発売から13年目で使用者が激増!売れ行き不振にめげずに「ソフィ シンクロフィット」を作り続けたユニ・チャームの理念とは
東京ウォーカー(全国版)
女性の生理ケア用品にはさまざまなものがあるが、日本でメジャーなのは紙ナプキン。日本人女性の9割近くが紙ナプキンを使用していると言われている。一方、生物学的女性の健康上の課題を解決するテクノロジーを指す「フェムテック」という言葉が、2021年の新語・流行語大賞にノミネートされるなど、生理用品に関しても近年さまざまな製品が登場している。
そんななか、ユニ・チャームが2008年に発売した全く新しいタイプの生理用品である「ソフィ シンクロフィット」(以下、シンクロフィット)が注目を集めている。長く売り上げが伸び悩んでいたのだが、発売10年以上経ったタイミングで使用者を10倍以上に増やした。シンクロフィットが開発されたきっかけや、販売を続けた理由をユニ・チャーム株式会社 ESG本部 広報室の藤巻尚子さんに聞いた。

タンポンに抵抗がある人にも使える製品として開発
衛生用品の大手メーカーであるユニ・チャームは1961年の創業。創業当時は大成化工という社名で、建材の製造販売をしていた。
「創業者である高原慶一朗がアメリカに視察に行った際に見た光景がきっかけとなり、生理用品の製造と販売をスタートさせることになりました。当時、日本では生理用品は薬局で奥の方にひっそりと置かれていました。しかし、アメリカではスーパーマーケットで山積みにされていました。これから女性が活躍する時代に入っていくというのを見据えて、日本でも生理用品を“ひなたの商品”にしようという思いから1963年に生理用ナプキンの製造販売を開始しました」
その後、1974年に生理用品メーカーとしてふさわしい名前にしようということで現在の「ユニ・チャーム」に会社名を変更した。ユニは「Universal(ユニバーサル)」「Unique(ユニーク)」「United(ユナイテッド)」から、チャームは“女性にはいつも魅力的(チャーミング)であってほしい”という願いから「Charm(チャーム)」を取って、つけられたんだそう。
「生理は一人ひとり、症状が大きく異なります。生理痛が重かったり軽かったり、経血量が多かったり少なかったりするため、一人ひとりの悩みに合わせ、商品を展開しています。また、社会の変化に応じて、女性の働き方、ライフスタイルも変わっています。昔は“厚型”といわれるふかふかとした生理用ナプキンしかなかったですが、日中働いているときに違和感なく過ごせるよう、体にフィットしやすい“薄型”のナプキンや、タンポンも製造・販売するようになりました」
膣内に挿入することで経血を吸わせるタンポンは、欧米では7、8割の女性が使用していると言われるメジャーな生理用品だ。
「タンポンは経血漏れが少なく、蒸れもないため快適に過ごせる生理用品です。しかし、その使用方法から日本では抵抗感を持つ方がいらっしゃいます。一方、ナプキンはショーツにつけて使用するため、体とナプキンの間に隙間ができてしまい、そこから経血が漏れてしまうということがあります。そこで、ナプキンと体の隙間を埋めることができ、抵抗感なく使える新タイプの生理用品の開発がスタートしました」


そうして2年弱の開発期間を経て、2005年に「ボディピース」という名前で新タイプの生理用品ができあがった。2008年には個包装紙も含めてすべてトイレに流すことができるシンクロフィットとしてリニューアルしている。開発にあたって難しかったのはどういった部分なのだろか?
「難しかったことの1つ目は体に挟んでも違和感のない厚み、柔らかさを実現することです。肌に優しいシートを使い、挟んだ直後からふかふかと柔らかく感じられるように工夫しています。2つ目は動いても外れないようにするということです。立ち仕事の方が動き回っても大丈夫なように、経血を吸収しても崩れない吸収体を採用しました。また、体の丸みに合わせたカーブにするなど細部までこだわり開発しています。これまで当社が培ってきた技術を融合させ、シンクロフィットを作っています」


シンクロフィットは特殊な形をしており、内側のポケットに人差し指を差し入れ、膣口に挟むように装着する。すると、シンクロフィットが経血を吸い取り、ナプキン側への経血量を減らしてくれる。漏れの不安を解消し、トイレに流せるなど非常に利便性の高い製品だが、売れ行きは長く伸び悩んだという。
「発売当初は15秒CMを制作し放映していましたが、シンクロフィットはそれまでの生理用品とは全く違う形状のため、消費者の方に使い方を認知していただくことが難しいという課題がありました」
そのため、ドラッグストアの店頭にもなかなか置いてもらえず、不遇の時期が続いた。しかし、それでもシンクロフィットの製造は続いた。通常、“売れない製品”ならば、終売になってしまいそうにも思えるが、なぜユニ・チャームはシンクロフィットを作り続けたのだろうか。
「それはユニ・チャームの理念につながります。生活者が持つ課題を解決したいという思いが創業者、現在の社長・高原豪久、社員たちにあります。生理期間を少しでも快適なものにしたいため、一人でも使ってくださる方がいるなら製造販売を続けることを使命と考えています。ナプキンは他社でも販売されていますが、シンクロフィットは唯一無二の製品です。代替品となるものがないため、当社のお客様相談センターにも『どこで販売されているんですか?』と求める声がたびたびありました。お客様から本当に必要とされる商品だと思っています」
どうやって認知度を上げるか、という課題はありつつも、唯一無二の製品でメーカーとしても自信を持って届けている商品だからこそ、製造を続けられたというのがわかる。
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