世界遺産!「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群ってどんなところ?
九州ウォーカー
世界文化遺産に登録され、注目を集める「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群。古代の日本は、新たな技術や思想等を中国大陸や朝鮮半島から取り込むため、海を介した交流を盛んに行っていた。この時、宗像の海域において航海安全を願う信仰が生まれ、その信仰の伝統を今に伝える関連遺産群について、詳しく紹介!
「神宿る島」沖ノ島ってどんな場所?

沖ノ島は、九州本土から約60kmの玄界灘に浮かぶ周囲4キロの孤島。4世紀から9世紀にかけて、航海の安全を願う自然崇拝に基づいた祭祀(神々を祀ること)が行われた。国際色豊かな奉献品が出土した沖ノ島は「海の正倉院」とも呼ばれ、約8万点の宝物はすべて国宝に指定されている。
島には今も守り続ける、厳しいしきたりが!

沖ノ島は島そのものがご神体であり、人々が日常生活を送るための島ではない。そのため「一般人の立ち入りを禁じる」ことをはじめ、「入島する前には衣服をすべて脱いで禊をする」「島での見聞きしたことは一切口外してはならない」「島からは一木一草一石たりとも持ち帰ることはできない」などの厳しい禁忌(しきたり)が定められている。そのため島はほぼ人の手が加えられることがなく、ひっそりと守られ続けてきた。
8つすべてそろって世界遺産!沖ノ島に関連する遺産群とは


世界文化遺産に登録された「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群とは、沖ノ島、小屋島、御門柱、天狗岩(宗像大社沖津宮)、宗像大社沖津宮遙拝所、宗像大社中津宮、宗像大社辺津宮、新原・奴山古墳群の8つ。これらはすべて、航海安全を願う信仰に関連している。
沖ノ島と周囲3つの岩礁(小屋島、御門柱、天狗岩)は、「宗像大社沖津宮」の境内。沖ノ島へ渡島する際、この3つの岩礁は鳥居の役割を果たすと言われている。
沖ノ島で行われていた祭祀は大島の「中津宮(なかつみや)」と九州本土の「辺津宮(へつみや)」にも広がり、人が立ち入ることができない沖ノ島を遥拝するための「宗像大社沖津宮遙拝所」が大島に設けられた。

沖ノ島での祭祀、古代豪族「宗像氏」によって担い育んできたと言われる。その宗像氏の存在を物語るのが、「新原・奴山古墳群(福津市)」。沖ノ島へ続く海を見渡す台地の上に、前方後円墳や円墳など大小さまざまな古墳を築いた。これらすべての資産がそろって、初めて世界遺産としての価値を語ることができる。
知っておいて欲しい、世界遺産登録の目的

「世界遺産に登録されても、沖ノ島に行くことができないなんて残念」と思う方もいるかもしれないが、今回の世界文化遺産登録の目的は今まで守られてきたものをこれからも大事に守り続け、広く長く伝えていくこと。沖ノ島と関連遺産群の価値や意味を世界中に知ってもらい共有することで、その保護につなげていくことが狙いだ。
沖ノ島には立ち入りができないが、大島や九州本土の「宗像大社中津宮」「宗像大社辺津宮」「宗像大社沖津宮遙拝所」「新原・奴山古墳群」への来訪や展示施設「海の道むなかた館」(福岡県宗像市深田588)、「大島交流館」(福岡県宗像市大島901-4)、「カメリアステージ」(福津市津屋崎1-7-2)への見学は可能。より知識を深めたい方は足を運んでみては。
【九州ウォーカー編集部/取材・文=山本佳世】
山本佳世
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