ来て、式に参加してくれているような錯覚を覚えたことがあります」と言う。それほどこの瞬間は神聖で、尊いのだ。「儀礼隊はフロントーネから行進しますが、沿道に並ぶたくさんの方の、いろいろな思いを表情から感じることができます。消灯の瞬間は誰もが犠牲者のことを考えているように思え、それが神戸のまちの温かさ、人の思いやりなのだと実感できる時間です」

敬礼と共に光がすべて消え、会場は闇に包まれる/神戸ルミナリエ

敬礼と共に光がすべて消え、会場は闇に包まれる/神戸ルミナリエ

新たな試みが各所に初登場する神戸ルミナリエ2019

「希望の光に導かれて、25年」をテーマに開催される第25回。総延長270mに及ぶ今年の作品は、仲町通に「メモリアルゾーン」として復元される第1回の作品に注目したい。また東遊園地では広場に高さ約21mの巨大なドーム状の作品が初登場するほか、語り部コーナーも初設置。約50万個の電球が、旧居留地一帯を希望の光で包む。

■神戸ルミナリエ<期間:12月6日(金)~15日(日) 会場:旧外国人居留地および東遊園地 時間:月曜~木曜18:00ごろ~21:30、金曜18:00ごろ~22:00、土曜17:00ごろ~22:00、日曜17:00ごろ~21:30 問い合わせ先:神戸ルミナリエ運営事務局(078-391-6371)

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