男性パートナーの4割超が家事育児の「戦力外時間」である21時以降に帰宅。「女性活躍推進」のカギは男性の働く環境改善にあり?
東京ウォーカー(全国版)
企業・文化施設の運営・コンサルティング業務を展開する「サントリーパブリシティサービス(以下SPS)」では、自社社員の9割を占める女性社員の実状を把握するため、「女性活躍と就業意識に関するアンケート調査」を実施。男性パートナーとの家事育児分担の状況などについてヒアリングした。以下、調査結果の一部を見てみよう。

男性パートナーの帰宅時間
男性パートナーの42%は、家事育児の“戦力外時間”帯に帰宅している

子どもがいる女性社員に「パートナー(未婚既婚問わず)の帰宅時間」を尋ねた設問では、19〜20時との回答が最も多く、全体の29%を占めた。しかし次いで多かったのは21~22時(20%)、22~23時(16%)との回答。まとめると、21時以降に帰宅する男性パートナーが全体の42%に上ることが判明した。
男性パートナーの家事育児分担状況(平日)
子どもがいる女性の65%が、「家事・育児分担ができていない」と回答。母親だけが育児を行う“ワンオペ育児”状態になっている

一方、子どもがいる女性社員に「男性パートナーとの家事・育児分担についての状況」を尋ねた設問では、「家事・育児をもっと分担したいと思っているが、時間が取れない」と答えた回答者の比率が65%に上った。
前出の「男性パートナーの帰宅時間」と合わせて考えてみると、42%の男性パートナーは、幼児の平均就寝時刻である20時54分※に帰宅しておらず、実質的に、母親だけが育児を行う“ワンオペ育児”の状態になっていることがわかる。
※ベネッセ教育総合研究所「第6回 幼児の生活アンケート調査」
男性パートナーの職場の制度状況
男性パートナーの働く職場は「制度はあれども使いにくい」状況。女性活躍推進のためには、男性の働く職場環境づくりも重要

さらに「男性パートナーの職場での育休・産休制度の制度状況」について尋ねた設問では、「制度は整っていると思う/やや思う」との回答が半数以上(55%)を占めた。この結果から、2022年4月に女性活躍推進法が改正されたことや、各方面で進む働き方改革の影響を受け、各企業で制度の整備が進んでいることが推察される。
とはいえ、そのほかの「制度は『女性』だけでなく『男性』も使いやすい」「『男性』が制度を使うことに対して、上司の理解がある」といった設問に目を転じると、すべてにおいて「あまり思わない/思わない」との回答が「思う/やや思う」を上回る結果に。制度は存在するものの、組織への浸透や活用の度合いに課題が残る現実が明らかになった。
これらの結果から、多くのSPS女性社員が直面する“ワンオペ育児”の背景には、男性パートナーの勤務先における「育休・産休制度の使いづらさ」が一因として潜んでいることがうかがえる。
家庭内での家事や育児を夫婦でシェアできない状況が今後も続くようでは、女性が働きやすい社会の実現は難しいだろう。企業における女性活躍を推進するためには、社会全体で、男性側の「家庭活躍」を後押しする職場環境づくりに取り組む必要がありそうだ。
なお、今回ここで紹介したのは、調査結果の一部のみ。全文(全26問)を知りたい場合は、SPSまで問合わせを。
調査概要
調査名称:女性活躍と就業意識に関するアンケート社内調査
調査目的:企業で働く上での女性社員の状況を明らかにするため、社内サンプルを抽出し、日本における企業の女性活躍推進に貢献する
調査対象:SPSに所属する56名の総合職女性社員(うち子どもがいる女性社員は31名)
調査内容:設問は「女性社員自身の仕事にまつわること」や「パートナーとの役割について」など全26問
調査期間:2022年7月7日~7月31日
調査方法:インターネットリサーチ

SPSについて
音楽ホールや美術館など51カ所の文化施設を運営。また、施設運営で培ったノウハウを元に、研修企画・運営施設運営コンサルティング業務を展開する。
サントリーパブリシティサービス株式会社
登録・認可:多様な働き方ができる企業として、2017年に厚生労働省の「えるぼし」認定を獲得。ほか、働きやすい会社、仕事と介護、子育てが両立できる会社として多くの認証を受ける。

今回の調査について、担当者に話を聞いてみた。
「(今回の調査でわかったことは?)社内の女性社員へのヒアリングにより『女性活躍推進』の壁となっている『男性の働き方』が明らかとなりました」
「(今回の調査結果から浮き彫りになった問題点は?)『女性活躍』を考えるとき、これまでは一般に女性社員の働き方や意欲についてのみ論じられることが多かったけれども、実際には、男性パートナーの働き方もひとつの障害となっていたことです」
「(ユーザーへのメッセージは?)『女性活躍』については、壁を感じている当事者だけでなく、社会全体で考えなくては、ジェンダー平等は実現できないと考えています」
性別に関わらず誰もが活躍できる社会の実現には、組織の垣根を超えた取り組みが広がり、男性の働く環境が改善されることにひとつのカギがありそうだ。
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