「お魚好きを増やしたい!」魚屋の森さんが大事にする「共感ベース」の商いとは?
東京ウォーカー(全国版)
会社の「穴」には大きな可能性がある!
寿商店入社後、朝奈さんは、会社の「穴」を見つけることを進めていく。創業40年以上が経った会社にある“穴”は、「(その業務を)できる人間が社内にいない」ということ。朝奈さんは、今までできる人がいなかったために、寿商店の発展を妨げている会社の穴を探すことが、自分がすべきことと自覚し、穴になっている業務を自分が担おうと決意する。
一方で、誰もやっていないことをやるということは、「ゼロからイチ」を作り出すことにつながり、それが自分の自信にもつながると考えた。楽天での経験があったからこそ、視野を広く持つ癖がつき、「穴」を見つけることや、「ゼロからイチ」を作り出すことに大きく生かされている。

ほかにも、SNSの投稿に対するコメントからヒット商品を作るという、いわば“マーケットインの発想”、「購入者は一般の人」という目線を忘れず環境に染まらないという“顧客視点”、社員だけでなくパートやアルバイトのスタッフとのLINEグループも作る“スピード感のあるエスカレーションや企画出し”など、ビジネス的な発想だけでなく、VUCA時代の企業の姿を体現しているようで興味深い。
“魚愛”が詰まったレシピ&小さな絵本も掲載
巻末には、「もっと魚に興味をもってほしい。もっと魚を好きになってほしい!」という朝奈さんの思いが込められた13品の「Specialレシピ」、妹・花波さんが子供たちに魚の素晴らしさを伝えるために考えた「おじいちゃんの魔法の手」に絵本作家・永井みさえさんがイラストを添えた絵本も掲載。

1冊を通じて伝わってくるのは、朝奈さんのバランス感覚。“共感ベース思考”もそれぞれの立場をしっかりと理解した上での手法であり、大局的な視点がないと成し得ないものでもある。“魚愛”がたっぷりと詰まっている中に、全国の小規模小売店や家族経営の人たちの参考になりそうなアイデアや考え方のヒントが読みやすく、分かりやすい形で表現されている。

【森朝奈さんプロフィール】
愛知県名古屋市出身。早稲田大学国際教養学部卒業後、楽天(現・楽天グループ)へ入社。その後、父が創業した、鮮度抜群の魚介が地元で評判の寿商店に24歳で入社する。魚好きが集える場所としてYouTubeチャンネル「魚屋の森さん」などのSNSや、ファミリーサロンの運営を行い、魚食と水産業のファン拡大に努める。
文=繁田謙
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