伝統と革新が融合し新たな歴史を刻む。 スターバックスのJIMOTO Made新作は北九州発・小倉織のバッグ

東京ウォーカー(全国版)

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伝統と革新が融合し新たな歴史を刻む。 スターバックスのJIMOTO Made新作は北九州発・小倉織のバッグ

スターバックスでは2015年から、日本各地の工芸や産業を用いた商品を開発し、その地元の店舗のみで販売する「JIMOTO Made」を展開している。シリーズ16弾として、福岡県北九州市の店舗限定で「小倉織ミニバッグKITAKYUSHU」と「小倉織ミニバッグMOJIKO」(各6,550円)が4月24日(月)に発売となる。このミニバッグに込められたストーリーを追った。

骨董品店での出合いから始まった小倉織の新たなストーリー

立体的な縞柄が美しい小倉織写真=Photo kyoko omori

九州の最北端・福岡県北九州市は日本海や瀬戸内海に面し、中央部には国定公園に指定された山間部もある自然豊かな都市。同市には江戸時代から伝わる綿織物・小倉織(こくらおり)がある。先染めした木綿糸で織り、丈夫で滑らか、そして美しい立体的な縞模様が特長だ。

1600年代から作られていた小倉織は、江戸時代には武士の袴や帯に用いられ、徳川家康が鷹狩の羽織に愛用したという記録も残る。明治期にはバンカラな夏の学生服として全国的に人気となった。300年以上続いた歴史は時代の流れから昭和初期にいったん終わりを告げたが、染織家・築城則子さんが1984(昭和59)年に手織りで復元・再生させた。現在は築城さんの弟子が独立するなど作家たちの活動も広がりを見せる。

築城さんが出合った端布は、子ども用の袴だったそう写真=Photo kyoko omori


きっかけは市内の骨董品店で小倉織の端布(はぎれ)に出合ったこと。濃紺、白、藍、青の美しいグラデーションとつややかな質感に魅了されて小倉織を研究。自身で染めた糸で何度も手織りし、小倉織の新たな歴史が始まった。「小倉織ミニバッグKITAKYUSHU」と「小倉織ミニバッグMOJIKO」には築城さんがデザイン監修をする機械織の小倉織ブランド「小倉 縞縞」の生地が使われている。

縞のグラデーションの美しさの理由

小倉織の魅力は、プリントではないからこその立体的な縞柄。この美しいグラデーションは、どのように生まれるのか、小倉 縞縞の生地を製造する市内の織物工場を訪ねた。

手前が「小倉織ミニバッグMOJIKO」、中央が「小倉織ミニバッグKITAKYUSHU」に使われている小倉織。高密度な細い糸で繊細に表現


美しさの秘密のひとつは糸にある。監修をする築城さんは草木染の糸を用いて手織りで作品作りを行う染織家。小倉 縞縞の生地の糸は草木染ではないものの、木や葉を使う草木染の日本ならではの自然の色にできるだけ近づけて染色された糸を使っている。幅広い濃淡の糸があり、それがグラデーションを生む要だという。

さまざまな色のオリジナルの糸が用意されている


もうひとつは築城さんの緻密なデザインをもとに丁寧に織り上げること。どの色を何本並べるかまで細かなレシピがあり、デザインをコンピューターに入力して整経機(せいけいき)で経糸(たていと)を並べる。小倉織は一般的な織物の2倍以上の経糸を用いることで密度が高くなり、緯糸(よこいと)が見えないため、経糸の並びが縞柄として生地に現れる。また、高密度なうえ2本の糸をよった双糸(そうし)を使うことで丈夫な生地になるのも特長だ。

右側に糸がセットされ、左側は巻き上げられた経糸

並べられた経糸が縞として現れる


この整経機は約4年前の導入時には、全国でも取り扱いが非常に少なかった最新式のもの。最大16色の糸がセットできることで色使いが多彩になり表現の幅が広がるのだ。

整経機は「MOTHER」と愛称がつけられている。織機もTARO、JIROなど名前を付けることで、愛情をもってメンテナンスしているそう


巻き終わった経糸は織機に移され、糸一本一本が丁寧にセットされる。すべての糸をコントロールしながら、緯糸が織り込まれて生地になる。

織機に移された経糸。すでにデザイン通りの縞柄が浮き上がって見える

並べられた細い経糸に緯糸を通す。緯糸には、縞が美しく出る色が選ばれる


織り終えると、傷や糸の飛び出しがないかなどをチェックする検反を行う。人の目と手の感触で確認した後、生地を仕上げする洗いの工場に出して完成となる。

最後は人の目と手でチェック


見学している間も、織り具合を確認したり、機械に糸をセットしたりと、職人たちが動き回り、機械織といっても人の手が多く入っていることがわかる。職人は現在4人。
「糸の色や数など整経機へのデザインの入力は縞柄の肝になるので、とても気を使います。1つのデザインで2時間ほどかかるものもあり、それをダブルチェック。機械織とはいえ手作業もたくさんあるので、規模が小さい工場だからこそ、丁寧に作ることを心がけています」と工場長の三満田 巧さんが教えてくれた。緻密なデザインと、職人たちの丁寧な作業で、美しい縞が生まれているのだ。

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