ネスレ日本、日清紡が実現させた「廃棄紙とコーヒー残渣からの洋服作り」とは?その中身に迫る

2022年11月11日 12:00更新

東京ウォーカー(全国版)

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スイスに本社に置く世界最大の食品飲料企業、ネスレの日本法人・ネスレ日本と、日清紡グループの商社、ニッシントーア・岩尾がタッグを組み、紙の詰め替え容器の「ネスカフェ エコ&システムパック」の廃棄紙や、コーヒーを抽出した後の残渣を使った繊維および衣服作りを行っている。

その試作品がTシャツで、薄い茶褐色でありながら、染めムラなどもなく、肌触りも「紙から作った繊維」とは思えぬほどなめらか。通気性・吸放湿性・軽量性にも優れており、今後、量産性を高め、商品化されることを願うばかりである。

廃棄紙とコーヒー残渣で作られたTシャツ


これまでは捨てられるだけだった素材を使い、生活者にとって身近にある繊維および衣服などにアップサイクルさせる取り組みで、言うに及ばず、社会的問題となっている食品廃棄ロス、アパレル業界での環境負荷削減に貢献したものだ。今回はこのサステナブルで有意義な取り組みについて紹介したい。

サステナブルな取り組みに熱心だった一方、避けられない課題もあった


そもそもネスレ日本は、コーヒーに関わる残渣やカーボンニュートラルに対する取り組みを熱心に行ってきたメーカーだ。2016年、国内にあるネスレ日本の全3工場が焼却・埋立廃棄物ゼロを初めて達成し、工場では、コーヒー抽出工程で排出されるコーヒー残渣のほぼ100%を燃料として再利用し、その燃焼エネルギーで発生した蒸気を、工場の熱源として利用するなど、合理的な取り組みを実施してきた。

他方で、『ROASTELIER by NESCAFE 三宮』といったネスレ日本の直営店などでは、発生するコーヒー残渣の処理において含水率が高いため、廃棄・再利用いずれにしても、いったん乾燥させなければならず、そのため「莫大な熱量と大量の炭酸ガスを発生させる」という課題も抱えていたという。

こういった課題を前に、ネスレ日本とニッシントーア・岩尾は両社で協議しながら、今回の「廃棄紙や、コーヒーを抽出した後の残渣を使った繊維および衣服作り」をスタートさせた。

廃棄紙を繊維に、コーヒー残渣を染料に……双方のフローとは?

廃棄紙を繊維に、コーヒー残渣を染料にするフロー


ただし、これらの取り組みは、聞くのとやるのとでは大違いで、そのアップサイクルのフローは実に手が込んでいる。ニッシントーア・岩尾の担当者に聞いた。

「まず、『廃棄紙を繊維にアップサイクルする』フローは、空きパッケージをパルプ化し、バージンパルプに混ぜ込んで紙を抄紙します。

そこでできあがった紙をスリット(細く切る)し、撚りを掛けて糸を作り、それを織ったり編んだりして生地に仕上げます。

カーボンニュートラルの取り組みとして、生分解性のある紙を使用することで、ポリエステル等の合成繊維を使用する場合と比較して、原料となる化石資源の使用削減や、焼却時の温室効果ガス排出削減等による環境負荷の低減も実現しています。

さらに、『コーヒー残渣を染料にアップサイクルする』フローは、まずコーヒー残渣を煮沸して色素を取り出し、その色素に防腐剤を添加して染料にします。

生地を染める際に一般的に使用する化学染料の染液排水は、環境汚染の原因とされており、たとえば今回の試作品のようにTシャツに転じる場合、1枚あたり0.2リットルの染液が排出されますが、コーヒー染料のような天然由来の染料の比率を高めることで、環境負荷低減に繋げています」(ニッシントーア・岩尾・担当者)

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