ご当地スーパーが「お弁当・お惣菜大賞」10年連続受賞!アイデア商品が支持される理由に迫る
東京ウォーカー(全国版)

福岡に3店舗、長崎に1店舗を持つご当地スーパー「ダイキョーバリュー」。全国の優れた弁当と惣菜を表彰する「お弁当・お惣菜大賞」で10年連続大賞を受賞し、「マツコの知らない世界」や「坂上&指原のつぶれない店」などテレビ番組でも取り上げらたほどの人気スーパーだ。逆さにして砕いて食べるという「博多長浜あんかけチャーハン」やマリトッツォからヒントを得た「はぎトッツォ」など、数々のアイデア商品はどのようにして生まれたのか?ヒット作誕生の裏側に迫る!

50を超える大賞受賞商品の数々
1978年の創業当時から惣菜に力を入れ、ほかのスーパーと差別化を図ってきた「ダイキョーバリュー」。弁当や惣菜はもちろん、スイーツを含めて手づくりのオリジナル商品を各店舗で開発している。

2021年に入選して話題になったのが「逆さにして砕いて混ぜる!?博多長浜あんかけチャーハン」。これは、容器を逆さにしてフタを開け、パリパリの春巻きの皮を割りながら、なかの具材とチャーハンを混ぜ、最後に豆乳とんこつのあんをかけて食べるというもの。創作性とアイデア、遊び心が詰まった逸品だ。

当時流行っていた「マリトッツォ」からヒントを得て、おはぎに生クリームを挟んだ「はぎトッツォ」。2018年に最優秀賞を受賞した「フォークで食べる八女抹茶のクリームおはぎ」が原点という。発売直後から話題となり、1日最高1264個を売り上げる大人気スイーツに。2021年に専門店をオープンするまでとなった。

そのほかに、長崎県五島列島の鮮度のいい鯛を刺身でなくあえてフライにし、水耕栽培のリーフや完熟トマトなど地元産の食材をサンドした「うまかっ鯛サンド」、顎が外れるほどボリュームある焼き芋を挟んだ「親の仇んごと焼き芋ばはサンドります」(※博多弁で「親の仇のように焼き芋を挟んでいます」の意)など、ひと手間かけておいしく食べられるもの、インパクトある見た目だけでなく、ネーミングもユニークな商品を多数販売している。
そんな、他店にはないアイデアが詰まったお弁当やお惣菜の数々。その商品が開発されるまでの裏側をヒットメーカーである惣菜部のベテランスタッフの梶原正子さんに聞いてみた。
「お弁当・お惣菜大賞」はお客さん以外の第三者の評価を受けられる場
現在、惣菜部の部長として積極的に商品作りに取り組む梶原さん。ダイキョーバリューに入社してお酒や雑貨、日配品など数々の売り場を経験し、6年前に惣菜部へ。

「商品案はパートさんから社長まで全従業員で考えています。一年前からもう次のお惣菜大賞を見据えてアイデアを出し合ってるんです。大賞を取るコツみたいなのはわからないけど、みんな真剣に取り組んでますよ。お客さんの“おいしい”の声もうれしいですが、お客さん以外の第三者からの評価と成績は、自分たちのモチベーションに変わります」
そんな全従業員の気持ちがこもった商品の企画から完成までには、2、3カ月から長くて半年以上かかるものも。企画しても8割くらいは落選してお蔵入りになるという。
「まずみんなで出し合ったアイデアを各店舗で絞ります。それを本部へ持っていき、そこから社長や専務を交えて会議しながら、食べながらを何度も繰り返して一個の商品をブラッシュアップしていくんです。それから最終的に最後まで残った商品をエントリーするという流れです。その年で違いますけど、一度のエントリーで各店2、3商品、全店で10品以上は出品しています。口に入れるものだから、安全・安心は第一。少しでも不安があると出せません。だからこそ、勝ち残った商品は喜んでもらえると思います」
商品づくりの第一歩は「とにかく作ってみるという行動力」
「お弁当・お惣菜大賞」に出品する商品以外にも、季節ごとに旬を生かした商品を販売し、店頭でも数々のヒット作を生みだしている。その商品作りの第一歩はじっくり会議するわけではなく、惣菜や弁当を手作りする日々の仕事のなかで生まれるという。

