累計販売数90万個超の大ヒット。確かな技術と新たな発想から生まれた身に着けるメモ「wemo」

東京ウォーカー(全国版)

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BtoC商品は「ストーリーが大事」。アクティブなブランドとして商品を展開

wemoのブランディングはkenma Inc.が行っているが、異業種との共同事業によって、BtoB商品とBtoC商品の違いを実感していると高見澤さん。

「BtoBはスペックがすべてです。ところが、BtoCは違う。消費者にいかに共感を得られる“ストーリー”があるか。そこがkenma Inc.はとても上手ですね。書いて消せるから売れるかといったらそうではなくって、そこに『看護師が手にメモをとっている姿を見て思いついた』というストーリーをのせて、消費者の共感を得ることができました。コンシューマー商品が売れるための要素というのは多岐にわたるというのを、我々はwemoを通して学習しています」

看護師の姿をヒントにしただけあり、医療業界での認知度が高いwemoだが、軽度認知障がいを持つ人やADHD(注意欠如・多動性障がい)などの発達障がいを持つ人からも好評だ。メモをとってもメモ帳をなくしてしまったり、メモを書いたこと自体を忘れてしまったりする人にとって、腕に身につけられるwemoは非常に有用。wemoというアイテムが持つユニークさが想定を超えた売れ方をする理由になっているのがわかる。

ノートパソコンに貼って使えるwemoの「パッドタイプ」。ノートパソコン以外の場所に貼ることもできる【画像提供=株式会社コスモテック】

wemoはバンドタイプ以外にも、裏面が吸着シートになっていて好きなところに貼って使えるパッドタイプや、IDカードホルダー型のもの、タグ型のもの、繰り返し貼って剥がせるラベルシールなどさまざまなタイプのアイテムを出している。売り上げとしてはバンドタイプとパッドタイプが多いそうだが、次々と新しいアイテムを出しているのはなぜだろうか。

wemoの「#tagシリーズ」。ポリカーボネート製で、油性マーカーに対応している。スタイリッシュなデザインが目を引く【画像提供=株式会社コスモテック】

「ブランディングをしていくときに、アクティブなブランドであることが大事だと考えています。バンドタイプとパッドタイプが便利なのはわかっているのですが、それだけをずっとやっていると飽きられてしまいます。定期的に話題を作ることで、シリーズとしての広がりが生まれ、新たな消費者を得られると考えています」

イレーザーを本体に装着し、ペンをイレーザーに挿して収納できる【画像提供=株式会社コスモテック】

オンライン会議の普及に合わせて開発されたwemoのペーパーフリップボード。ダンボール製なので非常に軽い。3850円【画像提供=株式会社コスモテック】

2022年7月にはペーパーフリップボードを発売。段ボールの表面に特殊フィルムを貼っており、ホワイトボードと同じ使い方ができる。従来のホワイトボードは、書いた文字をそのままにしておくと、こすってもインクがなかなか消えないという問題があったが、wemoで培ってきた技術を活用することで、消え残りの問題を改善している。

「すべてのwemoシリーズに通じているのですが、紙に書いたら消せない油性インクを消すことができるのは、表面のコーティングによるものです。インクを弾かないけど、浸透しないという状態を作り出しているので、拭うと全部消えるという仕組みなんです。“弾かず浸透させず”のコーティングはインクの種類によって変わってくるので、アイテムによって対象ペンの種類が変わってきます。ペーパーフリップボードはホワイトボード専用ペンを対象にしており、コロナ禍で増えたオンライン会議で、手元で書いて見せることを想定したアイテムです。コロナ禍によるニーズに対応した商品としては、2023年2月に『wemo 抗ウィルス+抗菌仕様』というシリーズを出しています」

現在の課題としては「商品認知をどうやって高めていくか」だそう。

素肌シールは厚さ0.02mm。薄いので、粘着力自体は弱くても皮膚になじむため、剥がれにくい。サイズ違いや色違いなど豊富なラインナップも魅力【撮影=三佐和隆士】

「バンドタイプはユニークな一方、それ以外のシリーズアイテムについては、いかにわかりやすく伝えていくかという課題はあります。wemo以外にも『素肌シール』という傷跡やタトゥー隠しのBtoC商品を作っているんですが、こちらはInstagramユーザーとの相性がいい商品なんです。一方wemoは、シリーズのアイテムによってそれぞれ特性がありますから画一的に紹介すればいいというものではないんです。SNSよりもメディア向きの商品群だと思っています。どうやって取り上げてもらうかが課題ですね」

シリーズ累計販売数が100万個になったら、大々的にお祝いをしたいと語る高見澤さん。さまざまな分野でデジタル化が進んでいるが、とっさの行動ではアナログな手法が便利なのは変わらない。記憶をすることへの物理的・精神的負荷を軽減するwemoシリーズの、さらなる展開が待たれる。

この記事のひときわ #やくにたつ
・1つの産業に頼らない事業展開をする
・自分たちの技術を生かす道を模索し続ける
・BtoC商品にはストーリー性が大事
・アクティブなブランドにすることで、ニュース性が生まれ認知度が高まる

取材・文=西連寺くらら

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