信長流“おもてなし”の心が息づく城下町・岐阜へ。 歴史に触れ、名湯に癒やされ、美食に舌鼓

戦国時代、岐阜城を拠点に天下統一を目指した織田信長が、客人を迎えるための“おもてなし空間”としてまとめ上げた岐阜の城下町。地域の歴史的魅力や特色を通じて、日本の文化や伝統を語るストーリーを文化庁が認定する「日本遺産(Japan Heritage)」の第1号に選ばれるなど、町のそこかしこにも岐阜の人々の心にも、信長の“おもてなし”の心が受け継がれている。歴史が息づく町を歩き、美しき自然の景観や名湯、美食を堪能しよう。

信長による“おもてなし空間”の象徴、岐阜城天守閣

鎌倉時代、稲葉山(現在の金華山)に二階堂行政が砦を築いたのが興りとされる岐阜城天守閣。戦国時代には、斎藤道三の居城となっていたが、織田信長が攻略し、岐阜城と改称した。信長は本来、軍事施設であった城に“魅せる”ためのさまざまな演出をプラス。さらに、城の山麓に“地上の楽園”とも称される迎賓館を建設したのをはじめ、金華山や長良川の景観、文化、食などを生かし、城下一帯を最高の“おもてなし空間”としてまとめ上げた。

●岐阜城天守閣 / 住所：岐阜県岐阜市金華山天守閣18 / 電話：058-263-4853 / 時間：9:30～16:30、2022年3月16日(水)～10月16日(日)～17:30ほか※時期により異なる / 休み：なし / 料金：入場料大人200円ほか、金華山ロープウェー運賃12歳以上往復1100円ほか/ 駐車場：179台(60分以内無料、以降310円/1回) / アクセス：東海北陸道・岐阜各務原ICより車で約20分、金華山ロープウェー下車、徒歩8分

鵜飼を観て、体験して伝統的なエンターテインメントを満喫

信長が客人を招いたとされる鵜飼の観覧は、今なお岐阜の貴重な文化として受け継がれ、観光のシンボルの一つにもなっている。毎年5月中旬から10月中旬にかけて、長良川を彩るその幻想的な風景は必見！ 食事付きのプランなどもあるので、1300年以上の歴史を持つとされる伝統的なエンターテインメントに酔いしれてみよう。

観ているだけでは物足りない！というあなたには、木造の和船に乗ってアユ漁を体験できる「結の舟」の「長良川体感コース」がおすすめ。現役の川漁師が案内役となり、漁船の操船体験プログラムを実施。伝統漁法の実演や川の観察、天然鮎の試食体験などを通じて、アユ漁の文化を五感で感じてみよう。

●結の舟 / 住所：岐阜県岐阜市長良45-1(結の舟「ながら川店」) / 電話：080-8256-4295 / 時間：1日2便(10:00便、14:00便) / 休み：不定休(完全予約制) / 料金：高校生以上 9900円、小・中学生 8800円※未就学児同船可/ 駐車場：約10台(共同、無料) / アクセス：東海北陸道・岐阜各務原ICより車で20分

格子戸が並ぶ川原町を歩き、鮎料理と名湯に満たされる

鵜飼観覧船の乗り場から近い川原町は、今なお格子戸の旧建築が軒をつらねる街歩きに最適なエリア。かつて長良川の水運を利用した物流の拠点として商人が行き交い、にぎわいを見せた往時に思いを馳せながら、のんびり歩いてみよう。風情あふれる町並みは、どこを切り取っても絵になる絶好の写真スポットだ。

街歩きと共に楽しみたいのがアユ料理。川原町の一角にある「川原町泉屋」では、「炭火焼・鮎らーめん」(1320円)や「鮎ぞうすい(漬物・佃煮付)」(1155円)など、気軽にアユを味わえるメニューを多彩にラインナップ。「炭火焼・鮎塩焼」(1尾550円)はテイクアウトもできるので、鵜飼の観覧前に購入して乗船するのもツウな楽しみ方だ。

●川原町泉屋 / 住所：岐阜県岐阜市元浜町20 / 電話：058-263-6788 / 時間(時短営業中)：11:30〜13:30(LO)、17:00〜18:00(LO)※鵜飼開催期間以外の夜営業は予約制 / 休み：水曜、冬季休業あり/ 駐車場：5台(無料)※6月〜は10台 / アクセス：東海北陸道・岐阜各務原ICより車で約20分

