「サラリーマントーマス」出演者を直撃!「部活みたいな熱さだった」と語る撮影の裏側とは

東京ウォーカー(全国版)

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1990年に日本でアニメ放送がスタートして以来、長年愛されている「 きかんしゃトーマス 」が12年ぶりにフルリニューアル。NHK Eテレでは、2022年12月24日(土)より新シリーズアニメが放送される。それを記念して「きかんしゃトーマス」公式YouTubeでは、大人こそ楽しめる“アテフリ”ドラマ「サラリーマントーマス」(全3話)を公開中だ。

アニメの音声やメッセージ性はそのままに、舞台を会社に移し、ウィットに富んだ注釈を交えることで、機関車たちを働く大人たちと重ねて描く斬新なドラマに仕上がっている。ネット上では、機関車とかけて“公式が暴走”とコメントされたり、完成度の高さが注目されたりと、まさに子供の頃にトーマスを見てきた大人世代を中心に大ヒット。

映像に声をあてる“アテレコ”ではなく、音声に動きをあてる“アテフリ”という手法を取り入れた本作について、主人公で新入社員の十升(トーマス)を演じた前田旺志郎さん、先輩社員の後藤(ゴードン)役の板倉武志さんにインタビューを実施。撮影エピソードや作品の魅力を聞いた。さらに、ソニー・クリエイティブプロダクツの担当者にも話を伺い、制作の裏側について教えてもらった。

十升(トーマス)役 前田旺志郎さんインタビュー

——“アテフリ”は初めてだったとのことですが、最初から撮影のイメージはつかめましたか?

【前田旺志郎】口は動いているけど声はのらない、ってどうやって撮るんだろうとか、“アテフリ”がどういうものか理解するのに多少時間はかかりましたけど、企画を聞いた時から「これはおもしろいな」と思っていたので撮影が楽しみでした。

その後、絵コンテをいただいた時に「なるほど」と思って。完成形がある程度把握できたのが大きかったと思います。それでも撮影のやり方については、現場に入ってから監督と相談しながら作っていった感じでした。

——現場の雰囲気はいかがでしたか?

【前田旺志郎】全体的に共演者の方たちと打ち解けるのはすごく早かったです。大先輩ばかりなので助けていただく場面もたくさんあって、めちゃくちゃ心強かったです。特に、商品紹介動画は1日目の遅い時間に撮っていたこともあって、深夜のテンションと勢いで乗り切ろうみたいな撮影でした(笑)。部活みたいな熱さで、みんなで走り切ろうと一丸となっていましたし、板倉さんが「頑張ろう」とおっしゃって、ご自身もそういう姿を見せてくださったので、僕も気合いが入りました!


——タイトな撮影で大変なところがありながらも、チームワークで乗り越えた現場なんですね。“助け合い”や“仲間の大切さ”がまさに本作のテーマになっていますが、ご自身の経験でそれを感じたエピソードを教えていただきたいです。

【前田旺志郎】今回もですが、仕事の現場では先輩方に助けられてばっかりです。自分が現場でうまくいかなかったり、悩んだりしている時に、アドバイスをいただくことがよくあって。お忙しい中、時間を割いて相談にのってくださるのは、本当にありがたいです。そういう先輩たちに今まで何度も助けてもらいましたし、これからも助けられていくんだろうなと。今はまだ自分のことで精一杯ですけど、ちょっとずつ経験値を積んで、僕もそういう風に誰かを助けるというか、一緒に引っ張っていける人になれたらなと思います。

——トーマスというキャラクターをベースに十升という人格がある、という難しい役どころだと思いますが、そこはどういう風に捉えていたのでしょうか?

【前田旺志郎】セリフが決まっているということもあって、サラリーマンの十升がどういう人なのか考えるというよりは、トーマスのまっすぐでピュアなところを意識していました。トーマスがもしサラリーマンをやっていたらこうなんじゃないか、という感じですね。

あと、トーマスがセリフを言ってる時にどこを向いてるのかなとか、どういう表情をしてるのかなっていうのをすごく見て研究して。特に目での表現は大切にしました。

——完成したものを見て、いかがでしたか?

