「お魚好きを増やしたい!」魚屋の森さんが大事にする「共感ベース」の商いとは?

東京ウォーカー(全国版)

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大手IT企業を経て、創業40年以上の家業の魚屋・寿商店の2代目となった、魚屋の森さんこと森朝奈さん。魚屋の商いに“ある視点”を入れたことで企業体質が変化。現在では、鮮魚小売店の業態をベースに飲食店13店舗を運営するまでになっている。ただ、朝奈さんが取り入れた“ある視点”は、そんな特別なことではなく、“そうだよね”“いいよね”という「共感」を集めること。そんな朝奈さんの“視点”は、どんな仕事をしている社会人にも共通のヒントが満載。その一例を紹介する。
※本記事は『共感ベース思考 IT企業をやめて魚屋さんになった私の商いの心得』から一部抜粋・編集しました。

紫色の便せん2枚にびっしりと書き綴った父親宛の「入社願い」

小学生の頃、朝奈さんと妹の花波(かなみ)さんは、学校が終わると父親の職場であるスーパーマーケット内の鮮魚売り場に直行。父親の働く背中は朝奈さん姉妹にとってはとても格好良く映り、卒業アルバムの将来の夢には自然と「親のあとつぎ」と書くようになっていたという。

朝奈さんの卒業アルバム


今の朝奈さんのベースを作った最初のきっかけは、大学卒業後の就職先だった。「大学卒業後は別の企業に就職することも決めていました。寿商店には社会人一年生としてではなく、即戦力として入社したいと思っていた」と、すでに寿商店での自分の姿をイメージしていたことに驚かされる。

【写真】寿商店が営む「魚屋の台所 下の一色」本店前で。父、母、妹と


就職先の選択も、人気や待遇ではなく、「自分がなぜ、今ここにいるのか」「これから何をしていきたいのか」について考え、採用面接では「いずれ父の跡を継ぐ」という意志もはっきりと伝えた上で、見事、楽天に入社。朝奈さんの思いが面接官に“共感”された結果だろう。

プロとして働く気構えを学び始めた矢先、父親の体調不良もあり、1年ほどで退社を決める。そして、「小さい頃からそのときまで考え続けてきた家業への思いや、なぜ今、せっかく就職した会社を辞めて魚屋の道を選ぶのか…、紫色の便せん2枚に、びっしりと書き綴った」という朝奈さんの思いの丈が詰まった「入社願い」を書いて、寿商店に入社する。朝奈さんの父親はその入社願いを「ずっと財布に入れて持ち歩いていた」そうだ。

「当たり前」のプロセスを「付加価値」に

朝奈さんが寿商店に入社したのは2011年。最初に気になったのは、寿商店が正月に販売している「おせち料理」を作る料理人の思いが全く消費者に伝わっていないことだった。

朝奈さんは、料理人たちのおせち作りの作業を撮影してフェイスブックとブログで発信したところ、多くのポジティブなコメントが寄せられ、朝奈さんは「見えにくい裏方の仕事を知ることはつくり手への共感につながるのかもしれない」という手応えを感じる。

朝奈さんが「当たり前」のプロセスを「付加価値」に変えたこの視点は、彼女のそれまでの経験から生まれたものであるが、SNSでの発信を重ねる中で、「フォロワーは数よりもいかに思いを共有できるかが大切」という考えに至る。さらに、朝奈さんは発信の目的を、寿商店第一ではなく、「魚をおいしく食べてくれる人を増やす」こととしている。そんな朝奈さんの思いが“共感”を呼び、現在、Twitterは2.3万人、Instagramは6.8万人、YouTubeは27.2万人のフォロワーを生んでいる。

SNSで大事なのは数よりもアクティブユーザー

朝奈さんが明示している「『見ているだけ』の1万人」よりも“共感”をして行動に移してくれる「アクティブな100人を大事にしたい」という視点は、朝奈さんのSNS発信の指針になっている。

そして、この考え方は、小規模小売店を運営するあらゆるジャンルの職業に当てはまる。朝奈さんの言葉を借りれば、「企業のSNS運営は『トライ&エラー』が大切」であり、「『自社流』の方法を探るべし」だ。

朝奈さんは寿商店にアルバイトとして入社後、現在は常務取締役を務めている


ちなみにSNSでの発信は、戦略ではなく「伝えたいことをリアルに発信する」ことにこだわっている。また、SNSで良い情報を発信していくことは“リモート接客”であり、寿商店のスタッフがしっかりと“自分ごと”としてSNSで発信できるよう、スタッフとのコミュニケーションも忘れていない。

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