また、川原町散策では、長良川温泉の湯あみも欠かせない楽しみ。各旅館が心を尽くした郷土料理を味わえる日帰りプランのほか、入浴のみの立ち寄り湯や無料の手湯、足湯などもあるので、街歩きの一服におすすめだ。鉄分を多く含む赤褐色の湯にのんびり浸れば、日常の喧騒を忘れて心身共にリラックスできるに違いない。

江戸へ向かう鮎鮨が運ばれた御鮨街道で、ネオカルチャーを発見！

鵜飼と縁の深いエリアとして足を延ばしたいのが、靭屋町を通る御鮨街道。江戸時代、将軍へ献上するために加工した鮎鮨を運ぶルートだったことが、名前の由来だとか。そんな歴史の色濃い町に新風を吹き込んでいるのが、アウトドアウェアのショップ「KURA HOLIC ZERO」。玄関から奥座敷、中庭、蔵などがつらなる町屋をリノベーションし、2017年にオープンした店内は、梁や土間など古きよき建築美が息づく空間に、ファッション性に富んだアウトドアのウエアや小物がずらり。日本の伝統建築と海外のアウトドアカルチャーが交わる新感覚のショップは新しい発見がいっぱいだ。

●KURA HOLIC ZERO / 住所：岐阜県岐阜市靱屋町43 / 電話：058-267-0039 / 時間：12:00〜20:00 、土日祝は11:00〜 / 休み：なし / 駐車場：6台(無料) / アクセス：東海北陸道・岐阜各務原ICより車で約20分

まるでアートのよう♪ 市立図書館で信長や岐阜の町のことを深く知ろう

信長が遺した“おもてなし”の文化についてより深く知るなら、複合文化施設「みんなの森 ぎふメディアコスモス」へ立ち寄ろう。公共施設とは思えない近未来的でスタイリッシュな建物は、撮影スポットとしても話題を呼んでいて新しい観光名所に。館内1階には市民活動交流センターのほか、コンビニやコーヒーショップもある。さらに、2022年3月26日(土)には、過去・現在・未来にわたる岐阜の魅力を伝える情報集積のシンボルエリアが誕生。観光や街歩きに役立つ町の情報もキャッチできるので、旅の拠点にぴったりだ。

2階の市立中央図書館の一角には「信長公コーナー」を設置。おもてなしに身を砕いた信長の人柄や思いを探ってみてはいかがだろう。

●みんなの森 ぎふメディアコスモス / 住所：岐阜県岐阜市司町40-5 / 電話058-265-4101(1F 総合案内)、058-262-2924(2F市立中央図書館) / 時間：9:00〜21:00、市立中央図書館は〜20:00ほか※施設により異なる / 休み：毎月最終火曜(祝日の場合翌日、年末年始と重なる場合は前週の火曜)、12月31日～1月3日 / 駐車場：約300台(館内利用者は120分無料、100円/30分) / アクセス：東海北陸道・岐阜各務原ICより車で約20分

旅のみやげには、“おもてなし”にぴったりの和菓子を調達

旅の締めくくりには、手みやげを求めて和菓子の「ツバメヤ」へ。店主の「大好きな柳ヶ瀬へもっとたくさんの方に来てほしい。素材を大切に、世代を超えて愛されるお菓子を届けたい」という思いで、2010年柳ヶ瀬商店街にオープン。素材の持ち味を大切にした優しい味わい、洗練されたパッケージデザインなどが評判となり、今では全国にファンを持つ名店に。名物の「ツバメわらび」をはじめ、春限定の「黒米桜餅」(1個250円)など、季節ごとに登場する商品も楽しみ。客人への“おもてなし”の茶菓子にもぴったりだ。

●ツバメヤ 柳ヶ瀬本店 / 住所：岐阜県岐阜市神田町4-13 / 電話058-265-1278 / 時間：9:00〜19:00 / 休み：月曜 / 駐車場：なし / アクセス：東海北陸道・岐阜各務原ICより車で約20分

町のシンボルとしてそびえる岐阜城天守閣を中心に、金華山や長良川といった景観、その自然資源を生かした食や文化が育まれてきた岐阜の城下町。町の人々の中に脈々と受け継がれる信長流“おもてなし”の心を感じる旅にでかけてみよう。

※新型コロナウイルス(COVID-19)感染症拡大防止にご配慮のうえおでかけください。マスク着用、3密(密閉、密集、密接)回避、ソーシャルディスタンスの確保、咳エチケットの遵守を心がけましょう。

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