【パンダWalker】アドベンチャーワールドのパンダはなぜ大家族なのですか⁉
東京ウォーカー(全国版)
環境?食べ物?子だくさんファミリーになった秘密とは?
日本で初めてパンダ繁殖の拠点として、中国と共に繁殖と研究に力を注いできたアドベンチャーワールドだが、なぜこんなにも子だくさんになったのだろう。双子が5組も誕生しているし、生まれた子供たちはすくすくと健康に育っている。世界中からパンダを飼育する技術が認められるのも納得だ。
その秘密は何だと思いますか?長谷川さん。
「『永明』と『梅梅』、『永明』と『良浜』の相性が良かったことがひとつ。そして、⽩浜の環境も要因のひとつではないかと考えます。おいしい空気、おいしい⽔、新鮮でおいしい⽵が⼿に⼊るので、パンダが健康に暮らせることは大きかったと思います。さらに、これまでの飼育の記録や中国の研究員の⽅との連携が、パンダの繁殖に繋がっているのではないかと感じています」と振り返る。
長年培った繁殖技術。その秘訣は「タイミングを見極めること」
多くの繁殖と出産、子育てをサポートしてきたアドベンチャーワールド。パンダの交配から出産まで、どんな出来事がおこるの?
「パンダのメスの発情は年に2〜3⽇しかないので、そのタイミングを⾒極めることが⼤切です。発情前にオスとメスを同居させてしまうとケンカになってしまうことがあるし、もちろん、相性が良くないとケンカになる。場合によっては今後同じペアでは繁殖できない場合もあります」と言う。
「『永明』は『良浜』が初めて交尾をするときに優しくリードし、教えてあげているような感じで何度もチャレンジしていたので、そういったところの相性が良かったのではないかと思います」と、ビッグファミリーへの道は「永明」のやさしさや包容力があってこそなのかも。
「永明」は人間なら80歳代にあたるそう。「楓浜」が生まれたことで、飼育下での自然交配で繁殖に成功した世界最高齢のオスパンダとしての記録を、自らで塗り替えたスーパーお父さんなのだ。

「交尾がうまくいけば妊娠の可能性がありますが、パンダの場合は着床遅延があるため妊娠期間に差があります。だいたい3〜5カ月と⾔われていますが、出産の約1カ月前になると睡眠時間が⻑くなり、採⾷量が減ってくることが多いです」
なるほど。繊細な体調の変化や兆候を見逃さないように飼育スタッフがしっかり見守り、出産を迎えることになるのだ。
子育てお疲れさま!ベテランママ「良浜」
アドベンチャーワールドのお母さんパンダといえば、初代が『梅梅』、現在が『良浜』。それにしても、お母さんパンダは一生のうち、何頭出産できるの?
「パンダのメスの性成熟は4〜6歳。野生下での出産もあるので1頭のメスが⽣涯出産する頭数はわかりませんが、当パークではこれまで『梅梅』と『良浜』が出産し、『梅梅』はアドベンチャーワールドで6頭、『良浜』は10頭産んでいます」と長谷川さん。ちなみに世界最⾼齢での出産年齢は23歳だ。
先日、末っ子パンダの「楓浜」は、無事にひとり立ち。ここで、ベテランママの「良浜」の子育てぶりを振り返ってみよう。
赤ちゃんパンダは、ミルクと母乳を両方与えられながら育つ。「良浜」は、体温の調節が自力ではまだ難しい赤ちゃんをしっかりと抱き、体が冷えないようにしながら母乳を飲ませてきた。

最初は赤ちゃんが上手く乳首にたどり着けず、飼育スタッフが導いてあげていたが、さすがはベテランママの「良浜」、自分で上手に誘導し、しっかり飲めるようになっていった。

生後2カ月半ごろになるとだんだんと目でカメラを追うようになった「楓浜」。動きも活発に。
胸に乳首が4つあるので、おなかの上に「楓浜」を乗せて母乳を与えるが、「良浜」は眠くなるとおなかの上から赤ちゃんを下ろして、腕の中であやしながらうつらうつら。ママは睡眠も大事なのだ。

