くずし字を解読する「古文書カメラ」って?想像以上に多く寄せられた声がアプリ開発を実現
東京ウォーカー(全国版)
凸版印刷が、iOS版くずし字解読アプリ「古文書(こもんじょ)カメラ(TM)」の配信をApple App storeにて開始した(※Google Playでの配信は2023年秋を予定)。このアプリを使用すれば、スマートフォンで撮影したくずし字資料を、高精度のAI-OCR技術により“その場で手軽に”解読できる。

古文書の現状とは
日本国内に数十億点以上残存すると言われている古文書。現代の社会課題にも直結する災害や地域文化の記録など、防災や観光資源の創出・地域の活性化にもつながる貴重な情報が記されているが、古文書のほとんどは「くずし字」で書かれているため、現代人にとっては判読が困難。当時の記録・文献を活用する際の大きな障壁になっている。また、個人が所有している古文書は、内容がわからないために破棄されるケースも多く、解読されないまま災害による損傷や紛失、焼失などのリスクにさらされた状態で全国各地に眠っている。
「古文書カメラ」ができること
古文書解読とくずし字資料の利活用サービス「ふみのは(R)」事業の一環として配信スタートした新アプリ「古文書カメラ」は、“手書き”と“木版印刷物”それぞれのくずし字資料に対応したAI-OCRエンジンを搭載。幅広い種類のくずし字の解読に貢献する。また、古文書の一部分だけ範囲を指定して解読する機能や、AI-OCRが提示する複数の解読候補から選択する機能、解読結果を利用者が修正する機能などを搭載することで、より専門的で高度な利用シーンにも対応。わかりやすいUIで、スマートフォンの操作に不慣れな利用者でも手軽に解読ができる。


「古文書カメラ」開発の経緯は?想像以上に多く寄せられた声
同社の広報担当者に、このアプリを開発した狙いについて聞いてみると、「凸版印刷は、現代人には難読になってしまった『くずし字(古文書に使用されている文字)』をコンピュータの力を借りて読み解く『くずし字OCR』技術の研究開発に長年取り組んできました。各地の研究機関との実証実験を経て、2022年より『ふみのは(R)』として商用サービスを開始し、くずし字公開用ビューア『ふみのは(R)ビューア』『ふみのは(R)タッチ』や、くずし字解読システム『ふみのは(R)ゼミ』などを提供しておりましたが、より簡便かつ広くサービスをご提供するため、このたびスマホアプリ版『古文書カメラ』を開発しました」との回答。
法人向けのPC用サービスを提供するなか、個人ユーザーからの問い合わせも多かったことと、古文書の内容を「その場で」「手軽に」解読したいという意見が想像以上に多く寄せられたことから、スマホアプリを開発するにいたったという。開発にあたっては、実際の利用シーンに沿った機能提供を行うため、多くの専門家・専門機関にプロトタイプを使用してもらい、その意見を反映させていったそうだ。

想定している利用者については、「手元にある古文書を手軽に読んで内容を確認したい方、資料館などで古文書の整理業務をされている方、古文書・古典籍・くずし字を学習し始めた方です。専門家の方はもちろん、一般ユーザーの方でも手軽にくずし字の解読ができる点がポイントです」と話す。
「おもしろツールとして消費されることなく」、開発のこだわりと思い
そして、こだわりポイントについて聞いてみると、「ありがたいことに日々、SNSで反響をいただいておりますが、おもしろツールとして消費されることなく、本サービスを本当に必要としている人が日常的に使えるサービスになることを目指しています。そのため『読みたい部分だけを読む』『候補文字を出して利用者に判断させる』『利用者が解読した結果を修正できる』などの、よりユーザーの解読度が深まるカスタマイズ機能を開発、搭載しました」と教えてくれた。
「古文書カメラ」を使うと、「それまで全く読めなかった古文書が、数文字でも何が書かれているかわかることで、これは昔の人が後世に残した価値のある情報だ、ということを実感できるようになります」と同広報。
「本サービスをご利用いただくことで、全国各地に眠る貴重な歴史的資料の消失リスクを少しでも減らし、地域文化・社会に貢献できればと思っています。また、鑑賞という面でも、本サービスを使うことで、博物館や美術館の展示を違った目で見て楽しむことができるようになるでしょう。『古文書カメラ』をきっかけに、歴史や古典文学に興味を持ち、趣味のひとつにしてくれるような方が、ひとりでも増えればとてもうれしいです」とコメントした。
ちなみに同アプリの解読精度は「現状がベストではありません」とのこと。今後、段階的に改善を行う予定だそうで「1度試して『イマイチだな』と思われても、半年後には劇的に改善しているかもしれません。継続的に改善を続けていきますので、長い目で見守っていただけると幸いです」と話していた。
「古文書カメラ」を使って、今まで感じることが難しかった昔の人の思いに触れてみてはいかがだろうか。
※アプリのダウンロードはスマートフォンだけでなくタブレット端末でも可能
(c)TOPPAN INC.
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