世界中で話題のNFTを徹底解説!唯一無二のデジタル作品ブームが到来?
東京ウォーカー(全国版)
2020年ごろから海外を中心にニュースになり、2021年に入り日本でも大きな注目を集めるようになった
NFT
。NFTは、
Non-Fungible Token
(ノン・ファンジブル・トークン)の略で、
非代替性トークン
という意味を持つ。ブロックチェーン技術や仮想通貨(暗号資産)に興味のない人には、何のこと?と思われる方も多いだろう。そこで、ウォーカープラスの新企画「ウォーカービズ」では、仮想通貨が自分たちの生活にどんな影響を与えるのかを調べてみた。
今回はこのNFTを前編と後編の2回に分けて紹介する。
ちなみに、トークンとは「代用通貨」のこと。デジタル上で取引をする時に実際のお金の代わりに使う通貨をトークンと呼ぶのだ。ビットコインやイーサリアムなど、仮想通貨(暗号資産)と認識しているコインは、全てトークンである。実際の生活でもこのトークンと同じ性質をもつものはたくさんあり、図書券やビール券、商品券、区市町村で発行をしているお買い物券など、そのジャンルや地域などで使える券はまさにトークンと同じである。

今回は、このNFTについて、暗号資産・ブロックチェーンメディアの国内最大手
「CoinPost」(コインポスト)
の代表・
各務貴仁さん
に、NFTとは何か?ということから、何がすごいのか?そしてどういうムーブメントが起こっていて、今後どうなっていくのか聞いた。
NFTって何?
【各務さん】
「NFTのNF(ノン・ファンジブル)とは簡単に言うと「
代替できないもの
」のことです。デジタル上で考えると難しいと思われてしまうのですが、生活の中で見てみると、この代替できないものというのはたくさんあります。たとえば、みなさんが普段使っている机やソファ。これを他の机やソファに変えても、すでに使っていることで価値が付いてしまっているわけで、イコールにはなりませんよね。なので代替できないものになります。
ちなみに、その逆の
ファンジブル
でわかりやすいのがお金です。自分の持っている1円は、他人が持っている1円と価値は一緒ですよね。交換しても価値は同じなので、代替できるもの(ファンジブル)になります。
1個1個できちんと価値の付いているもの
、そのトークンがNFTとなります」

NFTブームのきっかけは?
NFTとは、代替できないもの=この世にひとつしかない唯一無二のデジタルアイテム。だからこそ、価値が生まれ、多くの人が「欲しい!」と思える。これまで話題になってきたNFTとしては、
村上隆氏
が代表的なモチーフである「お花」をドットで描いたデジタルアート作品『108 Earthly Temptations』を出品したこと(現在は出品取りやめし、再度出品する意向があることを公表)や、
Twitter創業者のジャック・ドーシー氏
が、自身の初ツイートをNFT化・販売し約3億円で落札された。
また、
ザ・ローリング・ストーンズのミック・ジャガーと、フー・ファイターズのデイヴ・グロールがコラボした新曲
をNFT化し販売したり、女性3人組アーティストの
Perfume
が自分たちのライブでの振り付けの中から象徴的なポーズを3D化し、NFTとして販売することを発表するなど、さまざまなジャンルの著名人や企業、チームなどがNFTに参入をしている。
【各務さん】
「NFTのブームは今回が第2期でして、1回目は業界内だけのものでした。2017年に誕生した
『CryptoKitties』(クリプトキティーズ)
というブロックチェーン(※1)ゲームで、デジタル上で発行をしたネコを売買するもので、そこに投機的なお金がたくさん入ってブームになりました。
そして、今回の2回目となるブームが、どうしてここまで話題になっているかというと、大手オークションハウスの『クリスティーズ』で、
NFT作品が約6930万ドル(約75億円)で落札
された(※2)ことでしょう。1回目のブームのような業界内ではなく、アートの世界という別の業界で、しっかりとNFTを金額として受け取られ、落札されたこと、そしてブロックチェーンというのが、誰でも取り入れられるものとして一般の人にも認識されたことが今回のブームのきっかけだと思います。
(※1)ブロックチェーンとは、取引情報などのデータを暗号化させたものをコンピューターに記憶させ、複数のコンピューターにそのデータを同期して記録する手法。一定期間のデータをブロック単位にまとめ、コンピューター同士で検証し合いながら正しい記録をチェーンのようにつないで蓄積する仕組み。
(※2)「クリスティーズ」で落札されたNFTの作品名は『Everydays - The First 5000 Days』。デジタルアーティストのBeeple(本名:マイク・ヴィンケルマン)が13年半もの時間をかけて制作した5000枚の作品をコラージュしたもので、今回のオークション出品のために作った作品。
NFTの最大の注目ポイントは?
【各務さん】
「NFTは、アプリ1個ダウンロードすれば作れるようなものでもないし、まだまだ誰もが気軽に参入できるものではないんですね。そうなって欲しいですが、そこに行くのには時間がまだかかると思います。その中での注目ポイントとしては、(NFTを作ることのできる技術者がいれば)
個人でも気軽に、グローバルに物を販売することはできる
ことですね。
そして、仕組みにもよりますが、
二次流通マーケット
ができるということ。これまでだと一度販売した商品は、購入者がその後中古で他に販売をしても、作者には売り上げはいかなかったわけですが、NFTだと、
二次販売でも作者に売り上げが入る
ということが大きいです。これまで販売に力を入れていた企業やアーティストが収益をさらに上げることができるし、それが実際の消費に紐づいていく世界になるのは間違いないと思います」
デメリットとして懸念されることは?
【各務さん】
「気軽に売買できるなどメリットは大きいのですが、一般の人が購入する時に注意したいのは、
売買するのに仮想通貨(暗号資産)を使う
ということですね。NFTは、現在はイーサリアムのブロックチェーン上で作ることが多いので、イーサリアムという仮想通貨や、イーサリアムのブロックチェーンに紐づいている仮想通貨を使うことが多いのですが、
仮想通貨は価格が非常に変動
します。そのため、その変動と購入をしようとしているNFTの価値を見比べる必要があり、購入するNFTをそのまま円に換算しにくいという点は、一般の人が注意をしないといけないポイントだと思います。なので、『仮想通貨とはどういうものなのか』など、知識をある程度は身につけてから行わないと、リスクが高いと思います。
また、作る側の人も注意がかなり必要です。現在は暗号資産ビジネス協会などの団体がNFTに関するガイドラインを作成し、発表をしていますが、まだまだ不透明なところもあります。アメリカなどでは、デジタルカード化されたNBA選手とその名シーンを集めるコレクションゲーム『NBA Top Shot』が、有価証券法に引っかかるのでは?ということで一部の投資家から提訴されたりしているという事例も。NFTは技術があれば簡単に発行できて、簡単にグローバルにアクセスできるのですが、事業者としてやるなら、法律などこのマーケットのことも気にしないといけません」
後編では、日本発のNFTマーケットプレイス
「nanakusa」
と
「Coincheck NFT(β版)」
を紹介する。
【取材・文=瀧本充広】
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