【パンダWalker】もうすぐひとり立ち!アドベンチャーワールド「楓浜」のおいたちプレイバック!
東京ウォーカー(全国版)
2022年の幕開けは上野動物園の双子パンダでヒートアップしたが、SNSでは、7頭の大家族がのびのび暮らす和歌山のアドベンチャーワールドもすごい!という声があがっていた。なかでも2020年11月22日に生まれたジャイアントパンダの赤ちゃん「楓浜(ふうひん)」は誰もが夢中になるパンダ界のアイドルだ。これまでは、お母さんパンダの「良浜(らうひん)」と一緒に過ごしてきたが、2022年4月上旬頃にはひとり立ちが予定されている。今回は、アドベンチャーワールドの広報・長谷川舞さんに「楓浜」の成長ぶりや、飼育員さんの一日などを教えてもらいながら「楓浜」のおいたちを眺めてみよう!
2020年11月22日にパンダの赤ちゃん誕生!
父「永明(えいめい)」と母「良浜(らうひん)」の間に、2年ぶりとなるジャイアントパンダの赤ちゃんが誕生したのは、2020年11月22日11:50。「いい夫婦の日」に出産した「良浜」は、今回で7度目の出産となった。体重は157g、全長20.5㎝。
アドベンチャーワールドでは、これまでに16頭のジャイアントパンダの繁殖に成功しているが、「永明」はなんと、飼育下で自然繁殖に成功した最高齢(当時28歳)のオスという自分の世界記録をさらに更新。「良浜」は、すでに中国に返還されたパンダを含めると10頭の母になり、ますますベテランママとしての存在感を放つことに。
しかし、2020年の「楓浜」の出産は、アドベンチャーワールドではこれまでにない緊張がはしっていたのだそう。
「コロナ禍で、毎回きていただいている中国研究員の方が出産に間に合わず、日本人スタッフだけで行うことになったんです。感染対策として、少人数でチームを組み、態勢を整えました」と長谷川さん。
「これまで、中国研究員さんのそばで動きや赤ちゃんのケアなどは見てきたものの、生まれたばかりのジャイアントパンダの赤ちゃんをさわったことがなく、徹底的に準備を重ねて出産に挑みました」と言い、ミーティング、シミュレーション、過去の映像や資料を見直して出来る限りの対策を練っての出産となった。
「でも、『楓浜』が健康で元気に生まれてきてくれて本当に良かったです」と振り返った。
生まれた直後は、スタッフが「良浜」の乳首まで赤ちゃんを誘導していたが、生後2週間を過ぎると良浜が自分で赤ちゃんを誘導し、母乳をしっかり飲ませることができるようになったそうだ。「保育器の中で寝返りが打てるようになり、生後3週間近くなると、体も白黒くっきり。自力でふんばり、体が起こせるようにもなりました」と続けた。
性別が分かり、名前の募集を開始!
生後1か月の12月22日には性別が「メス」と判明し、2020年12月24日から2021年2月23日に名前を募集!まだ名前のないパンダの赤ちゃんは、お母さんの母乳ですくすくと育っていった。
保育器を卒業!目も開き始めた!
自力で体温調整ができるようになったので、生後47日目には保育器を卒業したパンダの赤ちゃん。両目が開いて、うすぼんやりと目が見えるように。
「ただ、完全に見えるようになるのは一般的に生後3か月頃。アドベンチャーワールドの平均開眼時期は、生後40~50日です」。
生後55日になると全長54㎝、体重は2335gで生まれたときより2.5倍以上の大成長!
腕の力がついてきたので、後ろ足を引きずるようにしてぐんぐん前進!
スタッフが構えるカメラを見つめるようになり、「ワン」と鳴いたり、ずんずんと迫るそぶりも見せるようになった。健康チェックもしっかり行われ、体重は約4000gに!
生後3か月を過ぎた93日齢には上あごの左右に一本ずつ乳歯が、続いて犬歯も順番に生え始めた。
祝!生後100日!「ひな祭り」には、初めてのおもちゃも!
その後、すくすくと成長し、3月2日に無事生後100日を迎えたパンダの赤ちゃん。体重は5500gになり、活発に動くようになった。
「3月3日のひな祭りには、はじめての遊具のプレゼントをしたんです。これは飼育スタッフの手作り。竹と紀州の木材をロープでつないだものです」。目も少しずつ見えるようになってきたので、何にでも興味津々だ。
ジャイアントパンダの親子、お披露目スタート!
