マリトッツォを魔改造!もはやスイーツでもない“すしトッツォ”開発秘話

東京ウォーカー(全国版)

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2021年、スイーツ界に新風をもたらしたマリトッツォ。ブリオッシュに生クリームをたっぷりはさんだイタリア・ローマの名物で、フワフワのパン生地とあふれんばかりのクリームが魅力的だ。

日本国内での人気の広がりとともに、さまざまな素材をマリトッツォ化する魔改造も広がりを見せている。メロンパンのマリトッツォ風やどら焼きなどスイーツ系は言うまでもなく、ついに和食の牙城・寿司にまで魔改造の手は及んだ。

それが9月1日から発売された、古市庵(こいちあん)のすしトッツォ。一見変わった色のマリトッツォだが中身は寿司という、異色の存在だ。インパクトのあるビジュアルとネーミングの妙で、発売以来SNSを中心に大きな反響を呼んでいる。

すしトッツォ(まぐろ)を食べてみた

ということで早速、阪神百貨店梅田本店地下1階の店舗に買いに走った。すしトッツォ(まぐろ)は1個389円。外側は黒い海苔でくるまれ、中に赤いネギマグロがたっぷりとはさまれている。

古市庵のすしトッツォ(まぐろ)389円。たっぷりのネギマグロの奥にもおいしさの秘密が隠されている


さっそく醤油をつけてひと口。シャリには茎ワサビが入っているので、ワサビの香りがツンと広がる。しゃきしゃきのネギの食感ととろけるマグロの味わいは、まぎれもなく寿司だ。食べ進めると奥には漬けマグロ、さらには何やら黄色くてコリコリの食材…なんとたくあんまで入っている。すし店のメニューに「とろたく」があるように、マグロとたくあんは好相性。マグロの中でたくあんのほのかな甘味が、食感と共にアクセントになっている。

具材がシャリより先になくなってしまっても、茎ワサビの刺激で最後までおいしく味わえるのも特徴。パンと生クリームと違って食べた後の罪悪感が少ないのもすしトッツォならではだ。1個のサイズもちょうどいい感じ。これを開発した人に感謝をささげたい、ということですしトッツォの生みの親、株式会社古市庵営業推進部商品開発課の上松朱未(うえまつあけみ)主任に開発にまつわるお話を伺った。

すしトッツォの生みの親に開発秘話を聞いてみた

そもそもイタリアンのマリトッツォと和食の寿司をなぜ合体させることになったのだろうか。上松さんは「和菓子やパンなどマリトッツォの派生品がいろいろ出てきた中で、お寿司でも再現してみたら面白いのではないかと思い、本商品を考え付きました。あと『すしトッツォ』の語呂がよかったという点もあります」と開発に至った経緯を振り返る。

商品開発に当たっては「茎ワサビを混ぜたシャリやネギマグロ、漬けにしたマグロ、食感のアクセントになるたくあんなど、いろいろな味や食感が楽しめて、最後まで食べ飽きることがないよう工夫しました。ネギマグロと漬けマグロ、2種のマグロの旨味と、青ネギやたくあん、茎ワサビなどの味や食感の変化やアクセントがおいしさのポイントです」と自信をのぞかせる。

すしトッツォ(まぐろ)の断面。ネギマグロの奥には漬けまぐろ、さらにたくあんが加わって食感にアクセントを添える


硬くなる海苔、噛み切れない問題をこだわりで解決

とはいえ、すんなり完成したわけではない。特に苦労したのが見た目にも大きなインパクトを与える海苔だという。「単に巻き寿司用の海苔で包むだけでは海苔同士が重なる部分が多く、時間が経つと硬くなってしまって噛み切れないなどの問題がありました。これを解消するのに苦労しましたが、食べやすい海苔のサイズや包み方にもこだわって、インパクトのある商品に仕上げました」

すしトッツォは、その見た目やサイズ感などから若い女性に人気が高いようだが、SNSで話題になってからは「意外にも年配の男性がまとめて買われる姿もあり少し驚いています」と上松さん。原材料の在庫などの関係上1日にたくさん作れる商品ではないが、売れ行きも好調で「好評をいただいている間は販売予定」とのこと。

2021年11月1日から、期間限定のサーモンが新登場

11月1日から発売のすしトッツォ(サーモン)。こちらはいくらがちりばめられた贅沢な味わい。まぐろとはまた違うおいしさで、ファンの心をつかみそう

そして11月1日からはサーモンを使用した「すしトッツォ(サーモン)」(389円)が期間限定限定で登場!こちらはダイスカットサーモンと、だし醤油であえた漬けサーモン、アクセントにタマネギを入れ贅沢にイクラをトッピングした、見た目のオレンジ色もかわいい商品。ワサビ抜きなので子供でも食べられる。日本ならではの魔改造が生んだ新しい味を、ぜひ試してみたい。

こちらはサーモンの断面。いくらにダイスカットされたサーモン、漬けサーモン、タマネギと味わいや食感にも古市庵ならではの工夫が表れている

サーモンが登場して選択肢が広がった。これはもう2つとも食べるしかない!


取材・文=鳴川和代

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