コーヒーで旅する日本/関西編|“神戸らしさ”が息づくオリジナルのスタイルを追求。多くの人が交わることで絶えず変化を続ける、「Lima Coffee」

関西ウォーカー

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全国的に盛り上がりを見せるコーヒーシーン。飲食店という枠を超え、さまざまなライフスタイルやカルチャーと溶け合っている。なかでも、エリアごとに独自の喫茶文化が根付く関西は、個性的なロースターやバリスタが新たなコーヒーカルチャーを生み出している。そんな関西で注目のショップを紹介する当連載。店主や店長たちが気になる店へと数珠つなぎで回を重ねていく。

店の入口付近は気軽なスタンドの趣。所々に元の建物の壁の痕跡を残している


関西編の第61回は、神戸市中央区の「Lima Coffee」。店を構える栄町は、今もレトロなビルが数多く立ち並び、かつてのかつての港町の香りを残すエリア。2000年代初めに、点在するビルの中に小さなショップが集う“雑貨の街”として注目を集め、2010年代には、ロースターやスタンドが相次いでオープンし、今では神戸の“コーヒーストリート”の趣に。当時、街の変化を促した先駆け的な一軒が「Lima Coffee」だ。わずか4坪の小さな店から始まり、2020年に移転リニューアルした店は、いまや界隈の新たな拠り所として存在感を発揮。コーヒーを介して、多くの人が交わることで絶えず変化を続ける、「Lima Coffee」目指す“神戸オリジナル”の店作りとは。

店主の橋本さん(左)と、店長の手島さん(中左)


Profile|橋本潤也 (はしもと・じゅんや)
19886(昭和61)年、兵庫県神戸市生まれ。インドネシアで事業に携わる兄を通じて、現地を訪れたことがきっかけでコーヒーに関心を持ち、配管技師の仕事から転身。神戸市兵庫区で個人の焙煎所を開業し、2014年に栄町に移転して「Lima Coffee」をオープン。2017年、香川県高松市に「Lima Coffee 瓦町店」を出店。2020年に本店を現在地に移転。2021年に高松市で2店目となる「仏生山珈琲 回」、2023年4月に、神戸で2店目となる「Lima Coffee & PLANT」を須磨区にオープン。

Profile|手島隆行(てしま・たかゆき)
19882(昭和57)年、兵庫県尼崎市生まれ。およそ8年のバーテンダー時代に、コーヒーの抽出も携わっていたことから、豆の焙煎に興味を持ち、橋本さんの誘いをきっかけに、「Lima Coffee」でロースターに転身。本店の店長・焙煎担当を務める。

コーヒーに関わるきっかけを作ったインドネシアとの縁

レトロなビルが数多く残る栄町で、かつて銀行として使われた重厚な建築

神戸開港以来の繁華街・元町商店街の南側。かつては港湾・貿易関係の会社が集まった栄町は、今もレトロなビルが数多く立ち並び、往時の港町の香りを残すエリアだ。2000年代初めあたりからは、点在するビルの中に小さなショップが集い、おしゃれな“雑貨の街”として様変わり。さらに2010年代には、コーヒーショップの相次いでオープンし、細い路地に多彩な店が点在する、神戸の“コーヒーストリート”の顔も持つようになった。当時、街の変化を促したコーヒーショップの中の一つが「Lima Coffee」だ。

奥のカフェスペースは、照明を抑えた隠れ家的な雰囲気


「歴史を感じるもの・場所が好きだったこともあって、港町とゆかり深い建物が多く残り、かつ新しいカルチャーが生まれる場所として、以前から栄町に魅力を感じていました」という店主の橋本さんは、配管技師からロースターに転身したユニークな経歴の持ち主。きっかけは、兄が事業を手掛けていたインドネシアとの縁だった。「兄がインドネシアの方と結婚した影響もあり、いずれは現地と日本の懸け橋となるような仕事をしたいなと思って、注目したのがコーヒーと熱帯の植物を扱うことでした。現地を訪ねると身近にコーヒー農園があり、初めて見た栽培時の赤い実と普段飲むコーヒーとのギャップに驚いて。それまでコーヒーにさほど関心はなかったんですが、その体験を経て、勢いで焙煎機を買って自分でも焙煎を始めたんです」と振り返る。

移転を機にエスプレッソマシンもバージョンアップ。専用のブレンドも3種を日替りで提案


その後、兵庫区で小さなロースターとして創業し、1年かけて本格的な開業に向けた準備を経て、栄町に移転。幼馴染と共に立ち上げた店は、わずか4坪のスペースに焙煎機とカウンターを詰め込んだ、スタンド兼焙煎所としてスタートした。店名のLimaとは、インドネシア語で「5」の意味。コーヒーの味を構成する甘・苦・酸・香り・コクの5つの要素を表し、「人の五感を刺激するコーヒーで、暮らしを楽しくしたい」との思いが込められている。自ら産地を訪れて仕入れる看板銘柄、インドネシア・マンデリンを中心に多彩な産地の豆を揃え、スタンドでは珍しいサイフォンで新鮮な風味を提供。ユニークなスタイルで支持を得て、移転後は卸も徐々に増えていった。

カフェラテ550円。テイクアウトの場合は100円引き


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