ハウス食品グループの新規事業開発の取り組みがおもしろい!4年目以降の社員全員にアイデアを形にするチャンスが

東京ウォーカー(全国版)

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グループ内新規事業の事業実証の場として「パッチワークキルト株式会社」を設立

GRITの第1期プロジェクトとして実証がスタートした「Kidslation」と「タスミィ」。いずれも、2022年10月に新たに設立された「パッチワークキルト株式会社」で事業実証を進めているが、わざわざ新会社設立としたのはなぜなのだろうか?

「Kidslation」事業推進者の岸健人さん。離乳食用商品の豊富さに対し、幼児食期(1歳半〜6歳)の商品が少ないことに着目し、本事業を推進した【写真提供=ハウス食品グループ本社株式会社】

Kidslationのメニュー「保育園で大人気の鯖カレー」。保育園児が食べ慣れた保育園給食ベースのメニューになっている【写真提供=ハウス食品グループ本社株式会社】

「実証については、ハウス食品ブランドを背負うことに一長一短あると考えました。手前味噌ながら“ハウス食品”という名前には知名度がある分、お客様に早く知っていただきやすいという長所がある一方で、Kidslationもタスミィもまだまだ実証段階の未熟な事業です。お客様からご期待いただくハウス食品のレベルに到達できていないかもしれません。そういった長所と短所のバランスを考えながら、事業実証を進めていくことに難しさがあったために、新会社を設立することにしました」

GRITの採択プロジェクトが実証実験に入るまでは2〜3年かかるというのは折り込み済みだったのだろうか?

「そこはやってみてわかってきたというところですね。これが世の中と比較して早いか遅いかというのも、そろそろ我々も判断していかなければならないと思っています。GRITとして評価していかなければならない課題ですね」

第2期以降のプロジェクトについても、よりスピード感のある実証実験を求める場合は、起案者はパッチワークキルト社に出向することになるそうだ。

「パッチワークキルト社の社長に就任した藤井弾は新規事業開発部の部長であり、GRITの発案者でもあります。パッチワークキルト社のオフィスは新規事業開発部と同じ場所なので、パッチワークキルト社、新規事業開発部それぞれのプロジェクトの進行具合などはきちんと把握できる環境が整っています」

0から10までをやるオールマイティさを求められるGRIT。今後の課題は?

さまざまなメリットを生んでいるGRITだが、一方で課題もあると井筒さんは語る。

「先程、ハウス食品グループの各会社内それぞれで新規事業開発のプロジェクト、プログラムが生まれているとお話をしましたが、そうなるとGRITはそれらのプロジェクトとどう差別化をしていくのか?という問題があります。既存事業を深めていくことと、社にとっての新しい未来を探索する、その両方を成立させる『両利きの経営』を考えたときに、後者に位置づけされるのがGRITで、各事業会社の中で始まっているプロジェクトは主に前者に位置づけられます。両者ではそもそも目指すものが違うのですが、既存事業と異なるものをイチから考えるというのは非常に難しいことです」

また、GRITは起案者が事業のすべてを担っていく形をとっているが、これについても課題を感じているのだそう。

「現状、GRITでは起案から事業化の0から10まですべてできるオールマイティな人材を求めています。しかし、起案から事業化までをひとりでやりきれる人はそう多くはありません。アイデアをどんどん生み出せるアイデアマンだったり、逆にアイデアはないのだけど実現化に向けて走るのが大好きだったりする人もいるわけです。新しい未来を描く人と作る人を分けていくことも新規事業開発のひとつの手段として考えています」

会社では、GRITのプロジェクトを含めた、新規事業開発部内のプロジェクトが頓挫する可能性も考慮しているという。しかし「それも体験」として上層部も前向きに捉えているそうだ。

「新規事業開発部では“ワクワクドキドキ”、“遊び心”というのを活動ポリシーとして持っているので、プレッシャーがないわけではないですが、失敗にもめげずに前向きに事業開発に取り組んでいます」と井筒さん【撮影=三佐和隆士】

「私自身も既存事業をやってきた経験からアドバイスはできますが、どうしたらその事業が成功するかという答えは持っていません。なので、上からマネジメントしているというよりも、一緒に悩んで一緒に失敗するという伴走者のような立ち位置なんです。事業の成功要因や課題はすべて現場にあると思っていますので、オフィスでただ考えを巡らせるのではなく、お客様のところに行ってインタビューをしてみようとか、現場に出向いて行動観察をしてみようという感じで、行動主義を率先しています」

自身の会社を取り巻く環境や性質を冷静に見つつも、熱い想いで動いているハウス食品グループの新規事業開発。GRITからどのようなプロジェクトが続いていくのか目が離せない。

この記事のひときわ #やくにたつ
・自分ごとの体験が新規事業開発の糸口になる
・次世代の経営人材育成を念頭におく
・すぐの結果を求めない

取材・文=西連寺くらら

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