パッケージの「▲」に込められた願いとは?年間売上2億5千万本突破した「Q・B・Bチーズ」が売れた理由
東京ウォーカー(全国版)
スーパーのチーズ売り場にズラリと並ぶ縦長の4個入りチーズ。さまざまな味のバリエーションがあり、つい「アレもコレも」と買ってしまう…それが「Q・B・Bベビーチーズ」である。
その誕生は今から50年前の1972年のこと。神戸に本社がある六甲バター株式会社によるブランドで、今では年間2億5千万本もの売り上げを誇り、国内のベビーチーズシェアNo.1だという。しかし、ここまでの圧倒的な支持を得るまでは容易くなく、発売後30年近く苦戦し続けた商品でもあったんだとか。
今となっては当たり前のように見かけるチーズ。今回はこのQBBベビーチーズの歴史について、六甲バター株式会社(以下、六甲バター) 開発本部の高橋圭輔さんに話を聞いた。

“小さなブロックチーズ”の認知に大苦戦!
QBBベビーチーズを販売する六甲バターは、神戸市中央区に本社を置く食品メーカーだ。創業は1948年で、当初は「平和油脂工業」という社名だった。創業当時はマーガリンの製造をメインにした事業を行うメーカーだったが、まだマーガリンが世間に浸透していない時代だったこともあり「人造バター」と揶揄するような声もあったという。このため、1954年に現在の「六甲バター」に社名を変更し、1958年から現在の主力商品であるプロセスチーズの製造に着手した。
1960年に魚肉ソーセージから着想を得て、世界初となる棒形のスティックチーズをリリースし、1971年にはスライスチーズとしては日本初の個包装を実現。歴史にその名を刻む、市場ニーズを先取りするかのような試みを複数行ってきた。高橋さんによれば、こういった斬新な開発力によってQBBベビーチーズも誕生したという。
「それまでのチーズはブロックタイプが主流で、ご家庭で好きな分をカットして食べていただくものが多かったです。この手間を省き、個包装にして便利に食べていただこうとして作ったのが1972年に誕生したQBBベビーチーズです。現在の縦型の4個入りと全く同じです」


今考えれば、チーズをおやつやおつまみとしていただくうえで、これ以上便利なものは思いつかないようにも思えるが、「発売時は全く売れなかった」と高橋さんは言う。
「チーズの主流がカルトンのブロックタイプだったことと、当時は消費者の方に認知していただく方法も店頭でのアピールだけでしたので、見栄え的にも大きいブロックタイプにはどうしても勝てなかったというわけです。また、近しいところでは他社の6Pチーズに勝てなかったところもあり、発売から30年近く普及に苦戦した商品でもありました」

火つけ役は「カマンベール」。売上が急激に伸びたワケ
しかし、2000年代に入り事態は大きく変化する。1990年代から「スモーク味」「アーモンド入り」といったバリエーションを加えていったが、決定的だったのが2001年に発表した「カマンベール」だった。この辺りから主力販売先のスーパーマーケットの理解を得られ、同時に店頭の棚の位置を変更するなどして視認性を良くし、一気に支持が高まったという。
「それまでは棚の上段で扱われることが多かったのですが、この頃から当社の営業の提案で下段展開を開始しました。あえて下に置いてもらうことで、QBBベビーチーズの多彩なバリエーションを理解していただきやすいのでは?と考えました。そうすると急激に売上が伸び、2005年に6品体制になったタイミングで年間1億本を突破。それから10年以上経った2016年には年間2億本を突破。2020年に年間2億5千万本を突破し、国内のベビーチーズシェアではNo.1となっています」

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