【前田旺志郎】どんなものになるかわからない部分もありつつ撮影していたのでワクワクしていたんですが、完成形を見て、やっぱりすごくおもしろいものになったなと思いました。別の作品の共演者の方からも「見たよ」「おもしろかった」という声をいただくことが多くて。特に先輩方からお子さんや甥っ子、姪っ子と一緒に見たというお話を聞くとすごくうれしいですね。

——一方で、大人向けというところで、ビジネスシーンならではの用語の注釈が入っているおもしろさもありました。

【前田旺志郎】僕は会社員を経験してないので、実際の会社内でどんな会話があるのかわからなくて。想像しながら見ていたんですが、「アグリーです」っていうのが、めちゃくちゃおもしろいんですよ。あと、「おもしろい冗談だ」というセリフが「バズ・マーケティングが狙えそうだ」って訳されているところとか。これが社内で広がっていくんだろうなって思ったりして。

そもそもトーマスの映像が、サラリーマンの話としてやることを想定していないので、「さすがに無茶やろ!」というところにも無理やり言葉をはめていくスタイルがおもしろいですよね。タイトルからして、“ソシャゲ沼(=あな)におちたトーマス”って、どんだけ!って思いました(笑)。それでも、意外と成立してるというか、成立させるために細かく工夫されているからこそ、そこが見どころにもなっていると思います。


後藤(ゴードン)役 板倉武志さんインタビュー

——「サラリーマントーマス」で後藤(ゴードン)役を演じるとなった時、どんなお気持ちでしたか?

【板倉武志】僕は子供の頃にトーマスを見ていたのですが、ゴードンって人気があってすごく目立つキャラクターなので「うわ!ゴードンやれるんですか!」という喜びが、まずは大きかったです。

ただ、“アテフリ”というのは初めてで、最初に概要をいただいた時点ではわかっていなかったんです。それで資料をよく読んだら、これはセリフだけじゃなくてリズムも覚えなきゃならないんだな、テンポを合わせることになったら、ちょっとえらいことになるぞと思いましたね(笑)。

——いざ撮影が始まって、現場で感じたことを教えてください。

【板倉武志】やっぱりタイミングを合わせるのは難しかったです。本編の映像を見て撮影するという繰り返しなんですが、なかなか慣れることができなかったですし、みなさんもそこが一番苦労されていたところだと思います。

印象的だったのは、監督を中心に撮影前にキャスト全員で集まってミーティングをしたことですね。映画とかドラマといった映像の現場で一同集まって、「この作品はこういうコンセプトでやります」みたいな共通認識をもつための時間を作るって、あんまりないんです。その時に「一致団結してやっていこうとしているんだな」という感覚があって、おもしろい現場になると思いました。

——前田さんとのシーンが多かったと思うのですが、共演されてみていかがでしたか?

【板倉武志】僕はもちろん「まえだまえだ」を知っていたので、最初はお笑いの方という印象が強かったんですけど、撮影が進む中でめちゃくちゃ誠実にお芝居する方だな、と感じましたね。あと、現場にいた人ならわかると思うんですけど、口を合わせるスピードがキャストの中で一番うまいんじゃないかなってくらい合っていて、すごいなと思いました。

ほかの役者さんも含め、現場ではあまり芝居に関する話はしなかったんです。それこそネットではジェームス(常務)の顔がおもしろいと話題になっていますが、現場で見て「そこまでやるんだ!」と思ったり、前田くんに「あっ、ここでその表情するんだ」って思ったりして。僕は最初、人間としてゴードンに寄せようという方向性でやっていたんですが、前田くんは目の角度の細かいところとか、顔でトーマスとして勝負していて、「なるほど、そっちのアプローチもあるなぁ」と。完成したものを見て、もっとやってもよかったんだなと思った部分はありました。

——では、ご自身が気に入っているシーンも伺いたいです。

【板倉武志】1話目の、十升のフォローをするために会社に向かって新橋の街を走っているところが、本当にゴードンみたいになれたなと思っているシーンです。なるべく体が上下にブレないように走り方を意識して、あの時がゴードンと一番シンクロできた気がします。あれが多分二日間の撮影の最後のシーンだったんですが、それもあって、感慨深いですね。

——ゴードンらしさというところで、ほかに意識されたことはありますか?

