熊川哲也がK-バレエで作り上げたバレエ「クレオパトラ」世界初演!

関西ウォーカー

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演劇ライター・はーこさんのWEB連載「はーこのSTAGEプラス」Vol.45をお届けします!

K-バレエを率いる芸術監督・熊川哲也。古典バレエをリスペクトし、現代に継承する者としての誇りを持ちながら、数々の名作を自身のプロダクションで新たに生まれ変わらせてきた。「新境地を拓いた意欲作」と評された、ビゼーの名作オペラをバレエ化した『カルメン』の発表から3年。熊川の新たな挑戦はさらに飛躍を遂げ、今回は初めて原作も音楽も存在しない全幕作品に着手。クレオパトラを題材に、紀元前のエジプトとローマを舞台にした壮大な歴史物語をオリジナルで構築、全2幕5場のグランド・バレエ『クレオパトラ』に仕立て上げたのだ。

舞台デザインには、世界の一流オペラ劇場で引っ張りだこのダニエル・オストリングを起用。その空間に触発された熊川は「これまで思いもよらなかった、新たな振付の手法が生まれた」と語る。音楽には、デンマークの大作曲家カール・ニールセンの劇付随音楽『アラジン』を中心とする楽曲で構成。そしてK-バレエのベストメンバーと言えるキャスト陣が揃った。

タイトル・ロールには、長くヨーロッパで活躍し、現在K-バレエのゲスト・プリンシパルの中村祥子。クレオパトラと結婚する弟のプトレマイオス13世には山本雅也、ローマの権力者・カエサルにスチュアート・キャシディ。カエサル亡き後、ローマで実権を握りクレオパトラと恋に落ちるアントニウスには宮尾俊太郎、カエサルの正当後継者を主張し決戦となるオクタヴィアヌスに遅沢佑介。

どこをとっても、ワクワク感満載の『クレオパトラ』。大阪で1回だけの公演に、チケットは既にA・B席・バルコニーBOX席のみ。世界初演のオリジナル・キャストの中から中村と宮尾が来阪、その魅力と意気込みを語った。

「祥子のためにクレオパトラを振り付ける」と熊川に言われた中村。100%当て書きで、絶世の美女を演じることになり「驚きました、想像もつかない題材で。でも、本当にありがたいことです。今までにない役柄で、その生き方を表現できる。そのワクワク感と、一緒に大きな作品を作り上げて行ける喜びと。熊川ディレクターが創造するクレオパトラに近づけるように、そして自分の思うクレオパトラ像も出していければ。この機会を大事にしながら、自分自身も成長していきたいと思います」と意気込みを語る。

熊川が創造するクレオパトラとは?「蛇の化身。なので、時たま蛇になります(笑)。人間クレオパトラから蛇へ、蛇からクレオパトラへ。新たな挑戦だなと思っています」(中村)。衣裳も、蛇を意識したウロコがあるようなイメージだそう。

振付は「床をはいずり回ったり、高い位置でのリフトなど、クラシックバレエのステップだけではなく、これまで見たことのないような新しい動きや、見ごたえのある振付がたくさん登場すると思います。クレオパトラとアントニウスの、ドラマチックな恋愛模様の踊りもありますが、クレオパトラの性描写的なエロスの要素をすごく派手にしっかり見せているところも。今までのK-バレエにはなかった。変わらなければ!(笑)」(宮尾)。その美貌から、幾人もの男性を虜にしてきたクレオパトラ。「いろいろな男性とのパ・ド・ドゥ(男女2人の踊り)があるのですが、それぞれの個性ある表現が出来たら」と意欲を見せる中村。「バレエはそこにこだわりがないと魅力的な何かは生まれてこない」ときっぱり。

宮尾は10年前にプティ作『カルメン』で中村と出会った。「祥子さん、メチャメチャ怖くて、すごく厳しかった(笑)。でも、それがあったからこそ成長できた」。「お互い受け渡しが無ければね。伝えることに私は遠慮しません。でも、最近はパートナーとしてすごく成長したので、あまり言わないよね(笑)」。

2人の話を聞いているだけで、『クレオパトラ』への期待が一層高まる。世界初演のグランド・バレエ。時代を経て、いつしかこの作品が古典と呼ばれる日が来るかもしれない。観客は今回、バレエ界に起こる、ひとつの歴史的瞬間に立ち会えるのだ。この記念すべき舞台を、フェスティバルホールで是非とも見届けたい。完売する前に早めの予約を!

【関西ウォーカー編集部/演劇ライター・はーこ】

演劇ライター・はーこ

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