コロナ禍で需要急増!マッチングアプリの流行で注目の副業“プロフィール写真カメラマン”のリアル
東京ウォーカー(全国版)
先が見えないこの時代、個人で副業をする人が増えている。厚労省が働き方改革の一環で副業・兼業の普及促進に力を入れる中、コロナ禍もどこ吹く風の伸びを見せている新業種がプロフィール写真カメラマンだ。本業の合間にでき、初期投資や在庫管理の負担もほとんどないため副業として始める人が急増しているという。売れっ子カメラマン・Marimoさんの仕事ぶりに密着し、そのリアルに迫った。
副業とマッチングアプリがコロナ禍を境に激増!
コロナ禍によるリモートワークの普及や、企業の副業解禁により、より身近なワークスタイルとして定着してきている「副業」。
2022年7月には、厚生労働省が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」の再改定を発表し、働き方改革の施策の1つとして副業・兼業の普及促進を進めている。
株式会社ライボが運営する『Job総研』が実施した「2022年 副業・兼業に関する実態調査」でも、コロナ禍を境に副業や兼業が急増したことが発表された。「副業・兼業を始めたタイミング」については、全体の45.5%が「コロナ禍の後」、「コロナ禍の前」が54.5%という結果となり、ここ数年の急激な増加を物語っている。また、「副業・兼業を始めた時期」でも2019年の37.1%に対し、2022年は74.1%と大きな伸びを見せている。(※1)
多様な働き方が身近になる中、注目を集めている副業が、プロフィール写真カメラマンだ。ここ数年、FacebookやInstagramといったSNSをはじめとするアイコン用プロフィール写真のニーズが急増している。
中でも、ステイホームやリモートワークで出会いの場が激減したコロナ禍において存在感を高めるのがマッチングアプリだ。明治安田生命保険が11月に発表した調査によると、2022年に結婚した夫婦の出会いのきっかけはマッチングアプリが22.6%と、およそ5人に1人。学校や職場を抜き、首位に踊り出た。(※2)
マッチングアプリは、プロフィール写真の良し悪しが出会いを大きく左右する。アプリ上で異性会員の写真とプロフィールをチェックし、お互いに“いいね”がつけばメッセージのやり取りがスタート。そこで合意に至って初めてデート、という流れだ。
写りのいい写真でなければ、デートには進めない。一方で、加工しすぎてあまりにも現実とかけ離れた写真を使えば、2回目のデートはない。現代の恋愛において、“ほどよく盛れたプロフィール写真”は必須アイテムとなっているのだ。
実際、スキルシェアサイト「タイムチケット」の直近2022年10月の全カテゴリー人気販売者ランキングでは、トップ10のうち半数以上の6人をプロフィール写真撮影カメラマンが占めている。コロナ禍以前の2019年10月の同ランキングでは、プロフィール写真カメラマンはトップ10中2人。需要の高まりがうかがえる。
撮影実績2000人!副業カメラマンの仕事内容
では“プロフィール写真カメラマン”とはどんな仕事なのか。
よく晴れた朝、都心のおしゃれなカフェのテラス席でスマホカメラのシャッターを切る女性。人気プロフィール写真カメラマンのMarimoさんだ。前述の「タイムチケット」2022年10月人気ランキングは同業トップの4位。本業でイベント司会やナレーターなどを行い、プロフィール写真カメラマンは空き時間に副業として行う。
シェアリングサイトや婚活サポートサイトを窓口に、4年ほど前から撮影サービスを提供。本業の合間を使って徐々に件数を増やし、のべ2000人近いマッチングアプリ利用者の写真をフレームに収めてきた。
カフェや野外で100~150枚撮影し、厳選した15~20枚ほどに自然な色味調整を行って、利用者に翌日までに送信する。1時間の撮影で、利用料金は平均1万円ほど。現在は月間50~60件ほどこなす。手数料や交通費などを抜いたとしても夢のある数字になりそうだ。婚活業界で働いた経験があり、撮影しながら婚活の相談にも乗れるのがMarimoさんの強みだ。
