メタボの蛇口?おでんから水?大阪らしい「珍蛇口」で、他社に差をつけるカクダイの挑戦
関西ウォーカー
技術力を要するオモシロ蛇口
加えて「おもしろ蛇口」は同社にとって重要なプレゼンテーションとなる。「変な形の蛇口を作るには、実は高い技術力が必要になります。製品として使える、なおかつ面白いものを作るために試行錯誤を重ね、結果として技術力が上がりました。その時に培った技術は、別の商品開発にも生かされています」
こうして出来上がった蛇口の中でも出色の製品が、「誰や!こんな蛇口つくったん!?」と言いたくなる「Da Reyaシリーズ」。いずれもかなりの労作だが、特に丸く膨らんだ「誰や!メタボにしたん?」と、細長くくびれた形の「びよ~ん」は、開発に苦労したという。

ユニークなルックスで目を引くのは食品サンプルを使用した「O・DE・N」や、ラグビーで使われていたやかんが由来の「魔法の水」。


学生のアイデアが形になったものもあり、「まぐろ蛇口って言うてるヤツ、誰や?」は、近畿大学と学生インターンシップという形でコラボして開発された。

使った人を驚かすという点では「いや~ん」に軍配が上がる。蛇口をひねると胴体の上半分ごと回るので、一瞬壊したのではないかと驚かれるそうだ。


また、時勢に合わせた製品も登場している。コロナ禍でも楽しく使ってもらえるようなものも開発中だそうで、「衛生水栓(あおむし)」などはその一例。オレンジの上にせっけんやソープディスペンサーを置くことができるので、面白さだけでなく、実用性も伴った商品だ。

同社ではエンドユーザーに直接商品を販売していないため、従来ユーザーの声を聞くことが難しかった。しかし商品がSNSで知られるようになるにつれ、「面白い」「かわいい」「ほしい」といった声が聞こえるようになり、開発の励みにもなっているそう。
安全で衛生的で、安価に使えるディスタンス水栓を作ろう
新型コロナウイルスを含む感染症対策として、手洗いやうがいの重要性が見直されているが、手を洗った後再びハンドルに触れることへの抵抗感がある人も多い。「Da Reyaシリーズ」の蛇口は三角ハンドルのものが多く、「このご時世では使いにくいのが現状」と同社では分析している。
そこで今、開発に力を入れているのが「ディスタンス水栓」。これは菌との距離を保ち、より安全かつ衛生的に手洗いやうがいができる水栓のことで、代表的なものとしてはセンサー水栓が上げられる。だが、センサー水栓には「電源が必要」「外で使用できない」「メンテナンスが難しく、費用も高い」といったデメリットがある。
そこで同社が着目したのが、昔ながらの「衛生水栓」だ。衛生水栓は吐水口の下部にハンドルが付いているので、手洗い時にハンドルについた汚れを洗い流せるのが特徴。電源も不要で、外でも使えるうえ、メンテナンスも簡単だ。しかも汎用部品で対応できるため、安価で維持できるとメリットがいっぱい。そうした利点はそのままに、現代にあった仕様やデザインの衛生水栓の開発に力を入れている。
「衛生水栓はセンサー水栓に比べると費用も抑えられ、学校や幼稚園など蛇口の多い公共施設、厳しい状況が続く飲食店にも使っていただきやすい商品。あおむしのように、カクダイらしくお笑いの要素も取り入れたディスタンス水栓も出せればと試行錯誤中です」(開発担当者)。
一人でも多くのカクダイファンを作りたい
今後の目標について尋ねると「Da Reyaシリーズを通して弊社を知ってくださる方も多くいらっしゃいます。きっかけは何であれ、そこから弊社のカタログを真っ先に手に取ってくださる方や、弊社商品を選んでくださる方が増えれば。一人でも多くの『カクダイファン』を作るのが目標です」と前向きな答えが返ってきた。ユニークな蛇口はもちろん、時代にマッチした蛇口など、同社の今後の活躍にますます期待がかかる。

取材・文=鳴川和代
この記事の画像一覧(全13枚)
キーワード
テーマWalker
テーマ別特集をチェック
季節特集
季節を感じる人気のスポットやイベントを紹介
全国約900件の花火大会を掲載。2025年の開催日、中止・延期情報や人気ランキングなどをお届け!
ゴールデンウィーク期間中に開催する全国のイベントを大紹介!エリアや日付、カテゴリ別で探せる!
おでかけ特集
今注目のスポットや話題のアクティビティ情報をお届け
キャンプ場、グランピングからBBQ、アスレチックまで!非日常体験を存分に堪能できるアウトドアスポットを紹介