簡略化する業界の流れにあえて逆行、ローソンが“手作り手渡し”の新サービス『MACHI cafe+』に込めた思い

東京ウォーカー(全国版)

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“マチのほっとステーション”を目指す、大手コンビニチェーンのローソン。ローソンでは、知識や接客スキルが高い“ファンタジスタ”に認定された優秀なスタッフがいる、ごく限られた店舗で作りたてのカフェメニューが楽しめる『MACHI cafe+(マチカフェプラス)』を展開中だ。これは、店内厨房スペースを活用し、生のバナナを使ったスムージーや、こだわりの豆を挽いて淹れられるコーヒーを、店舗限定で楽しめるという新しいサービス。

人手不足による省人・省力化というコンビニ業界の流れに、ある種、逆行する形で、注文後に店内厨房スペースで手作り&手渡しするという、手間をかけた形態をあえて採用した理由を、ローソン・マーケティング戦略本部の笠井詩織さんに聞いてみた。

ローソン・マーケティング戦略本部 プロモーション部の笠井詩織さん【撮影=樋口涼】


『MACHI cafe+』が誕生した背景と、気になる今後の出店予定

ーーMACHI cafe+について教えてください。どのような店舗でどういった商品やサービスを展開しているのでしょうか?
【笠井詩織】全国のローソンには、知識や接客スキルが優秀で認定資格を取得した“ファンタジスタ”と呼ばれるスタッフが2万人以上います。このレベルの高いスタッフがいるお店のなかからさらに選ばれた店で展開しているサービスです。店内厨房スペースで作った、スイーツドリンクなどを手渡しでご提供しています。

ーーファンタジスタ制度とは、どういった制度でしょうか?
【笠井詩織】2012年に導入された、全国のローソンで働くクルーさんがチャレンジできるステップアップ制度で、接客・MACHI cafe・まちかど厨房・ファストフードの4部門のスペシャリストとして認定されます。ローソンの店舗で必要な高いオペレーションスキルと知識、おもてなしの心を持ちあわせ、お客様によりよい接客サービスができると認められた人だけに与えられる資格です。

ーーカフェ事業に挑戦した背景について教えてください。
【笠井詩織】カウンターコーヒーの『MACHI cafe』は、もともと手渡しで提供するサービスでしたが、少しずつセルフの店舗が増えてきました。そんななか寄せられた、ファンタジスタさんの「手渡しを通してお客様と会話したい」という声が、社長に届いたというのが背景のひとつです。「こういう声をあげてくれる人は、ローソンの財産ですよね」と、社長が感銘を受け、そんなスタッフを生かした事業ができないか?というところから始まっています。お客様のニーズがあるのはもちろんですが、どちらかというと“クルーさんの働きがいにつながる事業を考えよう”という部分が根底にあります。

「ローソンの財産」と社長が言う、熱烈なクルーの声が『MACHI cafe+』が生まれるきっかけになったそう【撮影=樋口涼】


【笠井詩織】商品については、ローソンのMACHI cafeマシンや店内厨房スペースを活用した商品にしようと考え、MACHI cafeはスイーツも強いのでそこで培ってきたノウハウを生かし、まずは、ニーズが高まっているスイーツタイプのスムージーを提供することにしました。

ーー現場の声が通って実現するって、なかなかすごい企画ですね。
【笠井詩織】ローソンには、クルーさんや加盟店のオーナーさんの声をよく聞いたり会話をするという文化が昔からあるんですよね。社長の竹増(貞信)は日々各地の店舗を回り、オーナーさんとの会話を大切にして、その声に耳を傾けています。特に今回の意見は、現場に生かされています。

ーー地域の人と接しているのは、店舗の方ですものね。
【笠井詩織】「あなたから買いたい、会いに来た」とおっしゃって来店していただけるのもローソンの強みなので、加盟店のみなさんには「人起点の事業となる、ピープルビジネスを目指している」と説明しています。

ーーコンビニって便利さを求める顧客が主体だと思いますが、ブランドの存在が好き、クルーさんが好きっていうのはファンですよね。ファン層という人起点の事業を推進するのは新しいチャレンジだと感じました。
【笠井詩織】そうなんですよ。「コンビニに行こう」というより「ローソンに行こう」と思っていただきたいですし、さらに究極なのは、商品やサービスだけでなく「このクルーさんがいるから行きたい」ということを、来店動機にしてもらいたいと考えています。

「将来的には“このクルーさんがいるから”と、クルーさん目当てで来店してもらいたい」と語る笠井さん【撮影=樋口涼】


【笠井詩織】そのためにはDXをうまく活用して、その分の空いた時間をコミュニケーションに回すのが理想ですね。無人の店舗を増やすのではなく、省人化を図って仕組みは作りかえるけど、それはお客様との接点を増やすため、という。発注のフォローなどはAIなどに任せて、それとは別軸でローソンとして温かいおもてなしで接客していきたいと考えています。そのきっかけづくりが『MACHI cafe+』なんです。非常にモチベーションとレベルの高いクルーさんたちが多いので、その方たちの力を十分に発揮していただきたいですね。

ーー今後は、どのような展開を予定されていますか?
【笠井詩織】今9店舗を展開していまして、6月下旬に10店舗目をオープンさせ、この夏には計20店舗になるよう調整中です。今年度中に計50店舗ぐらいを目指しています。

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