Marimoさん自身、プロフィール写真撮影サービスの重要度は高まっていると感じている。「今、出会いがないじゃないですか。コロナ禍があって、よりネットに頼る時代になって。需要は今後も増えると思います。全体的にプロフィール写真のクオリティが上がっていて、自撮りだとなかなか異性会員の目にとまらない状況になっていると感じます」という。
Marimoさんは現在、男性のための恋愛・婚活サポートサイト
NOVIO(ノービオ)
でもこのサービスを提供している。NOVIOは恋愛に役に立つ記事が読めるほか、マッチングアプリ用の写真撮影、プロフィール添削、恋愛相談など、NOVIO公認の恋愛コーチによる1対1のサービスが受けられるサイトだ。
「“ガチ感”は消した方がいい」求められるスキルは
マッチングアプリのプロフィール写真は、お見合い写真のような正攻法より、友達に撮ってもらったような自然体のものの方が“異性ウケ”がいい。そのため、求められるスキルもプロのカメラマンと全く異なる。Marimoさんは、ビジネス用写真は一眼レフで、マッチングアプリ用は敢えてスマホで撮影する。
「いわゆる“ガチ感”、頑張ってる感は消した方がいいと私は思っていて。一眼よりもスマホのほうが利用者の方も固くなりすぎず、サクッと友達に撮ってもらった気軽な雰囲気が出るんです。勘違いされやすいんですが、“ガチ”と“誠実”は必ずしも一致しないんですよね」とMarimoさん。
それよりも自然な笑顔を大事にする。「“実際のデートが想像できる写真”を目指しています。隙なく整った表情も素敵ですけど、実際に会ってみたいのは“笑顔が優しそう”“いい人なんだろうな”と思わせる人。それに『イケメンじゃないとモテない』と思い込んでいる男性も少なくないんですが、“イケメンは怖い”“遊んでそう”と考える女の子もけっこういるんですよ。イケメンかどうかより、安心感を与える自然体の笑顔がすごく大事だと思います」という。
“掛け合わせの時代”に…付加価値で婚活アドバイス
Marimoさんだけでなく、プロフィール写真カメラマンはiPhoneなどスマホで撮影を行っていることも多い。
Marimoさん自身はデジタル一眼も使うが、持っていなくても問題はない。「プラスワンで“一眼でも撮ってほしい”というニーズもあるので、デジタル一眼もあれば尚良し、という感じです。サービスを打ち出す時に『スマホで撮ります』と明示すれば問題ないです。私の場合、加工はパソコンで行いますが、実際に会った時とイメージの相違ができてはいけないので、最低限にとどめます」と話す。
それよりも大事なスキルが、“コミュニケーション力”。
「自然な笑顔を撮るには、心を開いてもらえるコミュニケーションが欠かせません。利用者の方は“初対面の人に撮ってもらうのは恥ずかしい”“アプリをガチで頑張ろうとしているって思われたくない”っていう精神的なハードルがすごく高い状態で来られるので、“私の友達もアプリやっていて…”とか、同じ立場、同じ目線で話をするようにしています」という。会話の中で共通点を見つけたり、利用者の趣味を糸口に緊張をほぐしていく。
撮影しながら自身のこれまでの経験も活かし、いいねがもらえる方法やうまくいく婚活の考え方、年齢や目的に合うマッチングアプリのアドバイス、初回デートで印象をアップさせる方法など“恋活戦略”も提供。これもサービスの一環だ。
「今って“掛け合わせの時代”だと思うので。写真がきれいに撮れることプラス、女性目線で意見を言ってくれるっていうのもすごく求められていると感じます。アプリ用カメラマンのスキルとして、アプリの知識とか恋愛経験があればもっといいんじゃないかなと思います」
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