大ヒットのきっかけは"2つの奇跡が起きた"こと!誕生60周年を迎える「ぺんてるサインペン」が世界売上22億本のロングセラーになったワケ
東京ウォーカー(全国版)
活字離れも問題なし。さまざまな業界で愛されるサインペン
サインペンは発売60年経った今でも熱狂的なファンがたくさんいる。なかには箱単位で買いだめをする人や、ペン先が崩れたらすぐに変えて使いまくる人、クリップ部分を指で弾きすぎて折ってしまう人など、個性的な使い方をする人も多いのだとか。また、出版社や新聞社、広告代理店といった文章を仕事にする業界でも愛用者が多いという。
「記者や小説家、編集者、デザイナー、コピーライターなどの文章を扱う職業の方をはじめ、さまざまな業界の方に『作家ペン』と呼ばれて親しまれています。例えば、昭和を代表する作詞家・阿久悠さんがヘビーユーザーだったそうで、サインペン誕生55周年記念の際に息子さんにインタビューを行いました。その他、各業界で活躍する著名人の方々にサインペンの魅力を語っていただきました」
そして、サインペンを最も多くの世代に宣伝しているアンバサダーが「学校の先生」だという。赤色のサインペンはテスト採点の必需品だ。先生がこのペンで丸つけをしたり胸ポケットにしまっていたりする姿を子どもたちが見て、大人になったときに「あの先生が使っていたペンだ」と使い始めることも多いのだとか。
また、昨今ではスマートフォンやパソコンで文字を打つことが多くなり、ペンで文字を書く機会が減少しているが、それでも安定的な売上があるそうだ。中沢さんは売上に影響がない理由として「文字を書く総量は減っているかもしれないが、ポストイットやメモ書きなど、文字を書くシーンはまだまだ健在だからではないか」と推測している。

ぺんてるの野望は「100年愛されるサインペン」
いまや世界中で活躍しているサインペン。これからも進化を止めることなく、新しい顧客の開拓をしながら引き続き愛されていくことがぺんてるの目標だ。中沢さんは「これからもブランドを守り続けたい」と今後の展望を語る。
「現在、サインペンは100以上の国と地域で販売されていますが、なかでも日本で一番売れています。特にコンビニなどで黒色と赤色が中心に売られていてるため、手軽に手に入れることができるのも大きいです。また、近年では定番の赤黒に加えて、青・緑・橙・黄色・桃色・空色の鮮やかなカラーを展開しました。これからはさまざまな色があることを周知してもらえるよう、がんばっていく予定です」


ちなみに、欧米を中心とした海外ではカリグラフィー文化や筆記体に対応して、強弱がつけやすいペン先になっているという。このペンからヒントを得た「筆touchサインペン」という商品も展開し、さらなるファンの獲得を行っている。

サインペン誕生から60周年。これからもさまざまな業界で使用され、愛され続けること間違いなしだ。中沢さんは「目指すは100周年。頑張ります!」と気合をいれている。今後、サインペンは世界でどのような活躍をするのだろうか。そして「作家ペン」としてどんな作品の誕生に貢献するのだろうか。これからの活躍に目が離せない。
この記事のひときわ
#やくにたつ
・ビジネスのアイデアは「想定外」から生まれることがある
・シンプルで使いやすいデザインは大ヒットを支える要素
・地域や文化に合わせ、商品の売り方を変えるのが大事
取材・文=越前与、写真=後藤巧
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