疲労回復や安眠へと導く一般医療機器のウエア「リフランス」、リッチパジャマも“巣ごもり消費”追い風にヒット
東京ウォーカー(全国版)

2008年のリーマンショック後から使われるようになった“巣ごもり消費”という言葉がコロナ禍で再来。これをきっかけに、内向き消費の流れでパジャマが売れるようになり、新しい波が到来しているという。香りをつけたパジャマや、ヒアルロン酸を配合したパジャマなど、付加価値をつけたものが登場しているのだ。そんななか、リカバリーウエアのブランド「リフランス」からは、血流改善や環境に配慮した商品も登場。
今回、着るだけで血流改善が期待できる「リフランス」のリッチパジャマを手掛けた、HLコーポレーション(婦人服の縫製大手「小島衣料」の子会社)の営業部マネージャー・友部崇さんにインタビューを実施。商品の魅力や、今後の展開について聞いてみた。

――まずは、リカバリーウエアの特徴について教えてください。
【友部崇】「着るだけ」で安眠や疲労回復を促すもので、具体的には血流改善や筋肉の凝りをほぐしてくれることを期待できるウエアです。当社のブランド「リフランス」は、世界でも珍しい「一般医療機器」のパジャマをいち早く世に送り出してきました(2018年1月テスト発売、2019年9月本格発売開始)。
【友部崇】展開するすべての商品は、シリカやトルマリンなど数種類の天然鉱石の混合体「プラウシオン(R)」をコーティング(含浸)した、特殊な繊維や生地を使っているのが特徴です。体温の輻射(ふくしゃ)により、鉱石が発する微弱な遠赤外線が、自律神経(交感神経と副交感神経)のなかでもリラックス状態に働く副交感神経に作用。筋肉の緊張をほぐし、血流を促し、疲労回復や安眠へと導きます。

――リカバリーウエア市場参入のきっかけを教えてください。
【友部崇】親会社である小島衣料の代表取締役・石黒崇の考えで「企業は永遠ではない」というものがあります。そんななかで、今後、本業のアパレルの縫製業以外にもビジネスの幅を広げるべきとなり、お取引先さまと被らない形で、何かできないかと。そこで、ヘルスケアの市場は伸びていくのではないかと考え、出合ったのがリカバリーウエアでした。
【友部崇】石黒も実際に、社長業に携わる中で睡眠の悩みを抱えていたので、リカバリーウエアを試してみたところ、数年ぶりに“ぐっすり眠れた”という満足感を得られ、モニターで血流を見たら、グルグルと速く流れていくのが確認できて「これはスゴイな!」と驚いたそうです。
――「リフランス」の他社商品との違いや強みなどを教えてください。
【友部崇】天然繊維で製品を作っているところは、調べた限り、当社オンリーとなっています。ポイントは、化学繊維と比べると肌への刺激が少なく、吸湿性もあるところ。睡眠中も汗はかくものですが、吸湿性があるので快適に眠れるんですよ。
【友部崇】ただ、天然繊維を使用する場合はシリカやトルマリンといった数種類の天然鉱石の混合体「プラウシオン(R)」を後加工で繊維にコーティングしているので、洗濯するとどうしても少しずつ落ちてしまうというデメリットはあります。他社さまは、そういったところを含めて、天然繊維だけでの製造を避けられているのかな?と思います。
――どのくらいの頻度で洗濯したらいいのでしょうか?
【友部崇】第三者機関の試験で、50回、100回洗濯する試験を行っているんですが、例えば「3重ガーゼパジャマ」という製品では、100回洗濯してもコーティングは残っていました。100回目以降のテストは自社で調べたものになりますが、1年間毎日洗ったものも、変わらず血流改善を期待できる結果でした。
【友部崇】ただ、毎日乾燥機に入れると、傷みは進行しやすくなります。普通に洗濯して、自然に乾かすということであれば、2、3年問題なく使用できます。毎日洗いたい方はぜひ洗ってください。そこは睡眠に対して、ご自身が気持ちよくいられるかどうかを優先していただきたいです。
――パジャマに注力している理由について教えてください。
【友部崇】やはり、休養・睡眠される方々に機能を伝えるならパジャマかなと。リカバリーウエアの括りですと、実はTシャツのような形をしているものが多くて「これはいつ着ればいいですか?」という質問も多いんです。当社製品のように、パジャマの形になっていれば、誰がどう見ても休養・睡眠するときに使うものとわかる。贈り物にした際も、使うシーンを思い浮かべてもらいやすいのではないかと考えています。あとは経営の観点で、流行り廃りが少なく、在庫のリスクが少ないということも、パジャマに注力している理由です。
――流行り廃りは少ないということですが、近年のパジャマ市場の変遷を教えてください。
【友部崇】リッチパジャマは、“パジャマがどういうタイミングで進化するか”という裏付けをもって開発されています。
【友部崇】2008年のリーマンショック後の巣ごもり消費では、ジェラート ピケさんによってルームウエアが進化しました。「家で使うものだから何でもいいだろう」というところから、「モコモコ気持ちいい」「かわいい」というところに進化したんですね。
【友部崇】そして、コロナ禍で再来した巣ごもり消費・家ナカ消費。ここで、当社の製品もそうですし、他社の“香りをつけたパジャマ”や“保湿パジャマ”など、付加価値をつけたリッチパジャマの動きが出てきました。やはり、おうちのなかでの活動が盛んになるときに、パジャマというのは、ひとランク、ふたランク進化していくのかな?と考えています。
――リッチパジャマの魅力について、また、ターゲットについて教えてください。
【友部崇】身に着けるだけで効果を体感しやすい、継続しやすいというのが一番のメリット。そこが魅力かなと思います。ターゲットは、睡眠の質を上げたい、子育てや家事で時間がないけれど眠りをどうにかしたい…といった方々です。
――東急ハンズ新宿店パジャマ部門1位と、販売好調ですがマーケティングで工夫されていること、苦労した点、高価格商品の販売戦略などについて教えてください。
【友部氏】マーケティングで特別なことはしていないのですが…。男性女性、年齢問わずターゲットを広く考えていることはポイントのひとつかなと思います。東急ハンズさんに関しては、もともと睡眠に興味のある方々がいらっしゃる売り場で取り扱っていただけていることや、お客さまへの説明をきちんとしてくださっていることなどが大きいと思います。また、睡眠に興味のあるスタッフさんが実際に試して、体感して、そこから導入していただけることになったので、出合いの部分でもタイミングがよかったなと思います。今では東急ハンズさん11店舗で扱っていただいています。
【友部崇】あとは、睡眠のことを真摯に考えつつ、情報発信することも大事かなと。製品を販売するだけでなく、睡眠に関する情報の発信や、お悩み相談ができるところとして、「快眠コミュニティ」(「“絆”のコミュニティ」内)をサポートしています。ここで得たお客さま目線の考え方・ご意見・商品レビューは、もの作りに生かすこともできます。
【友部崇】最近では「眠りを妨げるもの、欠かせないものは?」という質問に対して、たくさんの回答をいただけてうれしかったです。睡眠への関心の高さを実感しましたね。「眠りを妨げるもの」としては、やはり「音」や「日中のストレス」「気温」「湿度」をあげる方が多かったです。

