京都西大路店が誕生! 地域に寄り添うスターバックス流・店舗の作り方とは?

関西ウォーカー

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駅ビルやオフィス街にある店舗、公園内など各地域の象徴的な場所にある店舗など、全国各地に1800以上もあるスターバックス。その一つひとつが、その地域に根差した店づくりが行われているってご存じ?今回、京都に新しい店舗ができると聞き、その店舗設計の秘密に迫った。

お客にどのように過ごしてほしいか、丁寧に向き合う

8月9日、大型路面店「スターバックス コーヒー 京都西大路店」が誕生する。京都・西大路五条の交差点から200m下がった、西大路通に面したドライブスルー付き店舗だ。緑の多い敷地の少し奥まったところに、グレーと茶の温かみのある外壁の2階建て店舗があり、駐車場や屋根の植栽とともに周囲に溶け込んでいる。

この場所が出店地に選ばれたのには訳がある。かつてこの場所の近くに、京都リサーチパーク店という地元に愛されたドライブスルー付き店舗があったが、2019年に惜しまれながら閉店。市内の既存店は駅中心部の観光客が訪れるロケーションに多く、地元の人たちが集える店をつくることは、スターバックスとして念願だったという。

今回、店舗設計を担当したのは、設計部の齋藤さん。休暇にも建築物を見に行くほど設計が大好きな齋藤さんは、「店舗設計から内装までトータルで担当でき、とても幸せな時間だった」と笑顔を見せる。

設計部の齋藤さん。ストアマネージャーの松村さん(右)とともに


齋藤さんによると、スターバックスの店舗設計で大切にされているのは、「パーソナライゼーション」という考え方だ。それは、お客様にどのように過ごしてほしいのかを丁寧に向き合うこと。どの店舗を作るときでも、そこに訪れる人や過ごし方を想定し、パーソナライズして設計に落とし込む。

店舗に3台あるエスプレッソマシーン(写真右)はお客から見えるように配置


齋藤さんは、京都西大路店を設計する前に、事前に現地を訪れ、どのような地域か、どのような人が訪れるか、どんな景色が見えるかなどを観察して、地元の人たちのニーズをイメージする。その後、社内関係部署との議論の結果、導き出されたのが(1)クイックな利用(2)店内でゆっくり利用という2つのニーズだ。

吹き抜けで開放感のある店内。エレベーターもあり、子ども連れなど広い層が安心して利用できる環境


そこで1階はドライブスルーやテイクアウト、モバイルオーダーなどを想定したクイック利用、2階は自宅以外でゆっくりくつろぐ場所としての利用を想定して設計。外には駐車場を18台完備し、自転車やバイク置き場、犬をつなぐポールなども用意されている。

齋藤さんが事前調査に訪れたときに自転車やバイクで行き交う人や散歩する人の姿が印象的だったそうで、「この店舗は、地元の方のために設計を考えました。散歩途中にでも気軽に訪れてほしい」と語る。

地域の人にとって居心地の良い場所に

斎藤さんのお気に入りの席は、ハシエンダ アルサシアが描かれた壁面に面した1階席。「バーが見渡せるところが好き」

店舗は京都の町屋にインスピレーションを得た空間構成。開業直前のある日、細部まで来店客のために考え抜かれた店内を、斎藤さんの案内で見せてもらった。

町屋からインスピレーションを得た空間の構成図


1階は通り庭のような空間をイメージ。バーを囲むように席が配置され、クイック利用のために立ち上がりやすさを考慮したイスやテーブルを配置した。
「ハンドオフ(ドリンクの受け取りカウンター)には大きなペンダント照明を吊るして、お客様がどこに行けばよいかわかりやすいようにしました。ここはパートナー(従業員)とお客様がつながる大切な場所だから」(齋藤さん)

ペンダント照明が印象的なハンドオフ


2階は、ゆっくり過ごす場所として居心地の良い空間を目指し、特に意識したのは太陽の動きだ。
「太陽は、夏は高く、冬は低い位置で動きます。夏は日を遮り冬は日が入るよう、東西を壁にして南側の屋根の庇の長さを計算しました。こうすることでお客様が過ごしやすくなります。順光が当たる北側にはあえて広い窓を設け、景色が楽しめるようにしました」(齋藤さん)

太陽の動きを考えて設計。屋根には太陽光発電も設置


そして居心地の良さの追及は席の配置にも見られる。部屋の中央から大きな窓へ向かってイスやテーブルの高さを低くし、どの席からも景色を望むよう配慮。時間や季節の移ろいを感じられるようになっている。雪見窓をイメージした低い位置にある窓からは屋根の緑化が見られる。

北側の窓に豊かな緑が見える。ここで四季の移ろいを感じたい

コンセント付きのカウンター席。階段に向かって描かれた壁画のサイレンは、お見送りしてくれているよう


スターバックスは店舗ごとのアートワークも特徴的だが、そこにもメッセージが込められている。今回のテーマは「ハシエンダ アルサシア」。コスタリカにあるスターバックスの自社農園だ。2階の壁面にはコーヒー豆や農園の写真、生物多様性をテーマにハシエンダ アルサシアの動植物を描いた絵画などが掲げられている。

ハシエンダ アルサシアの動植物を描いたアート作品


コーヒーの研究所を兼ねた農園は、強い苗ができたらほかの農園に配るなど、地域貢献もしていることや、農園の美しさに齋藤さん自身が感銘を受けているそう。
「既存店は観光地に多いので、地元の方にスターバックスが何をしているのかをあまり知られていないのではないかと思いました。だからこそ、私たちがしていることを伝えさせていただけたら」(齋藤さん)

屋根や窓の配置からテーブルやいすの高さ…すべてに「地域の人にとって居心地の良い場所にしたい」という想いが詰まっている。

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