3月10日(108日齢)ごろ、まだおぼつかない足取りで歩き始めたパンダの赤ちゃんは、いよいよ3月12日に、お母さんの「良浜」と一緒にお披露目が開始された。観覧できるのは「パンダの親子観覧整理券(無料)」を持っている人限定。1グループ20人が屋内運動場でくつろぐ親子を眺めるというもの。その時間は約4分と短いが、皆は大興奮。しかしパンダの赤ちゃんにはまだ名前がついていなかった。
名前は「楓浜」に決定!
そんなパンダの赤ちゃんにも、2021年3月18日いよいよ名前が付けられた。その名は「楓浜(ふうひん)」。
名前選びは、2020年12月24日から2021年の2月23日の間に募集が始まっていたのだが、11万通を超える応募の中から「パンダの赤ちゃん命名委員会」により、まずは「光浜(こうひん)」、「咲浜(しょうひん)」「楓浜(ふうひん)」の3つにしぼられた。そして、さらに一般公募を行い、応募総数11万3314通の中でも1338人が推した「楓浜」が選出されたのだ。秋に色づき、美しく変化する楓のように成長してほしい、という願いが込められている。
名前が決まった4日後、生後4か月を迎えた「楓浜」に、名前入りのおもちゃが贈られた。「これは、ひな祭りで『楓浜』に渡されたおもちゃに、スタッフ自ら名前を焼きつけたお手製です」。体重は6860g、好奇心いっぱいの楓浜は、おもちゃに抱きつき転がったり噛みついたりと思うがまま。
時には、母乳を飲みたい「楓浜」と、体をなめて赤ちゃんのケアをしたい「良浜」のせめぎあいもあり、ほほえましい日々が展開されていく。
お披露目会場の屋内運動場では、「楓浜」のお気に入りスポットが決まった様子で、すみっこに立っては周りを眺めている。
運動場内を走り回って、パワーも全開!
時にはお掃除中の飼育スタッフに突撃することもある。
ところで、飼育スタッフの1日はどんなスケジュール?
活発に動き出した「楓浜」だが、それをサポートする飼育スタッフの一日はいったいどんなもの?長谷川さんに聞いてみると…
★朝★
「『楓浜』が起きたら、最初に体重を量ります。運動場に竹の準備をして、開園時間になる前に『良浜』と『楓浜』を一緒に運動場に移動させたら、『楓浜』には、お母さんの母乳をたっぷり飲んでもらいます。その後、『良浜』は竹を食べ、『楓浜』は遊具で遊んだりお母さんとじゃれあったりして過ごします」
★昼★
「運動場の竹が昼になると少なくなるので、2頭をバックヤードに移動させて、運動場の清掃と、新鮮な竹の補充を行います。この時、授乳後の『楓浜』の体重を量り、どれだけ増えたかをチェックして、母乳の量を記録します。2頭は午後も自由に過ごしますが、公開終了の15:00ごろまで昼寝をしていることも多いですね」
★公開終了後★
「夜は、『楓浜』をバックヤードの運動場へ移動させます。そちらでも、遊具で遊んだり、眠ったりして過ごしていますね。夜間の授乳は、飼育スタッフが人工乳を与えています」
24時間体制の飼育だが、楓浜の成長は飼育スタッフの愛情があってこそ。細かい体調の変化も見逃さないプロの目が、パンダ家族を支えている。
木登りの練習をするために、新しい遊具をもらった
ジャイアントパンダの赤ちゃんは生後5か月頃になると、自分の力で木に登りはじめる時期なので、またまた新しい遊具が完成。紀州木材の柱を並べたこの遊具は「楓浜」の木登りの練習を手助けするものだ。
このころには、どんどん体も大きくなり、体重は8220gにまで成長。体重を量る時は、落ち着いていられるように、ニンジンをくわえて集中!まだ食べることはできないけれど、くわえた姿はかわいすぎる!
「楓浜」は、屋内だけでなく、日光浴を兼ねて、芝生の緑がまぶしい屋外運動場へも出ていく。遊具には滑り台があり、楽しそうに挑戦!
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