「遠足のおやつ問題」は超一大事！子供のリアルを描く「ノスタルジー系あるある漫画」がエモい

次々と話題作が誕生するSNS発の漫画作品の中で、「ノスタルジー系あるある漫画」をTwitterとInstagramに投稿している漫画家の仲曽良ハミさん。2020年11月に ウォーカープラスで作品を紹介 したところ、「あった！あった！」「子供の頃を思い出す！」など大反響を呼んだ。

仲曽良さんの作品といえば、昭和を思わせる世界観で展開される何気ない1シーンをギャグタッチで描く作風が特徴。主に登場するのは、生意気盛りの男の子と高校生の姉、男の子の友達のちょっとおませな女の子など。昭和生まれの世代にとっては懐かしく、それ以降の世代にとっては「こんな時代だったんだ」と新鮮さを感じる短い物語の展開が魅力だ。

今回は新作を紹介するとともに、仲曽良さんが作品に込めた思いについて話を聞いた。

遠足での密かな楽しみが、恋に発展？『おやつ』

小学校の遠足で誰もが楽しみにしていたおやつタイム。決められた金額の中で何を買おうかと迷った人も多いはずだ。そのウキウキした気持ちを切り取ったのが『おやつ』という作品。80年代に子供時代を過ごした世代にはグッとくるフレーズが連発される。

「遠足のおやつは、男子と女子で微妙に違っていたという思い出がありました」と仲曽良さん。その微妙な違いが、ちょっとトキメキを感じさせるラストに繋がる。

お父さんだって夏は暑い！『涼しそう』

夏の暑い日に、ビニールプールで無邪気に遊ぶ子供たち。その光景を微笑ましく思いながらも暑さに耐えかねたお父さんがとった、人間味あふれる行動を描いた『涼しそう』。

「よく考えたら、お父さんだって暑いんですよね(笑)。でも子供にとっては一緒に遊んでもらってうれしくて仕方がないんですよ。互いのズレがたまらなくおもしろいです」

子供の頃はわからない、先生の本音とは？『持ち物検査』

突如として行われる持ち物検査。勉強に関係ないものを教室に持ち込んで先生に叱られたり、没収されたりと、子供たちにとっては恐怖の行事だ。でもそのとき、先生たちはどんなことを考えていたのか？当時は見えなかった先生の思いを描いた『持ち物検査』。

当時の子供たちは、先生たちに怒り心頭するばかりだったと思うが、仲曽良さんは「先生たちもきっと、いろいろ考えてくれていたんだと思うんです。そこに焦点を当てて、想像をめぐらせて描きました」と話す。

ストレスが溜まるのは大人だけじゃない！『発散』

学生時代は親はもちろん、先生や近所の人などに叱られる機会が多い。当然、子供とはいえストレスが溜まってイライラしてしまう。そんなとき、年下の弟がいると…？子供同士だからこそ微笑ましく感じるショート作品『発散』。

「ストレートに言えば、八つ当たりなんですけど(笑)。お姉ちゃんにだってプライドがあるから、簡単に泣けないんですよね」

至極の姉弟あるある⁉『乙女』

仲曽良さんの作品に登場する“弟”は、いつだってお姉ちゃんの隙を狙ってイタズラをする。『乙女』という作品においても、友達と楽しい会話を繰り広げるお姉ちゃんに子供っぽいひと言を言い放つイタズラを敢行！短いシーンで、姉弟のリアルな関係性を見事に描く。

「楽しい話し声がうらやましくて、話題に無理矢理首を突っ込みたいという弟のかわいい心理ですね」

ほのぼのとしたトーンで、人間味あふれる笑いを散りばめた仲曽良さんのあるある系漫画。今後はどのような細かい描写やキーワードで子供心をくすぐってくれるのか？目が離せない！

取材・文＝橋本未来