スキンケアに新たな選択肢を。「東京美肌堂」を立ち上げたLATRICOの挑戦

東京ウォーカー(全国版)

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美しい肌でありたい、そう願う人は多い。特に女性だと、毎日ある程度スキンケアに気をつけている人が多数を占めるのではないだろうか。スキンケアというと、化粧水や美容液といった基礎化粧品を用いることが連想されやすいが、美容皮膚科をはじめとした医療機関にかかり、医薬品を服用することで肌改善を目指す人が増えてきている。中でも、診察から薬の配送手配までをオンラインで行える「東京美肌堂」が堅調だ。2020年10月のサービス開始から3年が経った2023年12月には、累計利用者数が20万人を突破、月間アクティブユーザー数も3.7万人を記録しているという。なぜ東京美肌堂が多くのユーザーから支持されるのか、どのようにしてこのサービスが生まれたのか。東京美肌堂を運営する株式会社LATRICO 代表取締役CEOの濱口友彰さんに話を聞いた。

株式会社LATRICO 代表取締役CEOの濱口友彰さん。自身も2年ほどスキンケアのために医薬品を服用。「服用前に比べて、肌トラブルは少なくなりました。習慣化すると、毎日の服用も全く苦になりませんね」【画像提供=株式会社LATRICO】


新しいサービスをどう使ってもらうか。メッセージの打ち出し方に注力

医薬品を服用するためには、医師の診察に基づく処方箋が必要だ。そのため、東京美肌堂ではまず、公式LINE上で医師との診察時間を予約し、時間になったらビデオ通話で診察を受けられるようになっている。このサービス誕生のきっかけはコロナ禍にあったという。

「コロナの感染拡大を契機に、2020年4月にオンライン診療の規制緩和がありました。それまで日本では、オンライン診療は例外的な場合しか認められていなかったんですが、クリニックに行くことが難しくなってきたことで、大きな方向転換があったんです。そこで、オンライン診療をうまく活用し、診察をもっと身近にすることでお客様の悩みを解決できるようなサービスができないかということで、検討が始まりました」

スキンケアの領域でサービスを展開していくことが決まったのは2020年の夏頃。LATRICOを9月に立ち上げ、10月には東京美肌堂のサービスをローンチした。サービス誕生のきっかけとしてコロナ禍は大きな役割を果たしたが、サービスの拡大が加速した理由はそれだけではないと濱口さんは語る。

「確かにコロナ禍でなかなかクリニックに行けない、行きたくないというお客様の気持ちが追い風にはなりましたが、コロナが5類感染症になり、世情が落ち着いてきた今でも、東京美肌堂は順調に伸びています。東京美肌堂は『自宅にいながらにして、お肌の悩みを医師と相談し、診察・処方を受けて、薬を送ってもらえる』という新しいソリューションを世の中に提示できた。それがお客様から支持されている理由だと思っています」

LINEのビデオ通話を利用して診察を受けられる。受付時間は9時〜22時、土・日曜、祝日も受診可能。診察は10分程度なので、隙間時間を活用できる【画像提供=株式会社LATRICO】

薬は診察後、最短翌日発送で自宅にお届け。長期服用をすることで割引になる特典も【画像提供=株式会社LATRICO】

東京美肌堂のサービスは、LINEでのやりとりを含めて、すべてがオンラインで完結するのが大きな特徴だ。受付時間は9時から22時で、土・日曜、祝日も対象。枠が空いていれば当日予約も可能で、診察時間が約10分なので隙間時間に利用することもできる。しかも、診察を受けるところまではすべて無料だ。手軽に診察が受けられ、医薬品を実際に購入するかどうかすぐに決めなくてもいい。その気軽さが東京美肌堂の成長を支えているようだ。

東京美肌堂の構想からローンチまで約半年。急ピッチで進められた印象だが、大変だったのは技術的な面だけではなかったという。

「システム構築に一定のお金と時間はかかるものです。それよりもお客様の心をどう掴むかという部分が大変でした。スキンケアに医薬品を使う、そのためにほとんどの人にとって経験のないオンライン診察を受けてもらう。スキンケアのための選択肢が世の中にあふれているなかで、『医薬品を使って悩みを解決しよう』という我々のメッセージに対し、使ってみようという気になってもらわなければならない。どうメッセージを発信していくか、その導線・メッセージの開発・改善のために現在もトライアンドエラーを繰り返しています。こういうふうに訴求すれば興味を持っていただけるんだ、というのを見つけるまでが大変でした」

具体的にどんな方法でユーザーに東京美肌堂のメッセージを伝えているのだろうか?

「Instagramの広告やGoogleの検索連動型広告などを利用していますね。ここ1年で力を入れているのは、東京美肌堂の公式SNSアカウントでスキンケア情報を発信すること。それから『ハダメディア』というオウンドメディアを立ち上げました。自分たちからスキンケア情報を積極的に発信することで、東京美肌堂を知ってもらい、その後利用してもらうという流れが生まれてきているので、そこはどんどん強化していきたいと思っています」

そしてもうひとつ、東京美肌堂として力を入れてきたこととして、診察をする医師との連携があったという。

「診察を受けにきてくださったお客様で、最初から医薬品を買う気満々な方ってあんまりいらっしゃらないんです。肌の悩みを持っていて、医薬品を使うことに興味はあるけども、オンライン診察も初めてという状態。期待と不安とがないまぜになったお客様に、自分の肌悩みにこういう薬を使えば解決するかもしれないという納得感を持っていただき、医薬品を買うという意思決定をしていただく。そのためのお客様との接点を担うのが、診察にあたる提携クリニックの医師の先生がたです」

10分という診察時間でどうユーザーと接するのか。そこが大きなキーになった。

「医師の先生の中で、もとから提案や接客がとても得意な方というのは必ずしも多くありません。しかも、オンラインでお客様とやり取りとなると、どうふるまったらよいかわからないという先生も多くいらっしゃいます。なので、かなり細かいところまでアドバイス、レクチャーをさせていただきました。症状に対してどの薬をすすめるのかは先生の専門領域なのでもちろんお任せしています。一方で、不安を抱えているお客様に対してどう接するのか。コミュニケーションの部分では提携クリニックの先生とかなり議論を交わしました」

幅広い予約時間に対応するためにも、医師サイドへのサポートは必要不可欠だという。

「提携クリニックでは、現在約100名の医師に勤務いただいていますが、幅広い診察予約時間を実現するためには、医師の数をしだいに増やしていく必要があります。その点は、短時間勤務が可能な柔軟なシフト管理と、サポート体制により実現していきました。また、医師間でカルテの共有がきちんとできるようなシステムを構築することで、初診時とは別の医師が再診に当たったとしても、お客様が不安にならないようにしています」

サービスローンチ当初は、スキンケアに詳しく美容皮膚科クリニックの受診経験があるユーザーが多かったが、こうした取り組みが功を奏し、スキンケアに医薬品を使うのは初めてというユーザーが多数派になってきているという。

「それから、診察を受けてご納得いただいたうえで購入してもらうというのを大事にしています。ときおり、診察を受けても、『考えます』ということでお薬を買われない方もいらっしゃいますが、それで料金が発生するようなことはありません。2年前に受診してお薬を買わなかったけれど、もう一度診察を受けて買うことにした、というようなお客様もたくさんいらっしゃいます。新しいサービスということで、迷いや不安があるのは自然なこと。お客様にプレッシャーを与えてしまわないよう、医師の先生は気を付けてくださっています」

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