月間再生数が3億5000万回突破!2015年のサービス開始から成長を続ける「TVer」のビジネス戦略とは?

東京ウォーカー(全国版)

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ターゲットは若者男性!視聴者獲得のための取り組みとは

――現在、視聴者の獲得のためにどのような取り組みをしていますか?
【薄井大郎】現在はコンテンツをどれだけ集められるかに注力しています。TVerが飛躍的に伸びた背景には、コンテンツがTVerに集約されるようになったことがあります。当初サービスを始めた2015年ごろに放送していたのは50番組程度でしたが、現在ではレギュラー番組を週に650番組ほど配信しています。もちろんスマホのUI・UXの改善なども影響していますが、成長した大きな理由としては見られるコンテンツの数が強く影響していると思います。

――配信されている約650番組のなかで、特に見られているのはどのような番組ですか?
【薄井大郎】数としてはドラマが多い印象ですね。また、コンテンツが幅広く比較しにくいのですがバラエティが上回る週もあります。また、最近はスポーツ番組を増やしたり、『呪術廻戦』をはじめとした人気アニメ作品の配信を始めたりするなど、ジャンル拡張を積極的に行っています。

TVerはMUB(月間ユニークブラウザ数)が2800万を超えた【画像提供=TVer】


――TVer利用者はどのような年齢や属性が多いのでしょうか?
【薄井大郎】男女比でいうと女性のほうが多いイメージがありますね。基本的にドラマやバラエティという番組は女性に見られる割合が高いので、必然的に女性の視聴者のほうが多くなります。年齢的には「F2層」と呼ばれる女性の35歳から49歳がボリュームゾーンになっていますね。

――3、40代女性に向けたコンテンツ強化などをされているのでしょうか?
【薄井大郎】テレビコンテンツは総じて女性の方が見てくださっているので、どちらかといえば男性の若い層にもっと利用してもらいたいと思っています。そのため、最近では日本シリーズや高校野球などのライブ配信にも力を入れています。

【薄井大郎】スポーツの種類にこだわらず、放送局で放送されるものは基本的になるべくTVerでも配信できることを目指しています。2023年にはラグビーやバスケットボールのワールドカップ(W杯)、そして世界陸上もあります。これまでにW杯レベルの大きな大会をまとめて配信したことがないので、これらの番組をどのように打ち出していくかが現在の課題ですね。

――男性に向けたスポーツ番組以外で、視聴者を取り囲むための戦略などはありますか?
【薄井大郎】視聴者を増やすうえでコンテンツをいかに増やすかが重要だと感じています。最近だと日本テレビの『THE MUSIC DAY』やテレビ東京の『テレ東音楽祭』など、音楽系の見逃し配信を初めて行いました。音楽ジャンルはこれまで少なかったのですが、徐々に増えてきていますね。

【薄井大郎】現在、TVerでは日本全国の放送局が放送している番組をより多く配信している状態を目指しています。そのため、地方局のローカルコンテンツも増えている状況です。全国からできるだけ多くの番組を取り揃えるように努力しています。

――そこまで番組が増えると配信管理が大変そうですね。
【薄井大郎】はい、すごく大変です(笑)。

「オリジナル番組にも力を入れたいです!」と意気込む薄井さん


大画面での視聴が人気!急成長中のコネクテッドTV(CTV)とは?

――TVerがCTVの事業を始められたきっかけについて教えてください。
【薄井大郎】CTVで見逃し配信を開始したのは2019年ですね。当時ユーザーから「大画面でコンテンツを視聴したい」という要望が多々あったのが背景にありました。大画面で見てもらい、コンテンツの魅力に気づいてほしいという狙いがあるため、現在もCTVの拡充に取り組んでいます。

――現在、CTVが市場を伸ばしていますが、どのような理由で急速に普及しているのでしょうか?
【薄井大郎】現状、TVerのユーザー全体のうち3割程がCTVでご覧いただいている状態で、かなり普及しています。理由としては、大画面を通して映像を見たい、誰かと一緒に見たいというような普遍的な需要が出てきているからではないかと予想しています。

「デバイス別 総再生回数推移」。2023年1月には総再生数の31%がCTVだった【画像提供=TVer】


【薄井大郎】サービスの多様化に伴い、視聴者の時間の奪い合いといった状況が起きています。視聴者からしても時間をどこに使うか選択が難しくなっていますね。PCやスマートフォンなどの端末からも見られるようになっており、動画視聴においてはさまざまな選択肢が増えている状況です。そのようななかでも、「大画面で映像を見たい」「誰かと一緒に見たい」という人が一定数いるというのはおもしろいと思いますね。

――コネクテッドTV市場の動向について、今後はどのような形になると予想されますか?
【薄井大郎】今後のさらなる普及は間違いないかと思います。それを前提として、TVerでもCTVの中で存在感を出していかなければいけないと感じているので、もっと多くのユーザーに使っていただけるようコンテンツの拡充や新機能の追加などを進めていきたいと思っています。

【薄井大郎】また、最近ではAmazonのFire TV StickにTVerのボタンが設置されましたが、このようなボタン獲得の戦略も続けているので、「CTVでTVerが見られる」ということをこれからも訴求していきたいですね。

「今後はテレビの概念が変わっていくと思う」

――ユーザーを増やすうえで、今後行いたい取り組みを教えてください。
【薄井大郎】そうですね、インターネットならではのインタラクティブなサービスなどはあったほうがいいと思っているので、いずれ作ってみたいですね。例えば、ユーザー同士のコミュニケーションがとれるコメント機能や、番組で見たものがすぐ買えるEC連動機能など、さまざまなサービスが考えられますね。

【薄井大郎】ですが、まずはどれだけユーザーを増やせるかという意味合いでコンテンツ拡張をしていきたいと思います。あとは、ローカル番組がまだまだ少ないので各局との連携も進めていきたいですね。

薄井さんが今後取り組んでいきたいのは、「インターネットならではのインタラクティブなサービス」


――今後のTVerのビジネス展開について、どのような展望をお持ちですか?
【薄井大郎】将来的にはテレビというものの概念が変わっていくのではないかと思っています。現在では地上波と配信に分かれているイメージを持たれている方が多いと思います。ですが、今後は地上波と配信が合わさったものが、新しいテレビの形になるのではないかと予想しています。「地上波vs配信」というような構図ではないと思っています。

【薄井大郎】テレビで番組を見たあとに配信でも見てもらえればいいですし、逆に配信で見たあとにテレビを見てもいいですからね。今ではリアルタイム配信という、テレビで放送している番組をTVerでも同時視聴ができる機能もあります。このようなサービスも含めて、地上波と配信の双方が「テレビ」を形作るようになるのではないでしょうか。地上波と配信がこれまで以上に協力し合うようになっていくと思うので、TVerもそれに合わせて成長していくと思います。

この記事のひときわ #やくにたつ
・サービスの独自性を持つことが成長のヒント
・ユーザーの需要に応えることが大事
・互いの専門領域を融合させれば新しいビジネスモデルができる

取材・文=越前与

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