コーヒーで旅する日本/関西編|コーヒー・ピクニック・アンティークのトライアングルで、穏やかな憩いと暮らしの楽しみを提案。「WIFE&HUSBAND」

関西ウォーカー

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全国的に盛り上がりを見せるコーヒーシーン。飲食店という枠を超え、さまざまなライフスタイルやカルチャーと溶け合っている。なかでも、エリアごとに独自の喫茶文化が根付く関西は、個性的なロースターやバリスタが新たなコーヒーカルチャーを生み出している。そんな関西で注目のショップを紹介する当連載。店主や店長たちが気になる店へと数珠つなぎで回を重ねていく。

小体な店内は、一つ一つのモノに吉田さん夫妻の感性がにじみ出る


関西編の第43回は、京都市北区の「WIFE&HUSBAND」。その名の通り、店主の吉田恭一さん、幾未さん夫妻が開いたロースタリーカフェだ。2015年に創業して以来、2人の感性が行きわたった空間と染み渡るようなコーヒーの味わい、賀茂川でカフェタイムを楽しめるピクニックセットなど、洗練されたユニークな提案でファンを広げてきた。2018年には、焙煎所兼アンティークショップの「Roastery DAUGHTER/Gallery SON」もオープン。コーヒーとピクニック、アンティークの三位一体で、穏やかなくつろぎの時間と、暮らしの楽しみを届けている。

店主の吉田さん夫妻


Profile|吉田恭一(よしだ・きょういち)
1972(昭和47)年、兵庫県加古川市生まれ。関西のファッションビルで紅茶専門店の店長を10年務めた後、ビルの館長として運営に携わり、雑貨や化粧品ブランドの開発・営業なども経験。退社後、結婚を経て、2015年、京都市北区にカフェ「WIFE&HUSBAND」を創業。2018年に下京区に、焙煎所&ギャラリー「Roastery DAUGHTER/Gallery SON」をオープン。
※「吉田恭一」の吉の部首の上部分は「士」ではなく、下が長い「土」が正式表記

Profile|吉田幾未(よしだ・いくみ)
1979(昭和54)年、京都府亀岡市生まれ。幼い頃から雑貨屋に憧れ、雑貨店併設のティーサロンでアルバイトを経て、正スタッフとして勤務。結婚を機に退社後、恭一さんと共に「WIFE&HUSBAND」をオープン。
※「吉田幾未」の吉の部首の上部分は「士」ではなく、下が長い「土」が正式表記

“いつか自分のお店を”。2人の夢が1つになった理想の空間

大通りから少し外れた路地にある店先には、ピクニック用のイスやテーブルがずらり

扉一枚へだてて、まるで別の世界へと誘われる。日常のなかで起こる、そんな体験は、喫茶店やカフェに惹かれる理由の一つだろう。その意味では、ここ「WIFE&HUSBAND」での体験の密度は、群を抜いて濃密だ。店内に一歩、踏み入ると、レトロな古道具やアンティークの食器、生活雑貨の数々…床から壁、テーブル、天井に至るまで彩る空間は、ふと目線を変えるだけで発見があり、やがてその世界観に身を委ねる心地よさが湧いてくる。

「元々は住まいとして探しあてた場所。長らく空き家でしたが、年季を重ねた佇まいを見て、2人とも“ここだ”と確信できる存在感がありました」と、店主の吉田さん夫妻。2人にとって、建物はもちろん、店内で見えるもの、触れるものすべては、ここにある意味を持つもの。2人の感性が、すみずみまで行き届いているからこその、他にない“体験”は、開店以来、多くの人を魅了してやまない。

元おでん屋を改装。カウンターは当時のまま残っている


いつか、自分の店を持ちたい。互いに共通する思いを持ち続け、形にできたのは、開業に至るまでの得難い経験が土台になっている。以前は、関西のファッションビルに勤めていた恭一さんは、テナント内の紅茶専門店で10年にわたって運営に携わったのを皮切りに、新たな雑貨ブランドの開発、ギャラリーの運営などを経て、最終的にはビルの館長も務めた。「紅茶専門店ではサービスや販売はもちろん、毎日の抽出やテイスティングで、嗜好品に対する味覚の判断基準ができました。その後の仕事を通して、アンティークの良さを知ることができましたし、プロダクトの企画・制作なども携わったのも貴重な経験でした。振り返ると、この時に実践してきたことが、今につながっていますし、何より、店をすることの楽しさを実感できたのは大きいですね」と振り返る。一方の幾未さんも、幼い頃から雑貨屋さんになる夢を持ち、雑貨店併設のティーサロンでアルバイトを始め、そのまま正スタッフに。以降、雑貨はもちろん、カフェの仕事にも面白みを見出していった。結婚を経て、2人の目指すものは一つに合わさり、この場所に出合ったことで、目に見える形になった。

「一見、深煎りで濃いけどあっさりした味わいが理想」と恭一さん


それにしても。長らく紅茶専門店にいた恭一さんだが、店の顏に据えたのは自家焙煎のコーヒー。少々、意外にも思えるが、「店を続けるにあたって、オリジナリティのあるものを提案することが大切と考えていて。コーヒーは、原料の生豆を自分の手で加工できるのが大きな魅力。味作りに独自の個性が出せますし、少量から焙煎できるので、鮮度がコントロールしやすいのも理由の一つ」。さらに言えば、自身が大のコーヒー好きであり、開店を考える以前から、自宅でも手焙煎をしていたほど。それも、幾未さんと交際を始めた最初の日に2人で焙煎をしたというから、「WIFE&HUSBAND」のストーリーは、この時から始まっていたのかもしれない。

「失敗した時の原因を特定できるように」と、抽出は粉15グラム、湯温84度を常に計測


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