「ぽたぽた焼」おばあちゃん、よりチャーミングに。引き継がれた「温かさ」
東京ウォーカー(全国版)
1986年に発売された亀田製菓株式会社のロングセラー商品「ぽたぽた焼」。発売当初からパッケージに描かれ、誰もが知っている、あの「おばあちゃん」のイラストが刷新された。新しい「おばあちゃん」のイラストを手がけたのは、人気絵本作家のヨシタケシンスケさん。今回のパッケージリニューアルの狙いについて、同社マーケティング戦略部の林克昭さんに話を聞いた。

約半数が60代、70代。「より若い世代にも」
サクサクとした食感に、甘じょっぱい味わいが特徴のせんべい菓子。おばあちゃんが火鉢でせんべいを焼く際に、「秘伝のさとうじょうゆ蜜」を、ぽたぽたと垂らして塗る様子から、「ぽたぽた焼」と名づけられた。これまで食感や味のバランスなど、時代に合わせて改良を重ねながら、幅広い世代の人に親しまれてきた。


今回、パッケージをリニューアルした理由について、林さんは「ブランド自体の老齢化」を挙げる。「現在ご購入いただいているお客様の約半数が、60代、70代以上の方で、発売当時に30〜40代の子育て世代だった方が中心です。今後、ブランドをより大きくしていくために、より若い世代の方にも、ぽたぽた焼を楽しんでいただきたいという思いから、パッケージをリニューアルしました」

絵本の読み聞かせ参考に
「ぽたぽた焼」は、子どもでも食べやすく、親子で楽しむことができるお菓子。個包装の裏面には、昔ながらの知恵やクイズなどが書かれており、「親子のコミュニケーション」を大切にしてきた。リニューアルの際に参考にしたのは、絵本の読み聞かせだ。
「お客様にとって、コミュニケーションをつなぐツールは何があるだろうと考えました。そのなかで、古くから親子の絆を育む絵本は、ぽたぽた焼と共通点が多いというところから、今回の企画がスタートしました。愛される絵本には『親しみ』や『共感』といった特徴があります。そこで、親しみやすく、親子から高い共感を集める作品を手がけているヨシタケシンスケさんに、デザインを依頼させていただきました」


新しい「おばあちゃん」は、優しい笑顔は変わらないが、顔を上げ、「ぽたぽたしちゃう?」と話しかける。イラストが世に出ると、「寂しくなった」と惜しむ声がある一方で、「かわいくなった」といった声も多く集まった。
よりアクティブなおばあちゃんへ
新しいパッケージでは、家族像をより現代に近づけた。「自分が小さかったころのおばあちゃんのイメージは『子どもの側で優しく見守っている』でした。しかし、今はアクティブで旅行などを楽しんでいる方も多くいらっしゃいます。自分に子どもができて、子どもから見たおばあちゃん、つまり自分の母親も、自分が抱いていたイメージよりもアクティブ。現代の家族像に合わせ、顔を上げて自ら発信していくようなデザインになりました」

また、「家族でもっとコミュニケーションを楽しんでいただきたい」という思いから、新パッケージには「ぽたぽた焼」を食べる親子など、おばあちゃん以外のキャラクターも描かれている。
現代の家族像を反映させた一方で、おばあちゃんの持つ「温かさ」は、変わらないように意識した。林さんは「38年にわたり多くの方に愛されてきたおばあちゃんだからこそ、リニューアルは非常に難しかった部分もありました。変える部分と変えない部分の線引きが特に大変でした」と振り返る。商品への思いや、大事にしたい部分、描きたいイメージを、ヨシタケシンスケさんと共有しながら、丁寧に作り上げた。


「ぽたぽた焼を知らない人、久しく食べてない人にも、新しくなったおばあちゃんをきっかけに、もう一度ぽたぽた焼を知っていただきたいです。そして、ぽたぽた焼を好きになっていただきたいのはもちろん、家族のコミュニケーションのきっかけとなるお菓子として、幅広い世代に浸透してほしいと思っています」
この記事のひときわ
#やくにたつ
・大切なことは残しながら、時代に合わせて変化させる
・商品にコミュニケーションという体験価値をプラスする
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