「みんな外食に行ったり、珍しいものを見たりすると写真を撮っておいたり。アイデアは日頃から常に持っています。すべて手作りなので午前中はお弁当作り、午後は次の日の仕込みやスイーツ作り。時間をとって企画会議をしたり、じっくり商品開発してる時間がないんです(笑)。“昨日こんなの食べたよ”というスタッフの話をもとに、“じゃあ作ってみる?”という感じで。だから、こんなの作ってみたいと思ったら、とにかくすぐ作ってみます。私、すぐしないと気が済まないんですよ」
専門店ができるまでにヒットした「はぎトッツォ」は、まさに梶原さんの行動力にあったという。
「お盆前におはぎを作ろうと話をしてたんですけど、なんだか普通のおはぎじゃつまらないよねって。それで、そのころ流行っていた『マリトッツォ』からヒントを得て、“おはぎに生クリームを挟んで『マリトッツォ』にしたら可愛くない?”と。翌日すぐ試作したら社内の評判はいまいちだったんですけど、社長からは一発OKが出ました。それでお盆の終わりの15日に店頭に出したら、30個から40個すぐ完売したんです。そのあと、あっという間にネットでも話題になって、作った本人がびっくりしましたよ(笑)」
さらに、人気店や料理人とコラボした商品も企画している。惣菜大賞をとった商品も、「こうしたほうが良くなるのでは?」とさらに改良してブラッシュアップしているという。
常にお客さんに寄り添う姿勢が「ダイキョーバリュー」を作る
大げさなことではなく、日常のお弁当・お惣菜作りをするなかからアイデアが生まれる。また、アイデアが生まれるヒントのひとつに、お客さんとの距離の近さや会話もあげられるという。お客さんからのリクエストに「NO」はないと話す梶原さん。

「よくお客さんが珍しい食材を持ってきて、“これで何か考えて”と頼まれたりもしますよ。それが商品化されるとまたすごく喜ばれるんです。お惣菜作りはその日に鮮度のいい魚介が届いたらとっさにそれでホイル焼きを作ってみたり、松坂牛ですき焼きを作ったり、そういうのが日常茶飯事。毎日同じものじゃないほうがお客さんも楽しいと思うんです。以前、誕生日ケーキを作ってほしいとお客さんに言われて。ケーキ屋さんみたいに立派なものはできないけど、うちのでよかったらという気持ちで、私が勝手に注文を受けたんです。私が作ったのはお母さんが子どもに作るような素朴なケーキ。お客さんに選んでもらおうと思って結局6個作って、残りを店に出したらすぐに完売したんですよ。それから問い合わせも増えました。お客さんから言われたことに“NO”はあり得ない。そんなスーパーです」
お客さんのリクエストに全力で応えることで、お客さんのニーズをつかんでいる。そんないい循環を実現しているようだ。
「ダイキョーバリュー」が目指すお弁当・お惣菜とは
「今後作っていきたいものとは?」という質問に、「スーパーのお惣菜とは言われたくない」と話す梶原さん。

「外で食べる外食とかレストランのような、ワンランク上の料理をおうちでゆっくり食べてほしいんです。そのために、私たちも技術を磨いていきたい。ただのスーパーのお惣菜とは言われたくないんです。特にほかのスーパーを意識しているというのはないけど、愛知県にあるスーパー「生鮮館やまひこ」の太田典子さんの作るお弁当、発想やカラーコントロールは素晴らしいと思っています」
お弁当・お惣菜といえばという地位を確立しつつある「ダイキョーバリュー」。日頃から新たな商品へのアイデアを探し、日々お客様に寄り添う姿勢が、大賞受賞商品を作る力となるのだろう。
この記事のひときわ
#やくにたつ
・第三者の評価はモチベーションになる
・新商品には流行を取り入れる。鮮度と行動力が大事
・誰かのリクエストに全力で応えることで、誰かプラスαのニーズをつかむ
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