カフェインレスの「デカフェコーヒー」、抜かれたカフェインの行方とは?その製法をタリーズコーヒーに直撃

東京ウォーカー(全国版)

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人々の健康志向が強くなった昨今、妊婦に限らず「カフェインを控えたい」という人も増えてきている。そんな人たちの人気を密かに集めているのが「デカフェコーヒー」だ。

デカフェコーヒーは、いわゆる“カフェインが取り除かれたコーヒー”。今ではあらゆるコーヒーショップのメニューとして並び、世間での認知度を上げてきているように見えるが、「まだ飲んだことがない」という人も多いのではないだろうか。また、最近飲み始めた人も、「どうやってカフェインを抜いているのか」など知らないことが多いはずだ。

今回は、全国に約760店舗ある「タリーズコーヒー」を運営するタリーズコーヒージャパン株式会社 プロダクト本部 ビーンズ開発グループグループ長の南川剛士さんに、まだまだ謎が多いデカフェコーヒーについて聞いた。

「おいしくない」と言われがちなデカフェコーヒーだが…。その製法と味わいに迫る!


本拠地・アメリカでは“ブレンドの1つ”として愛される

ここ数年で流行し始めたように見えるデカフェコーヒーだが、タリーズコーヒーでは日本参入後、2000年頃からデカフェコーヒーを販売していたそうで、その歴史は意外に長い。また、タリーズコーヒーの本拠地であるアメリカでは非常にメジャーな飲み物で、ノンカフェインを意味する「decaffeinated」を略して「decaf」と呼び、数あるブレンドの中から選ぶのと同じように受け入れられているようだ。

「アメリカでも、妊婦の方や体質的にカフェインが摂取できない方といった“コーヒーが飲みたくても飲めない人”に好まれると推測していたんですが、実は更年期の方に最も飲まれているんです。血圧や脳内ホルモンバランスへの不安、健康志向の向上などが影響していると推測しています」

アメリカ・シアトルで誕生したスペシャルティコーヒーショップ「タリーズコーヒー」。日本でも、コーヒー好きのひと休みの定番店だ


現在デカフェコーヒーは、日本では妊婦や女性を中心に飲まれてはいるものの、全体の数%にとどまっており、まだまだ浸透しきっていないという。しかし、健康志向の観点から注目され始め、2004年には日本で初めて東京大学医学部附属病院に「病院内店舗」を出店。その後も店舗を増やし続け、現在では70カ所の病院内に店舗をかまえている。このように“コーヒーが飲みたくても飲めない”というニーズに応えているそうだ。

日本ではまだまだ知られていないが、アメリカではポピュラーな飲み物のようだ


カフェインを再利用?デカフェコーヒーの製造方法

“カフェインが取り除かれたコーヒー”であるデカフェコーヒーだが、発売当初のノンアルコールビールのように、最初は受け入れがたいもの。「おいしいの?」「体に悪いものは入ってないの?」と疑問に思う人も多いだろう。その製法と味わいについて聞いてみた。

「タリーズコーヒーでは、水を使った『マウンテンウォーター製法』という方法で作られています。まず、お湯の中に焙煎前の生豆を漬けて、カフェインを含む豆の中の成分を抜き出します。そのお湯を、フィルターを使ってろ過し、カフェインだけを取り除きます。お湯に漬けた生豆を取り出すと、カフェイン以外の成分が飽和状態のお湯が残るので、そこにカフェインのみを除去したい新たな生豆を入れると、カフェインだけが溶け出し、デカフェコーヒーができます」

なんと、デカフェコーヒーは“生豆”の状態から作られるという。つい、焙煎豆に薬剤を使ってカフェインを抜き出す方法を想像しがちだが、「薬剤を使った方法もありますが、安全性の観点から日本では禁止されているんです」と南川さん。

なお、除去したカフェインはエナジードリンクを製造している会社などが活用しているそう。捨てることなく再利用されているということにも驚きだ。

カフェインを除去したデカフェコーヒー。通常のコーヒーと、見た目にあまり違いはない


気になる味わいは?「おいしくない」と言われる理由と解決法

こうして作られたデカフェコーヒーには、残念ながら弱点もある。カフェインを抜いたことで普通のコーヒーよりも風味が落ちてしまい、味が薄く感じてしまうことがあるようだ。加えて、デカフェコーヒーの豆は劣化が早く、普通のコーヒーよりもおいしく飲める期間が短くなってしまうという。

「こうした問題を解決するために、カフェイン除去の処理をしても風味が変わりにくい、エチオピアの一部の地域で採れる豆を原料にしています。さらに製造ロットを小さくすることで、消費サイクルを小さくしておいしく飲める期間のうちに提供しています」

「デカフェはおいしくない」を覆すために、上記のような試行錯誤を続けているタリーズコーヒー。また、タリーズコーヒーでは店舗によって、ラテやカプチーノなどのメニューもデカフェ対応が可能なため、好きな飲み方で飲むことができるのもポイントだ。

最後に南川さんは、「妊婦の方や女性に限らず、『今日はデカフェにしてみようかな』くらいの気軽さで、多くの方に選んでもらえるよう、今後も改良を続けていきたいと思います」と意気込んだ。

デカフェコーヒーが自宅でも飲める、1杯分のドリップパックも販売している

ブラジル産の豆を使ったデカフェコーヒー豆も発売。徐々に選択肢が広がっていて親しみやすくなっている


取材・文=織田繭(にげば企画)

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