伝統と革新が融合し新たな歴史を刻む。 スターバックスのJIMOTO Made新作は北九州発・小倉織のバッグ

東京ウォーカー(全国版)

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革新を恐れず、時代に合ったモノづくりを

「縞の表現は無限。色が1本違えば、違う表情になるんです」と小倉織の魅力を語るのは、株式会社小倉縞縞 専務取締役の築城弥央さん。染織家・築城則子さんが小倉織を手織りで復元・再生して約40年がたつが、一度途絶えたこともあり、小倉の地ですら知名度は高くなかった。小倉織をもっと広く伝えていくために機械化をしようと、2007年に機械織のブランド「小倉 縞縞」を、2018年に製造を担う工場として小倉織物製造株式会社を立ち上げた。小倉織の縞の美しさと丈夫さを機械織で表現し、これまでに作られた生地は約140種もあるという。

「インテリアに多用できる世界基準の丈夫な生地開発にも力を入れたい」と語る弥央さん


小倉織にとって革新を恐れないことを大切にしていると、弥央さんは力強く語る。それは、過去と同じことをしていては、また小倉織が途絶えてしまうという危機感があるから。

「小倉織はもともと袴地や帯地として使われていましたが、ブランドを始めるときに、そうした用途をメインにするのではなく、現代のライフスタイルに合わせて幅広く展開すると決めました。小倉 縞縞がスタートしてから15年の間にも、世の中に求められているものがめまぐるしく変わってきていると感じています。伝統に寄りかかりすぎてしまうと、革新に消極的になってしまう。小倉織が悲しい歴史をまたたどることのないよう、伝統を守っていくには新しいチャレンジが必要だと考えています」

手織りよりも広い幅の生地を作ることができる機械織では、手織りにない可能性が見えた。ブランドは小倉織の生地を販売するほか、雑貨や服など日常に取り入れやすいアイテムを開発・販売。また、ブランド立ち上げ当初から国内外の展示会にも積極的に参加。カーテンや壁紙、家具の張り地などのインテリア、ホテルやオフィスの空間プロデュースなど、小倉織の魅力を生かした活動を展開。新しい発想を大切にし、多様な人材を異業種からも採用している。

縞の表現だけでなく、新しい素材を使った生地開発にも意欲的だ。コロナ禍に生まれたのが、綿糸の経糸に、再生糸の緯糸を用いたサステナブルな生地。コロナ禍を経験した私たちは、もっと地球に目が向くのではないかと思ったからだとその意図を語る。
「生地を使うことで循環される仕組みを目指し、回収した衣類やクリーンアップ活動で拾った漂着ペットボトルなどを原料にした緯糸を使っています。一部には、私たちが海や川に行ってごみ拾い活動をしたものも含まれているんです」

北九州市の自然、門司港の歴史をイメージした2種のバッグ

左が小倉織ミニバッグKITAKYUSHU、右が小倉織ミニバッグMOJIKO。サイズはW230ミリメートル×H270ミリメートル(持ち手含まず)。内側のポケットに収納して写真手前のようにコンパクトに持ち運べる

そんな小倉織の新たなチャレンジのひとつが、スターバックスと一緒に開発した今回の「小倉織ミニバッグKITAKYUSHU」と「小倉織ミニバッグMOJIKO」だ。

「地元を代表する小倉織が絶えることなく、いつまでも地元の伝統工芸として愛され、未来につないでいきたい」

そんな想いを込めて、日常生活の中で使いやすいバッグを商品化したという。ミニバッグには内側にスターバックスのペーパーカップ型のポケットが付いていて、そのポケットに折りたたんでバッグを収納できるパッカブルなデザイン。生地は、市内のスターバックスの店舗パートナー(従業員)からヒアリングした北九州と門司港のイメージをもとに選定された。

KITAKYUSHUは、北九州が誇る自然と親しみやすい人柄をイメージし、明るいグリーンベースの縞柄をチョイス。漂着ペットボトル由来の再生糸を使ったFOREST GREENという名の生地で、北九州の海や山をイメージしたバッグにぴったりだ。

MOJIKOは、駅舎が重要文化財に指定されている門司港駅のある門司港地区を指し、レトロ、地元の顔といったイメージから黒とグレーのクラシカルで落ち着いた縞柄に。小倉織らしい縞柄に、地域に根付いている門司港のレトロ感が表現されている。こちらは門司港駅舎にあるリージョナルランドマークストア・門司港駅店でのみの販売だ。

販売時はポケット部分にスリーブをイメージした説明書がつけられている


小倉織を後世に残していくためには、若い世代に伝えていくことが必要だと弥央さんは語る。「JIMOTO Madeという素晴らしい取り組みに声を掛けていただいたことは率直にうれしかったです。綿は使ううちにへたってしまうイメージがあるかもしれませんが、小倉織はとても丈夫で長持ち、経年変化でなめし革のような味が出てくるのが魅力です。汚れてもガシガシ洗って、使い込んでください」

また、発売に先立ち、北九州市内のパートナーたちが小倉織の工場を特別に見学している。小倉織を五感で学び、商品への理解を深めるためだ。みな熱心に説明を聞き、小倉織のすばらしさを店舗に訪れるお客に伝えたいと意気込む。

工場を見学するパートナーたち


小倉京町店の金原奈央さんは小倉織の復活のストーリーが、昨年大規模火災に遭い現在復興を模索する北九州市民の台所・旦過市場と重なったと言う。「北九州はとても地元愛の強い土地柄。復活するって困難が多いことだと思うので、伝統を守っていることにとても感銘を受けました」

JIMOTO Madeの商品が北九州にもできることを心待ちにしていたと言うジ アウトレット北九州店の林 亜蘭さんは、祖母が小倉織を持っていたそう。「小倉 縞縞さんの生地やデザインが地元の病院や百貨店のショッピングバッグなどに使われ、小倉織は私たちの日常に溶け込んでいるのだと思いました。ここで感じたことをお客様に伝えて、つなぐ役割を担っていきたい」と熱っぽく語った。

商品を手に取り感触も確かめるパートナーたち

一片の端布との出合いをきっかけに、ひとりの染織家の情熱により息を吹き返した小倉織。地域の産業にスポットを当て魅力を伝えるJIMOTO Made。ふたつが出合って生まれたパッカブルなミニバッグが、新たな未来を運んでくる。

■販売店舗
「JIMOTO Made小倉織ミニバッグKITAKYUSHU」/スターバックス コーヒー イオン若松店、小倉京町店、リバーウォーク北九州デコシティ店、サンリブシティ小倉店、イオンモール八幡東店、アミュプラザ小倉店、門司港駅店、黒崎駅店、ジ アウトレット北九州店、到津の森公園店、八幡永犬丸店(2023年5月8日オープン)
「JIMOTO Made 小倉織ミニバッグMOJIKO」/スターバックス コーヒー 門司港駅店

※記事内の価格は特に記載がない場合は税込み表示です。商品・サービスによって軽減税率の対象となり、表示価格と異なる場合があります。

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