「楓浜」が生後5カ月を過ぎると親子で屋内運動場デビュー。「良浜」は「楓浜」とじゃれあいながらしっかり社会性も教えていく。

時折、ママの口をペロペロする姿も見られた。これは、水分補給している場面だそう。ジャイアントパンダは水を飲む以外に、お母さんの唾液から水分補給をすることもあるそうだ。


子育て中に21歳を迎えた「良浜」。ベテランママをねぎらって、大好物のリンゴやニンジン、竹を詰め込んだプレートと、年齢にちなんで「21」の数字をかたどった氷をもらった。

足腰もしっかりしてきた「楓浜」はおてんばぶりを発揮。「良浜」とのじゃれあいも力が増してきた。だんだんと「良浜」の方が子供に甘えるしぐさを見せたりするようになり、体を使って真剣に遊ぶようになっていった。

こうして、一緒に時を過ごし、愛情たっぷりに「楓浜」を育てあげた「良浜」は、2022年4月11日、親子で過ごす最後の日を迎えた。「楓浜」は1歳5カ月。


この日「良浜」は「楓浜」とたっぷり遊び、最後に一緒に水を飲んだあと、一足先にバックヤードへ入っていった。これで「良浜」10回目の子育ては終了!「良浜」ママ、お疲れ様!
パンダがいるのはどんな施設?どこで見られるの?
7頭のパンダファミリーは、2つの場所で飼育されている。
●PANDA LOVE(パンダラブ)
こちらは、ジャイアントパンダをはじめとする希少動物の繁殖・育成を⽬的とした希少動物繁殖センターだ。1年を通して、動物たちに快適な環境を維持する設備が整っており、いきいきと暮らす動物の姿を間近で観ることができる。
★暮らしているのは「桜浜」「桃浜」「結浜」、そして2022年4月14日ひとり立ちしたばかりの「楓浜」!
「屋内運動場が2面あり、ガラスなどの仕切りがないのでパンダと同じ空間にいる感覚で観ることができます。広々とした屋外運動場でも自由に遊ぶパンダを観ることができますよ。パンダが⽵を⾷べたい時にいつでも⾷べられるように、時間や量は定めず、パンダの動きを常に⾒ながら、⽵がなくなれば新鮮な⽵を補充しています」
<楽しむためのポイントは?>
「⾃然な⼭のように、運動場は地⾯が傾斜しています。よって、パンダがお客様の⽅を向いて座ることができ、パンダの表情をご覧いただきやすくなっています。⽵の配置などにも気を配り、多くの⼈に楽しんでいただけるように⽇々⼯夫をしています」

●ブリーディングセンター
隣接する「ワイルドアニマルメディカルセンター」と共に野⽣動物の繁殖、種の保存の研究を担うセンター。「楓浜」はひとり立ちするまでこの施設で育てられた。
★暮らしているのは「永明」「良浜」「彩浜」。
「ブリーディングセンターの屋外運動場もガラスなど遮るものがないので、数メートルの距離でパンダを観ることができます。果物や竹を⾷べている⾳や鳴き声、息遣いなど⾝近でパンダを感じることができますよ」
<楽しむためのポイントは?>
「パンダが時々、お客様に近づいて来ることがあるのです。腰を低くして⽬線を合わせてみると、同じエリアにいるような感覚になるかも!?」
パンダファミリーについては特設サイト「ジャイアントパンダファミリーサイト」があるのでこれまでの歴史などを眺めてみよう。
また、これまでの「良浜」の子育ての様子は「アドベンチャーワールド」の公式YouTubeチャンネルで観ることができるので、奮闘ぶりをチェックしてみて。
ジャイアントパンダの観覧は予約なしでOKだが、体調などで公開内容が変更、中止される場合もある。詳しくは公式サイトをよく読んで観に行こう。
取材・文=田村のりこ
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