【友部崇】それから、製品を実際に使っていただくことも必要だと考えています。私の姪が所属するバレーボールのチームでも、製品の説明をしたところ監督に興味を持っていただくことができ、合宿でリッチパジャマを使っていただけることになりました。アスリートや監督たちは、スポーツ科学の超回復理論やフィットネス疲労理論などを理解されているので、パフォーマンスを上げるために休養の必要性を非常に前向きに捉えていらっしゃるなという印象です。使ってみて、体の回復の体感があるかどうかは個人差があるのですが、筋肉が弛緩して可動域が広がったり、毛細血管の血流が変化したりというのは、デモンストレーションで見ていただくのが一番かなと思います。いいものなのですが、人に伝える難しさというのもあります。
【友部崇】血流改善や良質な睡眠のためにお風呂に入る、入浴剤を入れる、マッサージをする…ということは皆さんも考えられると思うのですが、それだけでなくパジャマも使えるということを発信していきたいです。

――おすすめの商品を教えてください。
【友部崇】上質な天然の綿100%の3重ガーゼで作ったパジャマ(2万4200円~)です。最初から作っている商品ということもあるのですが、肌触りがすごくよくて、使っていくうちに肌になじんでいくんですよ。私は「パジャマは育てるような感覚で使ってほしい」ということをお伝えしています。

【友部崇】また、SDGsの取り組みも始めておりまして、この秋冬も、環境に配慮したパジャマやインナー(肌着)など、“エシカルな疲労回復ウエア”を5アイテム発売しました。新作のウエア(パジャマ2アイテム、肌着1アイテム)は、染色工程で水の使用量を削減した綿や、廃棄される落ち綿などを再利用した綿、生分解性を備えたメリノウール、農薬や化学肥料を使わずに生産するオーガニックコットンなどを使っています。
――社風や、社内ではどのようにアイデアが生まれてくるのか教えてください?
【友部崇】タブーなど制限を設けずに、柔軟性のあるアイデアが出る環境を作っていて理由なく意見を否定することはNGとしています。アイデアの源泉は、異業種の方々と交流することです。なるべくいろいろな方に会うことで、新しい可能性を見つけることができると考えています。
【友部崇】「首は冷やさないほうがいい」ということで、去年から販売している「温暖3重ガーゼパジャマ」(2万6400円~)は、手首・足首の部分が2重構造になっており、ネック部分はスタンドカラーデザインになっています。これは、デザイナーから出てきた主婦目線の意見と、お客さまのご意見をミックスして採用した製品です。内側の袖口にはゴムが入っているので、まくり上げることができて洗い物などの水仕事の際にもいいよねと。やってみると評判がよかったです。

――今後の展望は?
【友部崇】リカバリーウエアの知名度を、業界全体で高めていきたいと考えています。スポーツメーカーや流通、肌着や紳士服等の大手各社が参入し、活気づいているマーケットなので、横のつながりもできていけば。そのうえで各社の特徴が出てくれば、業界として伸びていくのではないかと思います。当社としては、睡眠以外の分野や、若い方に向けたデザイン、価格帯もさらに考えていきたいという話が出ています。

この記事のひときわ
#やくにたつ
・社長自身の悩みが新商品開発のヒントに<br />・利用シーンを想起しやすく、流行り廃りが少ないジャンルは狙い目<br />・異業種交流やコミュニティでの情報交換がアイデアの源泉になる<br />・商品訴求だけでなく派生情報を発信し、ユーザーの悩みも吸収する<br />
取材・文・撮影=平井あゆみ
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