【板倉武志】内海賢二さんがゴードンの声をあてられていて、僕も小さい頃からアニメでよく聞いていて親しみがある声なんです。でも、日常生活でゴードンのようなトーンで話す人って普通はいないから、内海さんの声が出ていてもおかしくない表情をしていないといけないなと思いました。だから、ちょっと強めの表情をしていることが多いと思います。特に3話はそうなっているんじゃないかな。

——最後に、本作のテーマにもなっている仲間や助け合いを感じたエピソードを伺いたいです。

【板倉武志】役者というのはアナログな仕事で、目の前の人たちとひとつの作品を作っていくことがまさに助け合いだと思うんです。今回は特に商品紹介動画の撮影がハードでしたが、しんどい状況の中でいかにお互いに気を使いながら、作品のクオリティを上げられるように頑張れるかが現場にとって大事。そこで、温かい言葉を掛け合ってお互いを鼓舞していたのがすごく助け合いだったと思うし、仲間の大切さによって成り立つ仕事だなと改めて思いました。

商品紹介動画は、自分たちの声で演じたのでアドリブも入れたし、前田くんがボケてくれたことで僕もふざけやすくなるし、ボケにツッコんだら、さらにボケてくれて…という深夜テンションで生まれたものです。誠実な俳優さんみたいな印象から芸人さんっぽい一面が見えたし、うれしそうにボケている姿を見て、ちょっとホッとしましたね(笑)。


ソニー・クリエイティブプロダクツ 担当者インタビュー

——ドラマ制作の経緯やサラリーマンという設定を選んだ理由について教えてください。

【ソニー・クリエイティブプロダクツ担当者】「きかんしゃトーマス」のTVアニメーションが12年ぶりにフルリニューアルされる節目にあたり、日本でも30年以上TV放送され、子供たちに支持されている本作の魅力やおもしろさを改めて多くの方々に知っていただきたい、というのがきっかけです。

そこで、「働く機関車たち」を「働くサラリーマン」に重ね合わせるアイデアが、大人になったからこそ心に響くメッセージを伝えられると考えました。時代によりアニメーション自体の表現手法は変化してきていますが、75年以上前に作者のウィルバート・オードリー氏が原作絵本の中で描いた「友情とチームワーク」は、どの世代・どの世界を生き抜くためにも大切なものです。

「きかんしゃトーマス」シリーズを通して、そのテーマが不変であることを改めて感じていただけたら、という思いを込め、数あるエピソードの中から3本を選定しています。

——メインキャストとして前田さん、板倉さんをキャスティングした理由を教えてください。

【ソニー・クリエイティブプロダクツ担当者】「トーマスたちが日本のサラリーマンだったら…」というアイデアにイメージが合う俳優さんでした。そのほかのキャストさんたちも、演技力でどんどんキャラクターに似てくるところはさすがだなと感じました。

——劇中のセリフをビジネス用語に置き換えた注釈が入っているのも特徴的です。

【ソニー・クリエイティブプロダクツ担当者】劇中のセリフに日本のサラリーマン社会ならではの解釈を加えるべく、ブラッシュアップしていきました。“ブラッシュアップ”という言葉もビジネス用語ですが、少し視点を変えてユーモアに変換できたら、日常生活がもっと豊かになるなと、このシリーズを通して感じます。

——最後に、本作への反響についてはどう感じていますか?

【ソニー・クリエイティブプロダクツ担当者】トーマスを見て育ったかつての子供たち、今は社会に出て活躍している世代の方々から大変多くのうれしい反響をいただいています。お子さんと一緒に楽しんでくださっている方もいらっしゃるようです。

「サラリーマントーマス」を通して、「きかんしゃトーマス」の物語に込められたメッセージに大人も子供も若者たちも、ぜひ「アグリー」していただきたいです!

大人のための「きかんしゃトーマス」として新たな解釈で生まれた「サラリーマントーマス」は、子供の頃にトーマスを見ていた人には懐かしさもあり、大人になったからこその発見もできる作品。ぜひ、チェックしてみて。

(C) 2022 Gullane (Thomas) Limited.

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