リモートワーク、フレックス強化…コロナ禍で進んだ働き方の変化、そのメリット・デメリットとは?
東京ウォーカー(全国版)
コロナ禍における緊急事態宣言後、導入が広がった在宅勤務やテレワーク。その後、感染動向が落ち着いたことで、再び出社を求めたり、引き続き在宅勤務を推進する方向に舵を切ったりと、企業ごとに働き方に対してさまざまな反応が現れることとなった。2023年3月、株式会社MIXIと株式会社LIXILが開催したメディア向けトークイベント「企業活動の変化と未来を考える。」のなかで、コロナ禍の間に生まれた変化やこれからの働き方について両社の担当者が語った。

出社率は半減以下、リモート化でのサポートを強化
同イベントでは、戦略総務研究所所長で「月刊総務」代表の豊田健一さんをモデレーターに、「採用」「働き方」「オフィス」の三部構成でMIXIとLIXIL各担当者が登壇。第二部「コロナ禍で大きく進展した働き方改革と次世代の働き方」では、株式会社LIXIL D&I推進担当リーダーの小竹茜さんと、株式会社MIXI 人事本部 労務部部長の小川大輔さんが登壇した。
最初のトークテーマは、両社のコロナ禍での働き方に対する取り組みの振り返り。小竹さんは、LIXILではコロナ禍以前からコアタイムをなくし、従業員が自分自身の状況に応じて働く時間帯を選択できる「スーパーフレックス制度」を採用し、また働く場所についても生産・物流といった現場での対応が必要とされる一部の業務を除いては在宅勤務を進めていたとしながらも、「本社出社率はコロナ禍前はかなり高かったのですが、現在では約8%となっています」と、コロナ禍の影響で在宅勤務には大きく拍車がかかる形になったと話す。

一方、現在の平均出社率は40%というMIXIでは「家でも会社でも働きやすいという環境作りを取り組んでいた」と振り返る小川さん。緊急事態宣言下のリモートワークを補助するため、椅子や机などの在宅勤務環境を構築するための備品購入費用の補助や、光熱費や通信費補助、リモートワーク慰労を目的とした特別賞与の付与など、さまざまな場面で手当・賞与という形で支援を行ったという。また、リモート期間中も出社が必要となった社員に対しては、感染拡大防止とともに飲食店の休業などによる食事面のサポートとして1日1000円のランチサポート手当を支給するなど、在宅・出勤両面で手当を厚くする形でのフォローに注力したという。
リモートはおおむね好評も、社内コミュニケーションに課題
また、リモートワークが進み、働く場所だけでなく、時間帯や曜日も働き方の自由度が広がる流れも強まりつつある。既にコアタイムを排したフレックス制度を導入しているLIXILでは、「育児や介護、通院といったイベントと仕事を両立させやすいということで従業員からはすごく好評です」と、フレックスの活用事例としてプライベートと仕事の時間を柔軟に対応させる形が多いと小竹さんは話す。
また、MIXIでもコアタイムを10時~15時から12時~15時に短縮したことで社内からは好評の声が聞かれているといい、今後はフルフレックス制度を試験導入し、働く時間の柔軟性をより高めていくとしている。

こうしたリモートワークのメリットについては、MIXI・LIXILがそれぞれ行った社内アンケート(調査名:働き方・オフィスに関するアンケート、実施期間:2023年2月、回答者数: MIXI 従業員 341名、 LIXIL 従業員 485名)でも「通勤時間が削減される」(MIXI:91.2%、LIXIL:91.5%)、「家族やプライベートとの両立がしやすい」(MIXI:69.2%、LIXIL:61.0%)といった回答にも反映されている。一方でデメリットとしては、「光熱費や備品などお金がかかる」(MIXI:63.9%、LIXIL:77.3%)と金銭的な負担の他、「業務のちょっとした確認や相談がしにくい」(MIXI:50.1%、LIXIL:69.5%)、「コミュニケーションが取りにくい(or 雑談ができない」(MIXI:45.5%、LIXIL:72.0%)」といった社内コミュニケーションへの弊害が両社とも上位にあがっている。

MIXI の小川さんはこの結果について「やっぱり業務の指示であったり進捗の確認であったり様子が見えないというのはあるかなと思います」とマネジメントからの声が多いのではと分析。LIXILの小竹さんも「コミュニケーションがとりにくいというのはマネジメントとこれから仕事を覚えていく方」と話す。そうした課題については、両社ともにオンボーディングに力を入れることでサポートに取り組んでいるという。
こうした課題と直結してくるのが、リモート環境化における組織でのエンゲージメントの高め方だ。
MIXIではフルフレックスや有給休暇の促進などを通して働きやすいベースとしての環境を整えていくことを第一に挙げつつ、「やっぱり人間なので、コミュニケーションがかなり大事だと思っています。出社でもリモートでもコミュニケーションがしっかりと相互に取れるよう意識して取り組んでいくことで、居心地のいい会社文化を作っていければいいのかなと」と小川さんは展望を語る。
他方、小竹さんはLIXILが進めるインクルーシブな職場環境の構築がエンゲージメントを高めることにも重要だと話し、D&I推進アンバサダーを招いて各部門ごとにインクルージョンの指標を分析しながらセミナーなどの施策を取り組むほか、マルチカルチャー、LGBTQなど5つのグローバルコミュニティを設けオンラインでのコミュニケーションイベントを開催し、会社へのつながりが感じられるような仕組み作りも行っているという。
さらに多様化する今後の働き方を見据えて
コロナ禍を通して働き方の多様化がある意味では後押しされた一方、今後の働き方の変化も予測できない時代となった今。イベントの最後に、これからの働き方について両社の未来予想図が語られた。
MIXIの小川さんは「昭和のころは勤務時間がもともと短かったり土曜日も出社したりといったことが普通にありましたよね。今もそのときと比べたらだいぶ変わっていますし、今後も働き方やライフスタイルを柔軟に受け入れるような形になっていくといいんじゃないかと思っています」と、会社として多様性を受け入れていく意識を語る。また、現在は国内拠点とその勤務者がメインの同社として、今後は海外を見据えた動きにも対応していきたいと考えを明かした。
LIXILの小竹さんは、現在推進するインクルーシブル職場作りを今後もさらに多様化するニーズに対応できるよう進めていきたいと話す。なかでもコロナ禍のアメリカで女性の管理職がバーンアウトによる大量退職した事例に触れ、今後は従業員のウェルビーイングを重視した施策を打っていきたいと今後の展望に触れた。
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